【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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再会

【14】

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 バタバタと足音を立てて勢いよく現れた愛しの彼。額に大粒の汗を作って、息は乱れている。
 もしかして、走ってきてくれたの?
 彼の顔を見て、痛みも恐怖もなくなった。
 あまねくんだ……。

 ソファーの上に組敷かれている私の姿を目の当たりにし、あまねくんは今まで見たことのない眼光を放った。

「誰かと思ったら、あまねくんじゃーん。おい、守屋。どうなって」

 おどけた様子で上半身を上げた雅臣に、早足で近付くと、あまねくんは彼の首根っこを掴んで、勢いよく後ろに引いた。
 私にのしかかっていた重力は、一気に解き放たれて、体が軽くなる。

「触んな。ストーカー野郎が」

 あまねくんの声じゃないような気がした。「まどかさん」そう私の名前を呼ぶいつもの彼は、甘くて、弾んでいて、子犬のように可愛い。それなのに、そんな彼は最初から存在していなかったかのように、私の目に映る彼は別人だった。
 憤慨のオーラが目に見えるかのように、高い位置からフローリングの床に叩き付けられた雅臣を見下ろしている。

「いってぇ……。お前、何すんだよ」

「それはこっちの台詞だろ。お前こそ他人家《ひとんち》に勝手に上がり込んで何してんだよ! 犯罪者のくせに、汚ねぇ手であの人に触れんな」

 普段のあまねくんからは、想像もつかない雑な言葉遣い。彼は上品で、優しくて、言葉選びが上手なコミュニケーション上級者。
 そんなイメージだったのに、こんなにもはっきりと怒りを表に出して、雅臣に辛辣な言葉をぶつける。

「ほー。言うねぇ。そもそも他人の女奪ったのはどっちだ? お前こそ味方のふりして俺のこと嵌めやがって。写真売り付けたのもお前だろ」

「俺は、あんたの味方になったつもりなんかない。最初からまどかさんを守るつもりでいたし、写真だって使い方を間違っただなんて思ってない。婚約者がいながら、他の女性に手を出してたあんたが悪いんだろ。俺が嵌めたわけじゃない。世間があんたにした評価だよ」

 あまねくんは、実に流暢に話す。彼が言っていることは、事実であり正論だ。
 誰がどうみたって、雅臣が悪い。

「お前らが写真を処分してさえいれば、少なくとも議員にはバレずに済んだんだよ」

「バレなくても、捕まったんだから結局は破談だろ」

「それでもあのバカ女から慰謝料請求されることもなかったし、議員からの取り立てだってなかったはずだ。まどかだけは許して俺のもとに置いてやろうかと思ってたけど、お前と関わってるなら話は別だな」

「……お前、自分の立場わかってんのか? ストーカー行為に住居侵入。……強姦未遂」

 あまねくんはそう言ってこちらを見る。体を起こして、身なりを整えていた私の顔を見て、彼は目を見開いた。

「お前、殴ったのか!?」

「大袈裟だな。ちょっとひっぱたいただけだよ」

 雅臣は、手を首の後ろに回して掴むと、首を左右に倒して、パキパキと関節を鳴らした。フローリングの床に胡座をかいて、めんどくさそうに顔をしかめている。
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