202 / 208
それぞれの門出
【46】
しおりを挟む
あまねくんが職場復帰して2週間が経った頃、私の眠気はピークだった。午後3時くらいから眠くて眠くて仕方がなくて、でも寝かせてもらえなくて……あまねくんの帰りを今か、今かと待つ。
ようやく帰って来たあまねくんを玄関まで出迎えに行く。
妃茉莉を抱えた私を見て「ただいま。今日も頑張ったね」そう言って先に私の頭を撫でてから頬にキスをくれた。
暫く化粧もしないで、髪も1つに結ったままで、服だって寝間着と変わらないようなラフなもの。すっかり洒落っ気のなくなってしまった私を、いつでも愛しそうな目で見つめる旦那さん。
「先に手洗うから妃茉莉抱っこはちょっと待っててね」
優しく微笑むあまねくん。手を洗って着替えを済ますと、妃茉莉の抱っこを交代してくれる。ぐずって泣く妃茉莉をずっと体を揺らしながらあやしてくれる。
安堵もあって、妃茉莉の重みが腕に残る疲労感もあって、そろそろ本当に眠気がピーク。
「まどかさん、こっちおいで」
妃茉莉を抱えながら私の手を引くあまねくんは、2階の寝室まで私を連れていく。階段を登るのだってもはや一苦労で、あまねくんに持ち上げられるように手を引っ張られてようやくの思いで一段、一段登っていく。
ベッドの上に、背をもたれて座ったあまねくんは「まどかさん、ここね」そう言って自分の腿を軽く叩いた。
「泣きそうな顔してる。眠れてないでしょ。おいで」
そう言って彼は、その綺麗な指で私の頬を撫でるとベッドへ横になるよう促した。
きゅうっと胸が音を立てる中、私はあまねくんの膝枕に頭を預ける。あまねくんの匂いが胸を満たして、安心感で一杯になった。涙が滲んで溢れそうになる。
「リビングで寝るのはさすがにね。皆帰ってきちゃうし」
彼はそう笑って私の頭をそっと撫でる。いつの間にか妃茉莉は泣き止んでいて、静寂に包まれると、電気のブレーカーが落ちたかのように私の目の前は真っ暗になった。
ようやく帰って来たあまねくんを玄関まで出迎えに行く。
妃茉莉を抱えた私を見て「ただいま。今日も頑張ったね」そう言って先に私の頭を撫でてから頬にキスをくれた。
暫く化粧もしないで、髪も1つに結ったままで、服だって寝間着と変わらないようなラフなもの。すっかり洒落っ気のなくなってしまった私を、いつでも愛しそうな目で見つめる旦那さん。
「先に手洗うから妃茉莉抱っこはちょっと待っててね」
優しく微笑むあまねくん。手を洗って着替えを済ますと、妃茉莉の抱っこを交代してくれる。ぐずって泣く妃茉莉をずっと体を揺らしながらあやしてくれる。
安堵もあって、妃茉莉の重みが腕に残る疲労感もあって、そろそろ本当に眠気がピーク。
「まどかさん、こっちおいで」
妃茉莉を抱えながら私の手を引くあまねくんは、2階の寝室まで私を連れていく。階段を登るのだってもはや一苦労で、あまねくんに持ち上げられるように手を引っ張られてようやくの思いで一段、一段登っていく。
ベッドの上に、背をもたれて座ったあまねくんは「まどかさん、ここね」そう言って自分の腿を軽く叩いた。
「泣きそうな顔してる。眠れてないでしょ。おいで」
そう言って彼は、その綺麗な指で私の頬を撫でるとベッドへ横になるよう促した。
きゅうっと胸が音を立てる中、私はあまねくんの膝枕に頭を預ける。あまねくんの匂いが胸を満たして、安心感で一杯になった。涙が滲んで溢れそうになる。
「リビングで寝るのはさすがにね。皆帰ってきちゃうし」
彼はそう笑って私の頭をそっと撫でる。いつの間にか妃茉莉は泣き止んでいて、静寂に包まれると、電気のブレーカーが落ちたかのように私の目の前は真っ暗になった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
専属秘書は極上CEOに囚われる
有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる