100 / 208
効果覿面
【18】
しおりを挟む
「税理士さん……なんですか?」
「ええ」
「立派なお仕事をされているんですね」
「いえ。プロデューサーさんこそ難しいお仕事と思いますし、大きな番組もされていると聞いています。脱帽しますよ」
「いえいえ、とんでもない」
腹の探り合いでもしているのだろうか。不自然な程の笑顔である。
そんな中、「間宮さーん。乾杯しよー!」と中から声が聞こえる。
「はーい。今行くよー!」
奥の席まで届く声で返事をした後、伊織くんは「友人達を紹介します。中へどうぞ」と中に通された。
奥まで入っていくと、集まっていた面々に絶句した。ドラマやCMでよくみる女優さんと俳優さんがいたからだ。
「皆、紹介するね。俺が大学の時にお世話になった一まどかさん……あ、今はえっと、守屋さんになるのかな? それと、旦那さんの……守屋周さん」
伊織くんはあまねくんが渡した名刺を何度か見ながら、私達を紹介した。私とあまねくんは頭を下げ、「初めまして。本日はお招きいただきありがとうございます」と言った。
「それから左から俳優の三岡悠くんと中西賢人くん。それと女優の鮎原ななちゃんと近衛真緒美ちゃん。テレビで見たことのあると思うけど」
伊織くんは笑顔でそう紹介した。中西賢人という人は、何度か伊織くんから送られてくる写真に写っていた人だ。検索するまで知らなかったけど有名らしい。
「よろしくお願いします」
4人も頭を下げて笑顔を向けてくれる。
とりあえず乾杯をしたところで「旦那さん、凄いイケメンですね! モデルさんかなにかですかぁ?」と近衛真緒美が言った。
この子は、朝のCMで柔軟剤を紹介してたぞ。若い子だと思う。おそらく20代前半。
「そんなことないですよ。普通の職業に就いてます」
あまねくんがにっこりと笑顔を向けると、女性2人は、きゃっきゃとはしゃぐ。そうだよなぁ……芸能界にいてもおかしくない程綺麗な顔してるし。そんなふうに思いながらあまねくんの顔を見上げる。
「またまた、謙遜しないで下さいよ。旦那さんは税理士さんなんだって」
伊織くんが間に入ると「えー! 凄い! 頭いいんですねぇ!」と尚もテンションを上げている。
「大したことないですよ」
あまねくんは珍しく大人な雰囲気でお酒を飲む。普段の子供のようなあまねくんを見たら全員が驚くだろう。
「奥さんは何されてるんですか? テレビのお仕事されてたんですよね?」
急に鮎原ななに声をかけられ、視線を移すがすぐに言葉がでなかった。
「妻は今妊娠中なので仕事は辞めて家にいてもらってるんです」
あまねくんが代わりに答えてくれた。
「えー。じゃあ、専業主婦ですか? 今時珍しいですね」
そんなことを言われて、嫌味のように聞こえる。そりゃ、芸能界でバリバリ仕事をしているあなたたちは忙しいでしょうね。と私は少し面白くない。
「ええ」
「立派なお仕事をされているんですね」
「いえ。プロデューサーさんこそ難しいお仕事と思いますし、大きな番組もされていると聞いています。脱帽しますよ」
「いえいえ、とんでもない」
腹の探り合いでもしているのだろうか。不自然な程の笑顔である。
そんな中、「間宮さーん。乾杯しよー!」と中から声が聞こえる。
「はーい。今行くよー!」
奥の席まで届く声で返事をした後、伊織くんは「友人達を紹介します。中へどうぞ」と中に通された。
奥まで入っていくと、集まっていた面々に絶句した。ドラマやCMでよくみる女優さんと俳優さんがいたからだ。
「皆、紹介するね。俺が大学の時にお世話になった一まどかさん……あ、今はえっと、守屋さんになるのかな? それと、旦那さんの……守屋周さん」
伊織くんはあまねくんが渡した名刺を何度か見ながら、私達を紹介した。私とあまねくんは頭を下げ、「初めまして。本日はお招きいただきありがとうございます」と言った。
「それから左から俳優の三岡悠くんと中西賢人くん。それと女優の鮎原ななちゃんと近衛真緒美ちゃん。テレビで見たことのあると思うけど」
伊織くんは笑顔でそう紹介した。中西賢人という人は、何度か伊織くんから送られてくる写真に写っていた人だ。検索するまで知らなかったけど有名らしい。
「よろしくお願いします」
4人も頭を下げて笑顔を向けてくれる。
とりあえず乾杯をしたところで「旦那さん、凄いイケメンですね! モデルさんかなにかですかぁ?」と近衛真緒美が言った。
この子は、朝のCMで柔軟剤を紹介してたぞ。若い子だと思う。おそらく20代前半。
「そんなことないですよ。普通の職業に就いてます」
あまねくんがにっこりと笑顔を向けると、女性2人は、きゃっきゃとはしゃぐ。そうだよなぁ……芸能界にいてもおかしくない程綺麗な顔してるし。そんなふうに思いながらあまねくんの顔を見上げる。
「またまた、謙遜しないで下さいよ。旦那さんは税理士さんなんだって」
伊織くんが間に入ると「えー! 凄い! 頭いいんですねぇ!」と尚もテンションを上げている。
「大したことないですよ」
あまねくんは珍しく大人な雰囲気でお酒を飲む。普段の子供のようなあまねくんを見たら全員が驚くだろう。
「奥さんは何されてるんですか? テレビのお仕事されてたんですよね?」
急に鮎原ななに声をかけられ、視線を移すがすぐに言葉がでなかった。
「妻は今妊娠中なので仕事は辞めて家にいてもらってるんです」
あまねくんが代わりに答えてくれた。
「えー。じゃあ、専業主婦ですか? 今時珍しいですね」
そんなことを言われて、嫌味のように聞こえる。そりゃ、芸能界でバリバリ仕事をしているあなたたちは忙しいでしょうね。と私は少し面白くない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
専属秘書は極上CEOに囚われる
有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる