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それぞれの門出
【35】
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「まどかさんが、明るく元気な子に願いを込めてつけてくれたのは凄く素敵だと思うんだ。でも、俺はまどかさんみたいに綺麗で気品のある子にも育ってほしいって思うんだ。清楚な意味も込めて茉莉も入れたし……だから、まどかさんさえ良ければ楊貴妃の妃はどうかなって」
「楊貴妃……? 私、そんなに品格とかないよ。自分の子供に妃をつけるって名前負けしたりしない……?」
とてもいい案だとは思うけれど三大美女と呼ばれる楊貴妃から名前を取るなんて……将来いじめられたりしないかなと不安になる。
「何言ってんの、まどかさん。俺とまどかさんとの子供だよ? 名前負けなんて無縁に決まってるじゃん」
珍しく強気なあまねくん。自分の容姿が嫌いなくせに、自信満々にそう言うあまねくん。よっぽど陽菜ちゃんと同じ字を使うの嫌なんだろうな……。
たしかに、何かの拍子で陽茉莉の字に自分の名前が入っていることを知った陽菜ちゃんが、自分を意識してくれたのかもしれないなんて勝手に勘違いする可能性もなくはない。そういう突拍子もない考え方をするような子だ。
名前は一生ものだし、私とあまねくんの手から離れた後もその名前を背負って生きていくのだ。それを考えたらやはりどうにも縁起の悪い字に見えてならない。
忘れてたけど、私今年のおみくじ凶だったし。ここは大吉のあまねくんの意見を尊重した方がいい気がしてきた。
「……何だかんだ全部の字を私一人で決めて、あまねくんとは答え合わせをしただけだから、あまねくんがちゃんと意味まで考えてそうしたいって言うならそれもいいかなって思うよ」
「本当!? じゃあ、妃茉莉に変更でいい?」
「……うん。どうかな……他の人の意見も聞く?」
「……聞く?」
あまねくんと私は顔を突き付けて、首を傾げた。守屋家全員が揃ったところで、経緯を話した。
家族全員苦虫を噛み潰したような顔をしていた。満場一致で改名が決まり、私とあまねくんは妃茉莉で出生届を出しに行くのだった。
「楊貴妃……? 私、そんなに品格とかないよ。自分の子供に妃をつけるって名前負けしたりしない……?」
とてもいい案だとは思うけれど三大美女と呼ばれる楊貴妃から名前を取るなんて……将来いじめられたりしないかなと不安になる。
「何言ってんの、まどかさん。俺とまどかさんとの子供だよ? 名前負けなんて無縁に決まってるじゃん」
珍しく強気なあまねくん。自分の容姿が嫌いなくせに、自信満々にそう言うあまねくん。よっぽど陽菜ちゃんと同じ字を使うの嫌なんだろうな……。
たしかに、何かの拍子で陽茉莉の字に自分の名前が入っていることを知った陽菜ちゃんが、自分を意識してくれたのかもしれないなんて勝手に勘違いする可能性もなくはない。そういう突拍子もない考え方をするような子だ。
名前は一生ものだし、私とあまねくんの手から離れた後もその名前を背負って生きていくのだ。それを考えたらやはりどうにも縁起の悪い字に見えてならない。
忘れてたけど、私今年のおみくじ凶だったし。ここは大吉のあまねくんの意見を尊重した方がいい気がしてきた。
「……何だかんだ全部の字を私一人で決めて、あまねくんとは答え合わせをしただけだから、あまねくんがちゃんと意味まで考えてそうしたいって言うならそれもいいかなって思うよ」
「本当!? じゃあ、妃茉莉に変更でいい?」
「……うん。どうかな……他の人の意見も聞く?」
「……聞く?」
あまねくんと私は顔を突き付けて、首を傾げた。守屋家全員が揃ったところで、経緯を話した。
家族全員苦虫を噛み潰したような顔をしていた。満場一致で改名が決まり、私とあまねくんは妃茉莉で出生届を出しに行くのだった。
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