【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

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それぞれの門出

【18】

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 玄関の鍵を閉め、廊下を歩きながら「戸塚さんってやっぱりいい人だよね。子供ともあんなに遊んでくれてさ。凄くいいパパになりそう」と笑って言うと、急に二の腕を掴まれ、体がグイッと後ろに引っ張られた。

「ひゃっ!?」

 驚いてバランスを崩すが、すぐにあまねくんの体で支えられ、後頭部を胸に預ける形になった。

「俺だって麗夢ちゃんになつかれてたよ?」

「うん? 知ってるよ。私の時には泣きそうな顔してたのに。あーあ、私も麗夢抱っこしたかったなぁ……」

「まどかさんには俺の子がいるじゃん……」

「うん……もうすぐ、楽しみ」

「俺も。……その子の父親は俺だよ」

「ん? そうだよ。何で?」

「戸塚さんはいい人だけど、陽茉莉のパパにはなれないよ……」

 後ろからぎゅっと抱き締められ、頬を擦り寄せる彼。私は唖然として、目線だけをそちらに移した。

「あまねくん、何言ってるの?」

「まどかさんがいいパパになりそうとか言うからじゃん」

 腕ごと抱き締められて、あまねくんの体温が背中いっぱいに広がる。

「もう……やきもち?」

「ん……」

「陽茉莉のパパはあまねくんだけだよ。戸塚さんはいいパパになりそうだけど、そういう意味で言ったんじゃないの」

「戸塚さんは好きだけど、まどかさんが俺以外の男を褒めるのはやだ……」

 顔を伏せて、私の肩に顔を埋めてしまった彼。嫉妬と言うよりも落ち込んでいる。

「あまねくん……私はあまねくんだっていいパパになってくれるって思ってるよ。陽茉莉が産まれたらいっぱい抱っこして欲しいし、いっぱい遊んで欲しい」

「うん……。でも、俺戸塚さんみたいにレンジャーごっこできないよ……」

「大丈夫。陽茉莉は女の子だから」

「あ、そうか……」

 ばっと顔を上げたあまねくんは、その場で一時停止する。しかし、すぐに「おままごとも自信ないなぁ……」と項垂れた。

「あまねくん、そんなこと言ってももう数日で産まれちゃうんだよ? 夜泣きが酷い時はちゃんと手伝ってくれるって言ったでしょ?」

「言った!」

「私はあまねくんだけが頼りなんだからね……頼むよ?」

 私がそう言うと、彼はまた勢いよく顔を上げ、「頼りなの、俺だけ!?」と声を弾ませた。

「そうだよ。パパなんだから……あまねくんがしっかりしてくれないと、私頼る人がいなくなっちゃうよ」

「そっか! そうだよね! 俺とまどかさんだけだもんね!」

 何だか嬉しそうに頬にキスをくれるあまねくん。未だに抱き締められたまま、キスの雨は続く。
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