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愛情
【11】
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大きな頑丈そうなシャッターの前で彼の車が停まった。スマホを操作しているあまねくんの手元を何気なく見ていると、ゆっくりとシャッターが開いていく。
少しずつ見えていく車に、ここは車庫なんだと察するけれど、そこに並ぶ6台の高級車をみて驚く。
メーカーは同じものが2台で後は全て違った。けれど、エンブレムを見ればいつか雅臣が欲しいと言っていたものばかりで、高いものになると1台何千万もすることを知っていた。
「ここ……あまねくんちの車庫?」
「うん。妹の車がまだないから、来てないのかも」
「そう……。何か、すごい車ばっかりだけど、あまねくんのお父さんって何してる人?」
「弁護士だよ」
「弁護士!?」
「うん。言ってなかったっけ?」
「聞いてない! もしかして、自分で事務所持ってる……?」
「うん」
何でもないような表情で彼は車をバックさせる。何台も並ぶ高級車の間に躊躇なくさらっと駐車する。
あまねくんが税理士だから、家族の職業を色々想像した。雅臣のように親子揃って税理士という可能性も考えたが、まさか弁護士だったとは思わなかった。
あまねくんは弁護士にならなかったの? その質問はタブーだと思い、それ以上は口にしなかった。
司法試験に通り、弁護士を持っていれば税理士会に登録して税理士としても働けると以前雅臣に聞いたことがある。
あまねくんがどうして税理士を目指したのかはわからないけれど、弁護士か税理士かを選ぼうと思っていたとすれば、まず弁護士になっていたかもしれない。でも、それをしなかったということは、できなかった可能性もあったからだ。
「凄いお家だね……」
車から降りるのだって気を遣う。ドアを当てないように慎重に降りる。車同士の幅も広めにとってあって、敷地の広さを想像させる。
「そんなことないよ。築年数は結構いってるし。何回かリフォームはしてるけど古いからね」
あまねくんはそう言うけれど、何メートルか歩いても一向に玄関が見えてこない。どれ程大きな家なのかと尻込みしてしまう。
私の家は一般家庭で、父は高校の教師だ。姉は父の影響で教員免許を取ったけれど、私は他人に何かを教えるという行為に気が進まなくて、最初から教師になるつもりはなかった。
両親も、自分の好きなことをやりなさいと言ってくれたし、大学ではなく短大にしたことにも私が決めたことならと反対はしなかった。
ただ、学生時代に茉紀と一緒にいたことで何度か担任や学生指導の教員から両親に話があったようだった。それに対しては、茉紀についてあれこれ聞かれ、友達を選びなさいとも言われた。
しかし、茉紀の成績が決して悪くないことや、期間を決めて彼女なりにけじめをつけようとしていることなどを説明すれば、わかってくれた。
昔はギャルだった姉がよく教員免許をとって、今ではそんな面影もなく英語の教師として働けているなと驚くが、姉の通っていた高校は、成績さえよければ服装やメイクに対してほとんど口出しされることはないところだった。
その代わりに成績に対しては厳しく、ほとんどの学生がいい大学に進学している。
茉紀もあんなふうで、県内の国立大を卒業している。昔からファッション誌が好きだった彼女は、東京で大手の出版社に就職した。
それで彼女と一時疎遠になったということもあったのだけれど、旦那さんが静岡の人間だったことと、光輝を妊娠したことを機に静岡に帰ってきたのだった。
今では静岡の出版社で正社員として働き、現在育休中だ。あの持ち前の明るさとギャップとも言える高学歴とで、こんな就職困難な中、就活に失敗したという話を聞いたことがない。
彼女はいつも「私の人生での最大の失敗はアイツと出会ったこと」だと旦那の悪口を言っている。
少しずつ見えていく車に、ここは車庫なんだと察するけれど、そこに並ぶ6台の高級車をみて驚く。
メーカーは同じものが2台で後は全て違った。けれど、エンブレムを見ればいつか雅臣が欲しいと言っていたものばかりで、高いものになると1台何千万もすることを知っていた。
「ここ……あまねくんちの車庫?」
「うん。妹の車がまだないから、来てないのかも」
「そう……。何か、すごい車ばっかりだけど、あまねくんのお父さんって何してる人?」
「弁護士だよ」
「弁護士!?」
「うん。言ってなかったっけ?」
「聞いてない! もしかして、自分で事務所持ってる……?」
「うん」
何でもないような表情で彼は車をバックさせる。何台も並ぶ高級車の間に躊躇なくさらっと駐車する。
あまねくんが税理士だから、家族の職業を色々想像した。雅臣のように親子揃って税理士という可能性も考えたが、まさか弁護士だったとは思わなかった。
あまねくんは弁護士にならなかったの? その質問はタブーだと思い、それ以上は口にしなかった。
司法試験に通り、弁護士を持っていれば税理士会に登録して税理士としても働けると以前雅臣に聞いたことがある。
あまねくんがどうして税理士を目指したのかはわからないけれど、弁護士か税理士かを選ぼうと思っていたとすれば、まず弁護士になっていたかもしれない。でも、それをしなかったということは、できなかった可能性もあったからだ。
「凄いお家だね……」
車から降りるのだって気を遣う。ドアを当てないように慎重に降りる。車同士の幅も広めにとってあって、敷地の広さを想像させる。
「そんなことないよ。築年数は結構いってるし。何回かリフォームはしてるけど古いからね」
あまねくんはそう言うけれど、何メートルか歩いても一向に玄関が見えてこない。どれ程大きな家なのかと尻込みしてしまう。
私の家は一般家庭で、父は高校の教師だ。姉は父の影響で教員免許を取ったけれど、私は他人に何かを教えるという行為に気が進まなくて、最初から教師になるつもりはなかった。
両親も、自分の好きなことをやりなさいと言ってくれたし、大学ではなく短大にしたことにも私が決めたことならと反対はしなかった。
ただ、学生時代に茉紀と一緒にいたことで何度か担任や学生指導の教員から両親に話があったようだった。それに対しては、茉紀についてあれこれ聞かれ、友達を選びなさいとも言われた。
しかし、茉紀の成績が決して悪くないことや、期間を決めて彼女なりにけじめをつけようとしていることなどを説明すれば、わかってくれた。
昔はギャルだった姉がよく教員免許をとって、今ではそんな面影もなく英語の教師として働けているなと驚くが、姉の通っていた高校は、成績さえよければ服装やメイクに対してほとんど口出しされることはないところだった。
その代わりに成績に対しては厳しく、ほとんどの学生がいい大学に進学している。
茉紀もあんなふうで、県内の国立大を卒業している。昔からファッション誌が好きだった彼女は、東京で大手の出版社に就職した。
それで彼女と一時疎遠になったということもあったのだけれど、旦那さんが静岡の人間だったことと、光輝を妊娠したことを機に静岡に帰ってきたのだった。
今では静岡の出版社で正社員として働き、現在育休中だ。あの持ち前の明るさとギャップとも言える高学歴とで、こんな就職困難な中、就活に失敗したという話を聞いたことがない。
彼女はいつも「私の人生での最大の失敗はアイツと出会ったこと」だと旦那の悪口を言っている。
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