183 / 208
それぞれの門出
【27】
しおりを挟む
ーー
次の日目が覚めると、あまねくんの朝食が用意されていた。彼が反省した日は決まって朝が弱いくせに朝食を作ってくれる。
「おはよう! まどかさん」
「おはよう……早いね……」
目をとろとろさせながらキッチンへ行く。洗い物も既に終わっており、私の出番はなさそうだ。
「うん! 俺ね、考えたんだけどやっぱり俺、まどかさんに対する愛情が足りてなかったんだと思うんだ」
「……ん?」
「変に嫉妬したり、過去の恋愛に落ち込んだりしてるよりも今のまどかさんと陽茉莉をいっぱい愛さなきゃなって思って!」
「う、うん……」
「律や他の男が入る隙がないくらい、いっぱい愛情を注ごうと思ってね!」
「……ありがとうね」
……大丈夫だろうか。目が爛々としてるけど……もしかして彼は一睡もしていないんじゃないだろうか……。
眠気MAXを超えた謎のハイテンションのようにも見える。
「とりあえず、これから毎日朝ご飯は俺が作るね! それで、ゴールデンウィーク明けたら有給を取ることにしたよ!」
「え? え? 有給は予定日前後3日くらいにするって言ってなかった?」
「でもね、出産しても5日間は入院でしょ? ゴールデンウィーク中は病院通って、その後1週間休みとれば産後もずっと一緒にいれるでしょ? 実家帰っても毎日1日中一緒にいれるもんね!」
おお……そういう考えに至ったのね……。
「あまねくん、気持ちは嬉しいけど、有給は夏休みで結構使っちゃったんじゃなかった?」
「うん、でも10月に新しくもらったからまだあるんだ。夏休みは特別休暇もお盆休みもあったから、有給消化しきれてないし」
「でも、せっかくのお休みを全部私と陽茉莉に使ったら疲れちゃうんじゃないかな……」
「疲れちゃうのはまどかさんでしょ! 大丈夫! 沐浴も講座受けたの勉強し直したし、オムツの変え方も復習したよ! だから沐浴とオムツは俺がするでしょ。あ、あと泣いたら俺が抱っこするね!」
……それ、私母乳あげるくらいしかやることないんじゃ……。
「そんなに頑張ったらあまねくんがパンクしちゃうよ……」
「ううん、お母さんはね、母乳あげるとすっごいエネルギー消費するんだって! 3時間おきに母乳あげなきゃいけないんだよ。だからね、3時間はちゃんと睡眠とってその間は全部俺に任せて欲しいと思って!」
本当に大丈夫だろうか……。何だかとてもやる気に満ちているあまねくん。父親としての自覚が出始めたのは嬉しいけれど、なんかいき過ぎな気がする……。
「あとね、さっき律に電話したらベビーカーは律が出産祝いでプレゼントしてくれるんだって!」
さっき電話って……今6時7分だけど……5時台にかけたってこと……? 迷惑!
「そっか……ありがたいね」
「だから今日は律とベビーカー見に行こうよ!」
「……律くん、いいって?」
「うん! もう迎え行くねって言っちゃったもん」
強引!
こちらも仲直りしてくれたようで結構だけど、結局律くんもあまねくんに振り回されてるんだよな……。
日曜日の本日も朝から忙しくなりそうです。
次の日目が覚めると、あまねくんの朝食が用意されていた。彼が反省した日は決まって朝が弱いくせに朝食を作ってくれる。
「おはよう! まどかさん」
「おはよう……早いね……」
目をとろとろさせながらキッチンへ行く。洗い物も既に終わっており、私の出番はなさそうだ。
「うん! 俺ね、考えたんだけどやっぱり俺、まどかさんに対する愛情が足りてなかったんだと思うんだ」
「……ん?」
「変に嫉妬したり、過去の恋愛に落ち込んだりしてるよりも今のまどかさんと陽茉莉をいっぱい愛さなきゃなって思って!」
「う、うん……」
「律や他の男が入る隙がないくらい、いっぱい愛情を注ごうと思ってね!」
「……ありがとうね」
……大丈夫だろうか。目が爛々としてるけど……もしかして彼は一睡もしていないんじゃないだろうか……。
眠気MAXを超えた謎のハイテンションのようにも見える。
「とりあえず、これから毎日朝ご飯は俺が作るね! それで、ゴールデンウィーク明けたら有給を取ることにしたよ!」
「え? え? 有給は予定日前後3日くらいにするって言ってなかった?」
「でもね、出産しても5日間は入院でしょ? ゴールデンウィーク中は病院通って、その後1週間休みとれば産後もずっと一緒にいれるでしょ? 実家帰っても毎日1日中一緒にいれるもんね!」
おお……そういう考えに至ったのね……。
「あまねくん、気持ちは嬉しいけど、有給は夏休みで結構使っちゃったんじゃなかった?」
「うん、でも10月に新しくもらったからまだあるんだ。夏休みは特別休暇もお盆休みもあったから、有給消化しきれてないし」
「でも、せっかくのお休みを全部私と陽茉莉に使ったら疲れちゃうんじゃないかな……」
「疲れちゃうのはまどかさんでしょ! 大丈夫! 沐浴も講座受けたの勉強し直したし、オムツの変え方も復習したよ! だから沐浴とオムツは俺がするでしょ。あ、あと泣いたら俺が抱っこするね!」
……それ、私母乳あげるくらいしかやることないんじゃ……。
「そんなに頑張ったらあまねくんがパンクしちゃうよ……」
「ううん、お母さんはね、母乳あげるとすっごいエネルギー消費するんだって! 3時間おきに母乳あげなきゃいけないんだよ。だからね、3時間はちゃんと睡眠とってその間は全部俺に任せて欲しいと思って!」
本当に大丈夫だろうか……。何だかとてもやる気に満ちているあまねくん。父親としての自覚が出始めたのは嬉しいけれど、なんかいき過ぎな気がする……。
「あとね、さっき律に電話したらベビーカーは律が出産祝いでプレゼントしてくれるんだって!」
さっき電話って……今6時7分だけど……5時台にかけたってこと……? 迷惑!
「そっか……ありがたいね」
「だから今日は律とベビーカー見に行こうよ!」
「……律くん、いいって?」
「うん! もう迎え行くねって言っちゃったもん」
強引!
こちらも仲直りしてくれたようで結構だけど、結局律くんもあまねくんに振り回されてるんだよな……。
日曜日の本日も朝から忙しくなりそうです。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
専属秘書は極上CEOに囚われる
有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる