【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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ラポール形成

【44】

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「ね、あまねくん……」

「んー?  ねぇ、このままこっそり帰っちゃおうか」

「そういうわけにはいかないよ!  ダリアさんもおばあちゃんも待ってるのに」

「えー……もっとちゃんと触りたい」

 このままエスカレートしかねない彼から距離を取ろうと身をよじる。
 腕を掴んで引き抜こうとするのだけれど、こんな時ばかり力の強い彼の手は遠慮なく私の体をまさぐる。

ーーガチャ

「ご飯だって。……お取り込み中悪いけど」

 玄関のドアが開いて、律くんが顔を出す。彼の声を聞いて全身が硬直する。
 どっと冷や汗が出そうだった。こんな姿を彼に見られるなんて。

「り、律くん、これは……」

「……ねぇ、律。何でまどかさんにキスしたの?」

 慌てる素振りのないあまねくんは、私の肩に顎を乗せて、律くんにそう問いかける。

「ん? 可愛かったから?」 

「は!?」

 あまねくんと声が被ってしまった。彼の手は未だに私の素肌に触れたまま。

「可愛かったからしたくなった。ダメだった?」

「当たり前じゃん! まどかさんは俺のだよ?」

「うん。だから、そうやって所有物みたいに場も弁えずに触るんだよね」

「なっ……」

 ぴくっと動いたあまねくんの体。少し棘のある律くんの言葉に一瞬だけ沈黙ができる。

「寒がってたかもしれないのに、いつまでも中に入れないで、屋外で盛るんだから。彼女の気持ちも考えずに自分の欲望剥き出しにするなんて、発情期なの?」

 律くん……さすがにそれは言い過ぎでは。
 心配になってあまねくんの様子を伺おうと、体をそっと反らすと、彼はゆっくりと手を引き抜き、「俺、発情期じゃないよ。まどかさん、嫌だったの?」と不安げな表情で私と顔を合わせた。

「あの……もうちょっと場所を考えてもらえたら嬉しいかな……」

「わかった、我慢する」

 今にも泣き出しそうな顔をするものだから、思わず彼の頭を撫でてしまう。やっぱり彼は、子犬のようで可愛い。

 後ろでクスクス笑う声がする。手を止めて律くんの方を見れば、「ね? 可愛いでしょ。うちの弟。周を彼氏にするなら扱い方覚えないと」そう言って再び背を向ける。

「あ、キスしたのは久しぶりに周の困った顔を見たかったからだよ。ご飯冷めちゃうから早く上がってきな」

 そう言って彼はまたクスクスと笑って玄関のドアを閉めた。彼はあまねくんよりも一枚上手なようだ。
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