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風雲児
【40】
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「なんか、その通りだなって思った自分が悔しいです」
「ふふ。私もちょっと律くんのことわかってきたかな?」
「ですかね」
「それで、律くんは千愛希さんとはどうなの?」
「どうって……」
「お付き合い」
「……別に」
「なあんだ、まだ友達か」
「出会って間もないですからね」
「私とあまねくんは出会ってから1ヶ月で付き合ったってば」
「その前に奴は9年片想いしてますから」
「それ私知らなかったし」
「……女性は出会ってから付き合うまでの時間って気にしないものですか?」
「うーん……やっぱりそれも人によるのかな? 私は出会ってすぐまた会いたいなぁとか、何か気になるなぁって思ってたから。一緒にいてほしい時に傍にいてくれたから、期間なんて関係なくこれからも一緒にいてほしいなあって思ったよ」
「そう……ですか」
律くんはソファーに浅く座ったまま、背もたれに背中を預けて天井を見上げた。
「恋愛って難しいよね。どこで何があるかわかんないし。茉紀も今は大変だけど、前に進んで欲しいと思うし、当然律くんにだって幸せになって欲しいって思うよ」
「それはどーも」
「私も他人の顔色ばっかり伺って全然言いたいことも言えないし、聞きたいことも聞けない人間だったの。でも、あまねくんが凄く素直だから……私も素直になれたし。
律くんもたまには道徳とかそういうの忘れて、自分の気持ちに素直になったらいいと思う。時には自分の本能に従うのも悪くないかもしれないよ」
「そんなことしたら守屋家が壊滅する」
律くんはおかしそうに笑った。
「壊滅?」
「うん。まあ、そうだな……でも、代わりだって思ってるわけじゃないよ。あれはあれでいいところあるし」
「ん? 何の話?」
「こっちの話。まどかさんもしっかり周に引っ付いてないと、その内拐われてもしらないよ」
「え!? なに!? 誰が、何の話!?」
「さあ? あなたと周はトラブルが好きみたいだから。あなたも周くらい独占欲が強ければ相手も諦めるしかないのにね。変に隙だらけだから悪いんだよ」
困った人、なんて言いながら律くんは笑っている。伊織くんのことはあまねくんにしか言ってない筈なのに、彼はそんなことを言う。
諦めるも何も、あまねくんがちゃんと言ってくれたし、奏ちゃんからもお断りをしておいてもらった。
今の段階では、私とあまねくんを邪魔する人はいない筈なのにと思いながら律くんを見上げた。
「まあ、俺なら毎日気が気じゃなくて身がもたないだろうから周で丁度いいんだろうね。俺、明日早いんで風呂入って寝ますよ。周待ってるのもいいけど、あんまり夜更かしし過ぎないようにね」
律くんはそう言うと、軽く私の頭を撫でてから立ち上がり、スマホを触りながら背を向けた。
私は、律くんの体温が残る頭を自分で擦りながらもう一度首を傾げた。
「ふふ。私もちょっと律くんのことわかってきたかな?」
「ですかね」
「それで、律くんは千愛希さんとはどうなの?」
「どうって……」
「お付き合い」
「……別に」
「なあんだ、まだ友達か」
「出会って間もないですからね」
「私とあまねくんは出会ってから1ヶ月で付き合ったってば」
「その前に奴は9年片想いしてますから」
「それ私知らなかったし」
「……女性は出会ってから付き合うまでの時間って気にしないものですか?」
「うーん……やっぱりそれも人によるのかな? 私は出会ってすぐまた会いたいなぁとか、何か気になるなぁって思ってたから。一緒にいてほしい時に傍にいてくれたから、期間なんて関係なくこれからも一緒にいてほしいなあって思ったよ」
「そう……ですか」
律くんはソファーに浅く座ったまま、背もたれに背中を預けて天井を見上げた。
「恋愛って難しいよね。どこで何があるかわかんないし。茉紀も今は大変だけど、前に進んで欲しいと思うし、当然律くんにだって幸せになって欲しいって思うよ」
「それはどーも」
「私も他人の顔色ばっかり伺って全然言いたいことも言えないし、聞きたいことも聞けない人間だったの。でも、あまねくんが凄く素直だから……私も素直になれたし。
律くんもたまには道徳とかそういうの忘れて、自分の気持ちに素直になったらいいと思う。時には自分の本能に従うのも悪くないかもしれないよ」
「そんなことしたら守屋家が壊滅する」
律くんはおかしそうに笑った。
「壊滅?」
「うん。まあ、そうだな……でも、代わりだって思ってるわけじゃないよ。あれはあれでいいところあるし」
「ん? 何の話?」
「こっちの話。まどかさんもしっかり周に引っ付いてないと、その内拐われてもしらないよ」
「え!? なに!? 誰が、何の話!?」
「さあ? あなたと周はトラブルが好きみたいだから。あなたも周くらい独占欲が強ければ相手も諦めるしかないのにね。変に隙だらけだから悪いんだよ」
困った人、なんて言いながら律くんは笑っている。伊織くんのことはあまねくんにしか言ってない筈なのに、彼はそんなことを言う。
諦めるも何も、あまねくんがちゃんと言ってくれたし、奏ちゃんからもお断りをしておいてもらった。
今の段階では、私とあまねくんを邪魔する人はいない筈なのにと思いながら律くんを見上げた。
「まあ、俺なら毎日気が気じゃなくて身がもたないだろうから周で丁度いいんだろうね。俺、明日早いんで風呂入って寝ますよ。周待ってるのもいいけど、あんまり夜更かしし過ぎないようにね」
律くんはそう言うと、軽く私の頭を撫でてから立ち上がり、スマホを触りながら背を向けた。
私は、律くんの体温が残る頭を自分で擦りながらもう一度首を傾げた。
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