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俺様外科医なんか嫌いだ
噂の真相
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「同姓同名って……」
久我先生は動揺しているのか、か細い声でそう呟いた。
「噂されてるのは外来の子。うちの九ノ瀬はそれに巻き込まれた被害者だよ」
「……被害者」
「君たちみたいに噂が噂を呼んで、あの子は毎日後ろ指を差されて過ごしてる。それでも仕事は真面目にやるし、仕事を休んだりもしない」
「……じゃあ、なんであんな噂が」
「元々あることないこと言われる子なんだろうね。美人さんだからね、九ノ瀬は。女性同士のいざこざに巻き込まれるのはよくあることだ」
「……本当に無関係だってことですか?」
私がこっそり柱の影から覗くと、首を縦に振る川崎先生の後ろ姿が見えた。知ってくれてる人もいたんだ……しかも、川崎先生だなんて嬉しすぎる。
私は、先程の悔しさもあってうるっと涙腺が緩んだ。
「無関係だよ。なんなら彼女、男性不信だから」
「……え?」
……え? 感動も吹っ飛んだ。なぜそのことを先生が知ってるの? 私、川崎先生にそんなこと言った覚えはないけど……。
「あんまり他人のプライベートをベラベラ喋るのは良くないことだけど、誤解されたままじゃあまりにも可哀想だからね……」
そう前置きした川崎先生は、「昔一緒に働いてた医者が彼女と付き合っていてね」と話し始めた。
「これがまた女癖の悪いどうしようもないヤツだったんだけど、九ノ瀬はそれも知らずに1年ほど付き合ってたよ。結婚を仄めかされて、本気だったみたいだけど、彼にはその時既に同じ病棟に婚約者がいてさ」
「……はい?」
そうそう。そうだったわね……そうか。川崎先生は医者サイドから知ってるのね。アイツは私よりも前から川崎先生と一緒に働いていたわけだから、当然同じ病棟内に彼女がいることも知ってたわけか。
「さっさと結婚して辞めてったけどね、2人とも。九ノ瀬はその結婚報告がある日まで自分が彼女だと思ってたから。周りには関係を隠してたから、九ノ瀬との噂が広まることはなかったけど、俺には自慢気に話してたよ。丁度いいオモチャが手に入ったって」
……ドックン。胸の中で大きく何かがざわめいた。裏切られたことを知った時だってかなりこたえたけれど、まさかそこまで言われてたなんて知らなかったな……。
「愛莉彩のこと愛してるよ。もう1年付き合ったらご両親のところに挨拶に行こうか」
そう言って笑ってくれた彼の顔がぼんやりと脳裏に浮かんだ。
「結婚報告後は一方的に関係を絶ったみたいで、その後自分の患者を九ノ瀬に任せることも避けてたな。それでも彼女は仕事を休まずちゃんと出勤してきてた。毎日泣きそうな顔をしながらね」
川崎先生がそんなことを言うから、熱いものが目から溢れ、頬を濡らした。
久我先生は動揺しているのか、か細い声でそう呟いた。
「噂されてるのは外来の子。うちの九ノ瀬はそれに巻き込まれた被害者だよ」
「……被害者」
「君たちみたいに噂が噂を呼んで、あの子は毎日後ろ指を差されて過ごしてる。それでも仕事は真面目にやるし、仕事を休んだりもしない」
「……じゃあ、なんであんな噂が」
「元々あることないこと言われる子なんだろうね。美人さんだからね、九ノ瀬は。女性同士のいざこざに巻き込まれるのはよくあることだ」
「……本当に無関係だってことですか?」
私がこっそり柱の影から覗くと、首を縦に振る川崎先生の後ろ姿が見えた。知ってくれてる人もいたんだ……しかも、川崎先生だなんて嬉しすぎる。
私は、先程の悔しさもあってうるっと涙腺が緩んだ。
「無関係だよ。なんなら彼女、男性不信だから」
「……え?」
……え? 感動も吹っ飛んだ。なぜそのことを先生が知ってるの? 私、川崎先生にそんなこと言った覚えはないけど……。
「あんまり他人のプライベートをベラベラ喋るのは良くないことだけど、誤解されたままじゃあまりにも可哀想だからね……」
そう前置きした川崎先生は、「昔一緒に働いてた医者が彼女と付き合っていてね」と話し始めた。
「これがまた女癖の悪いどうしようもないヤツだったんだけど、九ノ瀬はそれも知らずに1年ほど付き合ってたよ。結婚を仄めかされて、本気だったみたいだけど、彼にはその時既に同じ病棟に婚約者がいてさ」
「……はい?」
そうそう。そうだったわね……そうか。川崎先生は医者サイドから知ってるのね。アイツは私よりも前から川崎先生と一緒に働いていたわけだから、当然同じ病棟内に彼女がいることも知ってたわけか。
「さっさと結婚して辞めてったけどね、2人とも。九ノ瀬はその結婚報告がある日まで自分が彼女だと思ってたから。周りには関係を隠してたから、九ノ瀬との噂が広まることはなかったけど、俺には自慢気に話してたよ。丁度いいオモチャが手に入ったって」
……ドックン。胸の中で大きく何かがざわめいた。裏切られたことを知った時だってかなりこたえたけれど、まさかそこまで言われてたなんて知らなかったな……。
「愛莉彩のこと愛してるよ。もう1年付き合ったらご両親のところに挨拶に行こうか」
そう言って笑ってくれた彼の顔がぼんやりと脳裏に浮かんだ。
「結婚報告後は一方的に関係を絶ったみたいで、その後自分の患者を九ノ瀬に任せることも避けてたな。それでも彼女は仕事を休まずちゃんと出勤してきてた。毎日泣きそうな顔をしながらね」
川崎先生がそんなことを言うから、熱いものが目から溢れ、頬を濡らした。
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