【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

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それぞれの門出

【46】

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 あまねくんが職場復帰して2週間が経った頃、私の眠気はピークだった。午後3時くらいから眠くて眠くて仕方がなくて、でも寝かせてもらえなくて……あまねくんの帰りを今か、今かと待つ。
 ようやく帰って来たあまねくんを玄関まで出迎えに行く。
 妃茉莉を抱えた私を見て「ただいま。今日も頑張ったね」そう言って先に私の頭を撫でてから頬にキスをくれた。
 暫く化粧もしないで、髪も1つに結ったままで、服だって寝間着と変わらないようなラフなもの。すっかり洒落っ気のなくなってしまった私を、いつでも愛しそうな目で見つめる旦那さん。

「先に手洗うから妃茉莉抱っこはちょっと待っててね」

 優しく微笑むあまねくん。手を洗って着替えを済ますと、妃茉莉の抱っこを交代してくれる。ぐずって泣く妃茉莉をずっと体を揺らしながらあやしてくれる。
 安堵もあって、妃茉莉の重みが腕に残る疲労感もあって、そろそろ本当に眠気がピーク。

「まどかさん、こっちおいで」

 妃茉莉を抱えながら私の手を引くあまねくんは、2階の寝室まで私を連れていく。階段を登るのだってもはや一苦労で、あまねくんに持ち上げられるように手を引っ張られてようやくの思いで一段、一段登っていく。

 ベッドの上に、背をもたれて座ったあまねくんは「まどかさん、ここね」そう言って自分の腿を軽く叩いた。

「泣きそうな顔してる。眠れてないでしょ。おいで」

 そう言って彼は、その綺麗な指で私の頬を撫でるとベッドへ横になるよう促した。
 きゅうっと胸が音を立てる中、私はあまねくんの膝枕に頭を預ける。あまねくんの匂いが胸を満たして、安心感で一杯になった。涙が滲んで溢れそうになる。

「リビングで寝るのはさすがにね。皆帰ってきちゃうし」

 彼はそう笑って私の頭をそっと撫でる。いつの間にか妃茉莉は泣き止んでいて、静寂に包まれると、電気のブレーカーが落ちたかのように私の目の前は真っ暗になった。
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