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再会
【16】
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だからあんなにも余裕な表情でいたのかと、私は妙に納得してしまった。
頭はいいはずの雅臣のことだ。罪の重さや保釈金なんかも全て計算の上でここにやって来たのだろう。
ただ、誤算だったのはあまねくんも一緒だったこと。私1人でいたのなら、最悪の結末になっていた。
その結末を想像すると、身震いする程恐ろしくなった。
「それに多分……強姦未遂は無理かも」
あまねくんは、静かにそう言う。
「……どうして?」
「痴漢と一緒で立証しにくいから、裁判所でどんなことをされたかまどかさんが証言することになると思う。裁判やるなら、俺も証人として出るけど、それだって大勢の前でまどさかんがされたことを言わなきゃならない。何度だって聞かれるし、その度にこのことを思い出して、怖い思いをすることになるし、辱しめも受けるよ。……悔しいけど、俺はまどかさんにそんな思いをして欲しくない」
「……裁判」
裁判になったら、きっと周りが騒ぐ。雅臣が捕まった時に、あれだけ地元のテレビ局で大々的に報道されたのだ。
一時でも、地元のテレビ局リポーターをしたりしていた私が、裁判を起こすと知られれば、それこそ面白がってテレビ局や記者が押し寄せるかもしれない。
そうなれば、私の顔も情報も出るだろうし、両親が勤める学校の生徒にだって騒がれるかもしれない。
総合的なことを考えると、あまねくんが難しいと言った意味がわかる気がした。
「……確かに、色々騒がれるのは私も困る。多分、家族も困るし。それに、裁判をする度にこの人の顔を見なきゃいけないのも嫌だし……」
「そうなると、やっぱりこの現行犯と、ストーカー規制くらいかな……。それでも、出所した時のことを考えると怖いよね? 職場も知られちゃってるし」
雅臣は、私と結婚するつもりだと言った。本当に今回、私と結婚するつもりで来たのだとすれば、私が受け入れればそれで納得したのかもしれない。
しかし、あまねくんとの交際が続いていて、更に彼と結婚することさえ知られてしまった。
あまねくんにも「お前と関わってるなら話は別だな」なんて言っていたし、私達に更なる恨みを抱いたとすれば、殴られるだけでは済まないかもしれない。
今回、逮捕されたとしても、すぐに出所してきて刺されたりなんかしたら大変だ。私だって恐怖だけれど、あまねくんが狙われるのはもっと怖い。
大切な人を失うことなど考えたくもなかった。
「裁判はできないけどさ、なんとか解放されないかな?」
「……わからない。とりあえず、どこまでの罪になるのか……。ごめん、はっきりしたことも言えなくて」
「ううん……。私こそごめんね。迷惑かけて」
「何でまどかさんが謝るの? 俺だってこの人と関わってたわけだし、なんなら怒らせたのも俺だし、まどかさんが謝るようなことじゃないよ」
あまねくんは、優しく私の髪を撫でてくれる。2人してリビングのフローリングの上に座っていたものだから、体温を奪われていくようで少し寒くもあったが、彼が隣にいる安心感は変わらない。
その隣で、元凶の彼は「う……」と呻き声を上げた。
「あ、起きたかも……」
あまねくんがそう一言発すると、雅臣は2度瞬きをした後、はっとしたように顔を上げ、私達を視界に捕らえた。
頭はいいはずの雅臣のことだ。罪の重さや保釈金なんかも全て計算の上でここにやって来たのだろう。
ただ、誤算だったのはあまねくんも一緒だったこと。私1人でいたのなら、最悪の結末になっていた。
その結末を想像すると、身震いする程恐ろしくなった。
「それに多分……強姦未遂は無理かも」
あまねくんは、静かにそう言う。
「……どうして?」
「痴漢と一緒で立証しにくいから、裁判所でどんなことをされたかまどかさんが証言することになると思う。裁判やるなら、俺も証人として出るけど、それだって大勢の前でまどさかんがされたことを言わなきゃならない。何度だって聞かれるし、その度にこのことを思い出して、怖い思いをすることになるし、辱しめも受けるよ。……悔しいけど、俺はまどかさんにそんな思いをして欲しくない」
「……裁判」
裁判になったら、きっと周りが騒ぐ。雅臣が捕まった時に、あれだけ地元のテレビ局で大々的に報道されたのだ。
一時でも、地元のテレビ局リポーターをしたりしていた私が、裁判を起こすと知られれば、それこそ面白がってテレビ局や記者が押し寄せるかもしれない。
そうなれば、私の顔も情報も出るだろうし、両親が勤める学校の生徒にだって騒がれるかもしれない。
総合的なことを考えると、あまねくんが難しいと言った意味がわかる気がした。
「……確かに、色々騒がれるのは私も困る。多分、家族も困るし。それに、裁判をする度にこの人の顔を見なきゃいけないのも嫌だし……」
「そうなると、やっぱりこの現行犯と、ストーカー規制くらいかな……。それでも、出所した時のことを考えると怖いよね? 職場も知られちゃってるし」
雅臣は、私と結婚するつもりだと言った。本当に今回、私と結婚するつもりで来たのだとすれば、私が受け入れればそれで納得したのかもしれない。
しかし、あまねくんとの交際が続いていて、更に彼と結婚することさえ知られてしまった。
あまねくんにも「お前と関わってるなら話は別だな」なんて言っていたし、私達に更なる恨みを抱いたとすれば、殴られるだけでは済まないかもしれない。
今回、逮捕されたとしても、すぐに出所してきて刺されたりなんかしたら大変だ。私だって恐怖だけれど、あまねくんが狙われるのはもっと怖い。
大切な人を失うことなど考えたくもなかった。
「裁判はできないけどさ、なんとか解放されないかな?」
「……わからない。とりあえず、どこまでの罪になるのか……。ごめん、はっきりしたことも言えなくて」
「ううん……。私こそごめんね。迷惑かけて」
「何でまどかさんが謝るの? 俺だってこの人と関わってたわけだし、なんなら怒らせたのも俺だし、まどかさんが謝るようなことじゃないよ」
あまねくんは、優しく私の髪を撫でてくれる。2人してリビングのフローリングの上に座っていたものだから、体温を奪われていくようで少し寒くもあったが、彼が隣にいる安心感は変わらない。
その隣で、元凶の彼は「う……」と呻き声を上げた。
「あ、起きたかも……」
あまねくんがそう一言発すると、雅臣は2度瞬きをした後、はっとしたように顔を上げ、私達を視界に捕らえた。
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