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愛情
【13】
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「顔真っ赤だよ。可愛い子」
そう言って人差し指で左頬をつつかれた。にっこりと天使のような笑顔を見せられて幸せな気分になる。
こんな人が、あまねくんのお母さんなんだ……。思っていたよりもうんと綺麗で若くて、情報を処理するのに時間がかかる。
一瞬、異国の人かと思ったけれど、日本語に違和感がないことから、おそらくハーフなのだろうと思った。
「母さん、初対面で失礼だよ」
「あら、そう? 周が女の子を連れてくるなんて初めてだからお母さん嬉しくて。さあ、上がって」
ゆったりとした薄手のニットに、細身のパンツ姿の彼女。くるりと向きを変えると、足の長さが異常なくらい長かった。
「足長……。あまねくんってクオーター?」
「うん、そう。でも日本の血の方が多いから、純日本人の顔してるでしょ?」
「いや……、何となく納得したよ」
「何を?」
「いや、お綺麗なので……」
「誰が?」
「あまねくんが……あ……」
綺麗だとか可愛いだとか言われることを嫌う彼。あまねくんのお母さんの後ろ姿に見とれ、つい無意識に口走ってしまった。
ゆっくり彼の顔を見上げれば、やはり不機嫌そのもので、「……帰ってからお仕置きね」と言われた。
「それはちょっと……」
視線を戻し、昼間我慢させたこともあって恐ろしくなる。
「2人共ー! 早く上がってらっしゃい!」
遠くで声がする。あまねくんが「とりあえず行こうか」と言ったことで、私たちは声のする方へ向かった。
あまねくんの後ろをついていき、目の前にした一室に度肝を抜かれた。学校の教室よりも広いんじゃないかと思えるほどのリビング、その向こうにはおしゃれなダイニングが広がっている。
大きなソファがいくつもあって、家具はどれも高級そうだった。
ソファの1つに腰かけていた男性がこちらを一瞥して立ち上がった。
ゆっくり近寄ってきて、「よく来てくれましたね。周の父です」と朗らかな笑みを浮かべた。穏やかな口調の彼は、普段のあまねくんのようだ。
弁護士と聞いて、もっと堅い、冷たい人をイメージしていたけれど、見た目も口調同様に落ち着いた印象だ。更に、背が高くてスタイリッシュ。ダンディーな雰囲気が漂っているため、あまねくんは完全に母親似だろうと思った。
「初めまして。一まどかと申します。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
父親の威厳を感じてか、母親に挨拶した時よりも更にかしこまってしまう。
「そんなに緊張されなくても大丈夫ですよ。ゆっくり寛いでいってください」
息子と同じくらいの年の人間相手に丁寧な敬語を使ってくれる。常識的な意味で使ってくれているのか、距離感を保っているのかは識別できない。
「ありがとうございます。こちら、よろしければ、皆さんで召し上がってください」
彼の隣に母親が並んだところで、菓子折を紙袋から取り出し差し出した。
「わぁ。ここのお菓子大好きなの。どうもありがとう」
あまねくんのお母さんは、とびっきりの笑顔で受け取ってくれた。
「有名なお菓子屋さんなの?」
「うーん、知る人ぞ知るって感じかな? でもね、クリームチーズサンドはすっごく人気でね、すぐに売り切れちゃうからあまり買えないの」
2人は、とても仲が良さそうで顔を見合わせながら会話をする。
「クリームチーズのお菓子も入れてもらったので、よろしければ召し上がってください」
茉紀からとても人気だと聞いていたため、早い時間に行って購入できた。
母親の方はとても喜んでくれているようだし、選んでよかった。その他のお菓子も日持ちのするものを選んでいる。手土産に関してはどうやら突破できたようだった。
そう言って人差し指で左頬をつつかれた。にっこりと天使のような笑顔を見せられて幸せな気分になる。
こんな人が、あまねくんのお母さんなんだ……。思っていたよりもうんと綺麗で若くて、情報を処理するのに時間がかかる。
一瞬、異国の人かと思ったけれど、日本語に違和感がないことから、おそらくハーフなのだろうと思った。
「母さん、初対面で失礼だよ」
「あら、そう? 周が女の子を連れてくるなんて初めてだからお母さん嬉しくて。さあ、上がって」
ゆったりとした薄手のニットに、細身のパンツ姿の彼女。くるりと向きを変えると、足の長さが異常なくらい長かった。
「足長……。あまねくんってクオーター?」
「うん、そう。でも日本の血の方が多いから、純日本人の顔してるでしょ?」
「いや……、何となく納得したよ」
「何を?」
「いや、お綺麗なので……」
「誰が?」
「あまねくんが……あ……」
綺麗だとか可愛いだとか言われることを嫌う彼。あまねくんのお母さんの後ろ姿に見とれ、つい無意識に口走ってしまった。
ゆっくり彼の顔を見上げれば、やはり不機嫌そのもので、「……帰ってからお仕置きね」と言われた。
「それはちょっと……」
視線を戻し、昼間我慢させたこともあって恐ろしくなる。
「2人共ー! 早く上がってらっしゃい!」
遠くで声がする。あまねくんが「とりあえず行こうか」と言ったことで、私たちは声のする方へ向かった。
あまねくんの後ろをついていき、目の前にした一室に度肝を抜かれた。学校の教室よりも広いんじゃないかと思えるほどのリビング、その向こうにはおしゃれなダイニングが広がっている。
大きなソファがいくつもあって、家具はどれも高級そうだった。
ソファの1つに腰かけていた男性がこちらを一瞥して立ち上がった。
ゆっくり近寄ってきて、「よく来てくれましたね。周の父です」と朗らかな笑みを浮かべた。穏やかな口調の彼は、普段のあまねくんのようだ。
弁護士と聞いて、もっと堅い、冷たい人をイメージしていたけれど、見た目も口調同様に落ち着いた印象だ。更に、背が高くてスタイリッシュ。ダンディーな雰囲気が漂っているため、あまねくんは完全に母親似だろうと思った。
「初めまして。一まどかと申します。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
父親の威厳を感じてか、母親に挨拶した時よりも更にかしこまってしまう。
「そんなに緊張されなくても大丈夫ですよ。ゆっくり寛いでいってください」
息子と同じくらいの年の人間相手に丁寧な敬語を使ってくれる。常識的な意味で使ってくれているのか、距離感を保っているのかは識別できない。
「ありがとうございます。こちら、よろしければ、皆さんで召し上がってください」
彼の隣に母親が並んだところで、菓子折を紙袋から取り出し差し出した。
「わぁ。ここのお菓子大好きなの。どうもありがとう」
あまねくんのお母さんは、とびっきりの笑顔で受け取ってくれた。
「有名なお菓子屋さんなの?」
「うーん、知る人ぞ知るって感じかな? でもね、クリームチーズサンドはすっごく人気でね、すぐに売り切れちゃうからあまり買えないの」
2人は、とても仲が良さそうで顔を見合わせながら会話をする。
「クリームチーズのお菓子も入れてもらったので、よろしければ召し上がってください」
茉紀からとても人気だと聞いていたため、早い時間に行って購入できた。
母親の方はとても喜んでくれているようだし、選んでよかった。その他のお菓子も日持ちのするものを選んでいる。手土産に関してはどうやら突破できたようだった。
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