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風雲児
【4】
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伊織くんの事を考えていると、奏ちゃんは「食事会って言えば千愛希さんから聞いた?」何て言ってこちらを向く。
「え? 千愛希さん?」
私は意外な名前に驚いて目を瞬かせた。前回千愛希さんと会った時には、あんなにも言い合いをするような仲だったのに。私の時も名前で呼んでくれるまでどれ程の期間がかかったことか。
それなのに、彼女は平然と千愛希さんの名前を呼ぶ。一体全体どういうことだろうか。
「奏ちゃん、千愛希さんと仲良くはなかったよね?」
「それがさ、なんか千愛希さんところの社長さんが私のファンだったみたいで是非会いたいって言われたんだよね」
「えぇ!?」
「調べてみたらかなり大きい会社でさ……千愛希さんがりっちゃんにお世話になってるなら私とスポンサー契約してもいいって言ってくれて……」
奏ちゃんはへへっと笑う。照れ臭そうなその表情がなんとも言えず可愛いけれど、本人は嬉しそうだ。
「スポンサー契約って……」
「まあ、もちろん事務所通してにはなるんだけど、アプリゲームの会社かなんかだよね? 新作のゲームがあるから、そのCMをやって欲しいってお願いされてさ」
「えぇ!? 凄いじゃん!」
「う、うん。何かそこの社長さんが初めて雑誌の表紙になった時から応援してくれたみたいでさ」
「へぇ……じゃあ、ギャル好き?」
「まあね。でも、今の格好も印象変わってこれはこれでいいって言って応援してくれてるみたいでさ」
とても嬉しそうな奏ちゃん。私は、ゲーム会社の社長と聞いて、5、60代の小太りで少し頭の薄いギャル好きの男性を想像していた。
う、うん……。まあ、スポンサーってあんなイメージかもと勝手な想像をする。
「それで、その社長さんと食事会と何が関係あるの?」
「それが、千愛希さんってその社長の家族とも仲良いらしくて、ホームパーティーに呼ばれたんだよ」
「へぇ……」
「それで、りっちゃんと私とまどかちゃんとあっくん皆でお呼ばれされてるんだけど聞いてない?」
「き、聞いてないよ! あまねくんは千愛希さんの連絡先知ってるから、連絡がくるならそっちからかと思うけど……」
「そう。とにかく行ってみようと思ってさ。CM決まったら嬉しいし」
「し、CMって高いんだよね……?」
「うん。多分、上手くいけば1本2千万くらいはいくかと」
「に、2千万!?」
私は顎が外れるのではないかというほど、口を開けて唖然とした。
「一応テレビは駆け出しだけど、もともとモデルの時からのファンの子もいるし、パリ行ったことで世界中のフォロワーも増えたんだ」
そう言いながらスマホの画面を弄り、インストのマイページを開いた奏ちゃん。伊織くんがたくさんの芸能人との写真を載せていたSNSだ。
伊織くんの8万フォローだって驚いたのに、奏ちゃんのフォロワー数は44万人。今まで覗いてみたこともなかったけれど、たくさんの奏ちゃんの画像が並んでいる。
可愛いものから綺麗なものから格好いいものまで……。こんなに色んな奏ちゃんが見られたら、きっとファンは嬉しいだろう。
「よ、44万人!?」
「間宮さんの番組出たら一晩でぐんぐん延びたんだよね……テレビって凄いわ」
彼女はそんなふうに感心している。今の状態でCMに出れば人気はまたも上がるだろう。
「じゃあ、是非お仕事もらいたいね!」
「でしょ? だからまどかちゃんも一緒に来てよ。あっくんが一緒ならいいでしょ?」
「もちろんだよ! そういうことなら是非行かせてもらう!」
私は笑顔で頷いた。伊織くんとの食事会とはまるで違う。似ていないといえば嘘になるが……。
しかし、お呼ばれしているのはあくまでもホームパーティーであり、聞けば社長さんの奥さんとお子さんも一緒とのこと。
あまねくんや律くんも一緒にと最初から声をかけてくれる辺りに好感がもてた。
「え? 千愛希さん?」
私は意外な名前に驚いて目を瞬かせた。前回千愛希さんと会った時には、あんなにも言い合いをするような仲だったのに。私の時も名前で呼んでくれるまでどれ程の期間がかかったことか。
それなのに、彼女は平然と千愛希さんの名前を呼ぶ。一体全体どういうことだろうか。
「奏ちゃん、千愛希さんと仲良くはなかったよね?」
「それがさ、なんか千愛希さんところの社長さんが私のファンだったみたいで是非会いたいって言われたんだよね」
「えぇ!?」
「調べてみたらかなり大きい会社でさ……千愛希さんがりっちゃんにお世話になってるなら私とスポンサー契約してもいいって言ってくれて……」
奏ちゃんはへへっと笑う。照れ臭そうなその表情がなんとも言えず可愛いけれど、本人は嬉しそうだ。
「スポンサー契約って……」
「まあ、もちろん事務所通してにはなるんだけど、アプリゲームの会社かなんかだよね? 新作のゲームがあるから、そのCMをやって欲しいってお願いされてさ」
「えぇ!? 凄いじゃん!」
「う、うん。何かそこの社長さんが初めて雑誌の表紙になった時から応援してくれたみたいでさ」
「へぇ……じゃあ、ギャル好き?」
「まあね。でも、今の格好も印象変わってこれはこれでいいって言って応援してくれてるみたいでさ」
とても嬉しそうな奏ちゃん。私は、ゲーム会社の社長と聞いて、5、60代の小太りで少し頭の薄いギャル好きの男性を想像していた。
う、うん……。まあ、スポンサーってあんなイメージかもと勝手な想像をする。
「それで、その社長さんと食事会と何が関係あるの?」
「それが、千愛希さんってその社長の家族とも仲良いらしくて、ホームパーティーに呼ばれたんだよ」
「へぇ……」
「それで、りっちゃんと私とまどかちゃんとあっくん皆でお呼ばれされてるんだけど聞いてない?」
「き、聞いてないよ! あまねくんは千愛希さんの連絡先知ってるから、連絡がくるならそっちからかと思うけど……」
「そう。とにかく行ってみようと思ってさ。CM決まったら嬉しいし」
「し、CMって高いんだよね……?」
「うん。多分、上手くいけば1本2千万くらいはいくかと」
「に、2千万!?」
私は顎が外れるのではないかというほど、口を開けて唖然とした。
「一応テレビは駆け出しだけど、もともとモデルの時からのファンの子もいるし、パリ行ったことで世界中のフォロワーも増えたんだ」
そう言いながらスマホの画面を弄り、インストのマイページを開いた奏ちゃん。伊織くんがたくさんの芸能人との写真を載せていたSNSだ。
伊織くんの8万フォローだって驚いたのに、奏ちゃんのフォロワー数は44万人。今まで覗いてみたこともなかったけれど、たくさんの奏ちゃんの画像が並んでいる。
可愛いものから綺麗なものから格好いいものまで……。こんなに色んな奏ちゃんが見られたら、きっとファンは嬉しいだろう。
「よ、44万人!?」
「間宮さんの番組出たら一晩でぐんぐん延びたんだよね……テレビって凄いわ」
彼女はそんなふうに感心している。今の状態でCMに出れば人気はまたも上がるだろう。
「じゃあ、是非お仕事もらいたいね!」
「でしょ? だからまどかちゃんも一緒に来てよ。あっくんが一緒ならいいでしょ?」
「もちろんだよ! そういうことなら是非行かせてもらう!」
私は笑顔で頷いた。伊織くんとの食事会とはまるで違う。似ていないといえば嘘になるが……。
しかし、お呼ばれしているのはあくまでもホームパーティーであり、聞けば社長さんの奥さんとお子さんも一緒とのこと。
あまねくんや律くんも一緒にと最初から声をかけてくれる辺りに好感がもてた。
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