【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

文字の大きさ
191 / 208
それぞれの門出

【35】

しおりを挟む
「まどかさんが、明るく元気な子に願いを込めてつけてくれたのは凄く素敵だと思うんだ。でも、俺はまどかさんみたいに綺麗で気品のある子にも育ってほしいって思うんだ。清楚な意味も込めて茉莉も入れたし……だから、まどかさんさえ良ければ楊貴妃の妃はどうかなって」

「楊貴妃……? 私、そんなに品格とかないよ。自分の子供にきさきをつけるって名前負けしたりしない……?」

 とてもいい案だとは思うけれど三大美女と呼ばれる楊貴妃から名前を取るなんて……将来いじめられたりしないかなと不安になる。

「何言ってんの、まどかさん。俺とまどかさんとの子供だよ? 名前負けなんて無縁に決まってるじゃん」

 珍しく強気なあまねくん。自分の容姿が嫌いなくせに、自信満々にそう言うあまねくん。よっぽど陽菜ちゃんと同じ字を使うの嫌なんだろうな……。

 たしかに、何かの拍子で陽茉莉の字に自分の名前が入っていることを知った陽菜ちゃんが、自分を意識してくれたのかもしれないなんて勝手に勘違いする可能性もなくはない。そういう突拍子もない考え方をするような子だ。
 名前は一生ものだし、私とあまねくんの手から離れた後もその名前を背負って生きていくのだ。それを考えたらやはりどうにも縁起の悪い字に見えてならない。
 忘れてたけど、私今年のおみくじ凶だったし。ここは大吉のあまねくんの意見を尊重した方がいい気がしてきた。

「……何だかんだ全部の字を私一人で決めて、あまねくんとは答え合わせをしただけだから、あまねくんがちゃんと意味まで考えてそうしたいって言うならそれもいいかなって思うよ」

「本当!? じゃあ、妃茉莉に変更でいい?」

「……うん。どうかな……他の人の意見も聞く?」

「……聞く?」

 あまねくんと私は顔を突き付けて、首を傾げた。守屋家全員が揃ったところで、経緯を話した。

 家族全員苦虫を噛み潰したような顔をしていた。満場一致で改名が決まり、私とあまねくんは妃茉莉で出生届を出しに行くのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

専属秘書は極上CEOに囚われる

有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...