【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

文字の大きさ
184 / 208
それぞれの門出

【28】

しおりを挟む
 午前10時。あまねくんの車で迎えに行き、律くんと千愛希さんと合流した。

 大型のベビー用品店に行き、4人で中を歩く。私は律くんの横に並び「律くん、ごめんね……あまねくんが朝早くから電話をかけたみたいで……」と申し訳なく、しっかりと謝罪させていただいた。

「ああ……大丈夫です。もうね、昔からなんです。自分の都合で行動するから。俺は周程朝が弱いわけでもないから……まあ、今更……」

 そう言いながら律くんは悟りを開いたような顔をしている。
 昔からか……それはそれは……お兄ちゃんって大変だな……。

「千愛希さんもごめんね……。律くんと約束あったんでしょ? 何だか邪魔したみたいになっちゃって……」

 律くんの左隣を並んで歩く千愛希さんにもそう言うと、彼女は律くんの後ろをささっと通って私を通り越してから右隣に並んだ。

「私、まどかさんに会えて嬉しいです! 律なんていつでも会えますからね! 周くんがお誘いしてくれたんですよ! 急にまどかさんに会えることになって夢みたい!」

 彼女は胸の前で手を組んで、きゃっきゃと嬉しそうにしている。律くんは私の隣で「俺の扱い雑じゃない? どいつもこいつも……」そう不服そうにしている。
 千愛希さんは相変わらずで、デートを邪魔してしまったなら申し訳ないなと思っていたが、嬉しそうにしてくれているので私も安堵することができた。

「ベビーカーっていっぱいあるんだね……どれがいいのかな?」

 あまねくんは一足先にベビーカー売り場に行っており、そこに私達が追い付く形となった。
 色んな種類のベビーカーをじっと見つめるあまねくん。

「あれから昨日は大丈夫でした?」

 律くんが小声で私に尋ねた。

「大丈夫。解決したよ。律くんとあまねくんも仲直りできたみたいでよかったよ。ありがとうね」

「仲直りも何も周が勝手に膨れてるだけだからね。昔からそうだからそれも今更。変な劣等感あるみたいだからね」

「本人から聞いたよ。でも何だか今朝からハイテンションで……ちょっと心配」

「その内、落ち着きますよ。急に悟りを開いたみたいにおとなしくなったりするから。周の緩急に慣れないと振り回されますからね。いつもと違うと思っても自己解決するまで放っておくのが利口な方法です」

「えー……」

「まだ一緒に住み始めて8ヶ月経たないくらいでしょ。今真剣に悩んだりしてると本当に身が持たないから。子供が生まれたらもっと振り回されますよ」

「私大丈夫かな……」

「まあ、無理になったらうちに逃げてきたらいいですよ。どんなに子供みたいに悪態ついてもあなたから離れられないのは周の方なんだから」

 そう言ってベビーカーを物色しているあまねくんをみて律くんはクスクス笑っている。

「律ー、ベビーカーってどれがいいの?」

「俺に聞かないでよ。店員さん呼んだら?」

 律くんを手招きし、渋々あまねくんの隣に並ぶ律くん。遠くから見ている分には華麗なる兄弟なんだけどなぁ……。

 私の隣にいた千愛希さんは、律くん同様小声で「まどかさん、昨日の話律から聞きました。私が周くんを誘っちゃったこと、すみません」と謝られてしまった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

専属秘書は極上CEOに囚われる

有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...