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それぞれの門出
【12】
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数秒待ってあまねくんは話し始めた。茉紀の子供のこと、ゲームのこと。暫く「うん、うん」と頷いたあと「ねぇ光輝くん、どうぶつの海限定のやつじゃなくていい? ポシェモン限定のスキッチならくれるって」と光輝に向かって言っている。
いや、限定スキッチって、スキッチ何個持ってんのさ……。
「いい! みんなもってるの普通のだよ! ポシェモンのやつの方が新しい!」
「へぇ……。だってさ」
そう律くんに会話を戻し、再び「うん、うん」と頷いている。その内に「わかった。後で取りに行く」なんて言っている。
あまねくんは電話を切って茉紀に向き直り、「くれるそうなので、後でもらいに行ってきます」と言った。
「あんた……意外と強引だね」
呆れた様子の茉紀は、負けたと言ったように大きく息をついたが、その内ふっと笑って「ありがとね」と言った。
ようやく安堵したあまねくんは「やったな」と言って掌を光輝の目の前にかざす。
「やったぜ!」
光輝は嬉しそうにあまねくんの手にハイタッチした。
「しょうがない。ソフトくらいなら買ってやるか……」
そう言った茉紀に「あ、ポシェモンとホリオブラザーズとどうぶつの海くれるって言ってましたよ」とあまねくん。
律くん太っ腹だな……。
「は!? さすがにそんなにもらえないよ!」
「もう全部攻略しちゃったからいらないらしいですよ」
平然とあまねくんはそう言っている。
「ねぇ、ゲームってそんなに簡単にクリアできるものなの?」
素朴な疑問をぶつけてみた。
「ああ、律は特殊じゃない? ハマると徹夜でやるしね……頭の回転も早いからコツつかむと進むのめちゃくちゃ早いんだよね……」
「ああ……なるほど……」
理由がわかり、大きく頷いたのは私。なにはともあれ、光輝の欲しかったスキッチは手に入りそうで、隣で「よかったね」と笑う戸塚さんに「まさむねも一緒にやろう!」と光輝は弾むような声で言った。
「うーん、俺はあんまりゲームは得意じゃないんだよなぁ」
「いいよ! おれが教えてあげる!」
すっかりその気の光輝は、得意そうに笑みを溢して言った。口の周りカレーだらけだけど。
戸塚さんは、光輝の口をティッシュで拭ってやり、「うん、じゃあ教えてもらう」と光輝に合わせている。
「とにかく食事の時は先に食べちゃいなさい!」
茉紀が4人に向かっていると、驚いたように顔を上げ、皆急いで食べ始めた。
その様子が微笑ましく、私も食べる手を進めた。
全員が食べ終わり、私が食器を洗いながら、皆の様子を伺っていると「じゃあそろそろ取りに行ってこようかな」とあまねくんは立ち上がった。
「おれもいく!」
すぐに光輝もすくっと立ち上がってあまねくんの足にしがみついた。
「あ、じゃあ私も行くよ。ちゃんとお礼したいし」
それに茉紀も続く。
「いや、茉紀さんはいいですよ。取りに行くだけですし」
「それじゃ困るよ! そんなに高価なものいただくのにお礼もなしに使わせられない!」
茉紀はこういうところの礼儀はしっかりとしている。慌てた様子の茉紀に「そういうことなら……」とあまねくん。
しかしすぐにはっとした顔をさせて私と戸塚さんを交互に見つめた。
私があまねくんの様子に疑問を抱いて首を傾げると「心配しなくても後輩の奥さんに手出したりしないよ」と笑って言った。
「ちょっ、あまねくん……」
そういう意図だったのかと私はかあっと体中が熱くなる中、眉を下げてあまねくんに訴えかけた。
いや、限定スキッチって、スキッチ何個持ってんのさ……。
「いい! みんなもってるの普通のだよ! ポシェモンのやつの方が新しい!」
「へぇ……。だってさ」
そう律くんに会話を戻し、再び「うん、うん」と頷いている。その内に「わかった。後で取りに行く」なんて言っている。
あまねくんは電話を切って茉紀に向き直り、「くれるそうなので、後でもらいに行ってきます」と言った。
「あんた……意外と強引だね」
呆れた様子の茉紀は、負けたと言ったように大きく息をついたが、その内ふっと笑って「ありがとね」と言った。
ようやく安堵したあまねくんは「やったな」と言って掌を光輝の目の前にかざす。
「やったぜ!」
光輝は嬉しそうにあまねくんの手にハイタッチした。
「しょうがない。ソフトくらいなら買ってやるか……」
そう言った茉紀に「あ、ポシェモンとホリオブラザーズとどうぶつの海くれるって言ってましたよ」とあまねくん。
律くん太っ腹だな……。
「は!? さすがにそんなにもらえないよ!」
「もう全部攻略しちゃったからいらないらしいですよ」
平然とあまねくんはそう言っている。
「ねぇ、ゲームってそんなに簡単にクリアできるものなの?」
素朴な疑問をぶつけてみた。
「ああ、律は特殊じゃない? ハマると徹夜でやるしね……頭の回転も早いからコツつかむと進むのめちゃくちゃ早いんだよね……」
「ああ……なるほど……」
理由がわかり、大きく頷いたのは私。なにはともあれ、光輝の欲しかったスキッチは手に入りそうで、隣で「よかったね」と笑う戸塚さんに「まさむねも一緒にやろう!」と光輝は弾むような声で言った。
「うーん、俺はあんまりゲームは得意じゃないんだよなぁ」
「いいよ! おれが教えてあげる!」
すっかりその気の光輝は、得意そうに笑みを溢して言った。口の周りカレーだらけだけど。
戸塚さんは、光輝の口をティッシュで拭ってやり、「うん、じゃあ教えてもらう」と光輝に合わせている。
「とにかく食事の時は先に食べちゃいなさい!」
茉紀が4人に向かっていると、驚いたように顔を上げ、皆急いで食べ始めた。
その様子が微笑ましく、私も食べる手を進めた。
全員が食べ終わり、私が食器を洗いながら、皆の様子を伺っていると「じゃあそろそろ取りに行ってこようかな」とあまねくんは立ち上がった。
「おれもいく!」
すぐに光輝もすくっと立ち上がってあまねくんの足にしがみついた。
「あ、じゃあ私も行くよ。ちゃんとお礼したいし」
それに茉紀も続く。
「いや、茉紀さんはいいですよ。取りに行くだけですし」
「それじゃ困るよ! そんなに高価なものいただくのにお礼もなしに使わせられない!」
茉紀はこういうところの礼儀はしっかりとしている。慌てた様子の茉紀に「そういうことなら……」とあまねくん。
しかしすぐにはっとした顔をさせて私と戸塚さんを交互に見つめた。
私があまねくんの様子に疑問を抱いて首を傾げると「心配しなくても後輩の奥さんに手出したりしないよ」と笑って言った。
「ちょっ、あまねくん……」
そういう意図だったのかと私はかあっと体中が熱くなる中、眉を下げてあまねくんに訴えかけた。
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