138 / 289
再会
【38】
しおりを挟む
「俺、やっぱりまどかさんと結婚したいから結城さんのことなるべく早く解決させたい」
「うん。裁判とかになったら、こっちの都合だけじゃ上手くいかなくなっちゃうけどね」
私も実家に戻るということで、今までみたいに自由にあまねくんが行き来できるわけじゃないと考えると、彼が恋しい。
毎日一緒にいられたら、とても安心するのに。
早く雅臣の判決が出て、平和が訪れればようやくあまねくんと結婚できる。
たった3ヶ月で結婚なんて早すぎるんじゃないかと考えたこともあったけれど、まさかこんなに手間取るなんて思っていなかった。
早めに行動してよかったのかもしれない。
私のアパートに到着し、中に入る。昼間の散らかったままの状態で時間が止まっている。
「さて、何からやる?」
タイムリミットが決まっているため、あまねくんは、スーツの上着を脱ぎながら腕捲りをして早速お片付けモードに突入している。
「あ、ごめん。ハンガーはもう段ボールに入れちゃったんだっけ」
彼の上着を指差しながら言う私。
「いいよ。どうせクリーニング出しちゃうから。少しくらい皺になっても大丈夫」
そう言いながら、そのままソファに上着を置いた。
「そう? それならいいけど」
それでも、皺にならないに越したことはない。無造作に置かれた上着をしっかり伸ばし、平らな状態でソファの上に置いた。
「本当にいいのに。後は何が残ってるの?」
「あのね、クローゼットの中の上の段と、洗面所の収納全部。高いところが届かないから、そっちからやってくれると助かる」
「わかった」
彼は微笑を浮かべて、頷いた。
私達はそれぞれ分担しながら荷造りを開始した。
あまねくんの手際がいいものだから、昼間自分でやった時よりも、彼の方が早い気がする。
全て片付け終わると、ようやく2人でソファーに座り込む。
ふぅと息をつき、自然とあまねくんの肩に頭を預けた。
彼もまた同じように頭を傾けたため、少しだけコツンと側頭部が当たる。
「まどかさん、もう帰っちゃうのか……」
「今日くらい、最後のお泊まりにすればよかったね」
「ね」
母には、今日は実家に帰ると昨日言ってしまってある。ベッドのシーツも剥がしてしまったし、浴室の用品も片付けてしまった。
あまねくんは明日仕事だし、時計は23:12を差している。
何もかも実家に戻る準備をしてしまった。
暫く彼に会えなくなるかと思うと、寂しくてたまらない。
「会いに行くから」
「うん」
「毎日連絡する」
「私も」
「差し入れも持ってく」
「映画がいいな。きっと数日も立てば暇だから」
「それはそうだね」
1週間の休みなんて、社会人になってからもらったことなどない。有給も欲しい時に取れないし、お盆休みもゴールデンウィークもない。いいとこ連休なんて3日間くらいで、長期の休みは学生以来だった。
いくら雅臣のことで忙しなくなるとはいえ、毎日活動的に動き回るわけではない。
何十時間も検察官と一緒にいるわけでもないし、あまねくんのお父さんと1日に何度も会うわけではない。
雅臣のことを考え続けたところで、すぐに有罪になるわけでもないし、一旦釈放がなくなるわけでもない。
最初こそは、新鮮な休みも、その内暇をもて余すようになるだろう。
律くんが言っていたように、職場を辞める手続きもしなければならないが、辞めてしまえばすることはない。
暇だとは思うが、色んなことがありすぎて体も心も疲弊しきっている。就活は、1ヶ月くらいゆっくりしてからにしよう。
「うん。裁判とかになったら、こっちの都合だけじゃ上手くいかなくなっちゃうけどね」
私も実家に戻るということで、今までみたいに自由にあまねくんが行き来できるわけじゃないと考えると、彼が恋しい。
毎日一緒にいられたら、とても安心するのに。
早く雅臣の判決が出て、平和が訪れればようやくあまねくんと結婚できる。
たった3ヶ月で結婚なんて早すぎるんじゃないかと考えたこともあったけれど、まさかこんなに手間取るなんて思っていなかった。
早めに行動してよかったのかもしれない。
私のアパートに到着し、中に入る。昼間の散らかったままの状態で時間が止まっている。
「さて、何からやる?」
タイムリミットが決まっているため、あまねくんは、スーツの上着を脱ぎながら腕捲りをして早速お片付けモードに突入している。
「あ、ごめん。ハンガーはもう段ボールに入れちゃったんだっけ」
彼の上着を指差しながら言う私。
「いいよ。どうせクリーニング出しちゃうから。少しくらい皺になっても大丈夫」
そう言いながら、そのままソファに上着を置いた。
「そう? それならいいけど」
それでも、皺にならないに越したことはない。無造作に置かれた上着をしっかり伸ばし、平らな状態でソファの上に置いた。
「本当にいいのに。後は何が残ってるの?」
「あのね、クローゼットの中の上の段と、洗面所の収納全部。高いところが届かないから、そっちからやってくれると助かる」
「わかった」
彼は微笑を浮かべて、頷いた。
私達はそれぞれ分担しながら荷造りを開始した。
あまねくんの手際がいいものだから、昼間自分でやった時よりも、彼の方が早い気がする。
全て片付け終わると、ようやく2人でソファーに座り込む。
ふぅと息をつき、自然とあまねくんの肩に頭を預けた。
彼もまた同じように頭を傾けたため、少しだけコツンと側頭部が当たる。
「まどかさん、もう帰っちゃうのか……」
「今日くらい、最後のお泊まりにすればよかったね」
「ね」
母には、今日は実家に帰ると昨日言ってしまってある。ベッドのシーツも剥がしてしまったし、浴室の用品も片付けてしまった。
あまねくんは明日仕事だし、時計は23:12を差している。
何もかも実家に戻る準備をしてしまった。
暫く彼に会えなくなるかと思うと、寂しくてたまらない。
「会いに行くから」
「うん」
「毎日連絡する」
「私も」
「差し入れも持ってく」
「映画がいいな。きっと数日も立てば暇だから」
「それはそうだね」
1週間の休みなんて、社会人になってからもらったことなどない。有給も欲しい時に取れないし、お盆休みもゴールデンウィークもない。いいとこ連休なんて3日間くらいで、長期の休みは学生以来だった。
いくら雅臣のことで忙しなくなるとはいえ、毎日活動的に動き回るわけではない。
何十時間も検察官と一緒にいるわけでもないし、あまねくんのお父さんと1日に何度も会うわけではない。
雅臣のことを考え続けたところで、すぐに有罪になるわけでもないし、一旦釈放がなくなるわけでもない。
最初こそは、新鮮な休みも、その内暇をもて余すようになるだろう。
律くんが言っていたように、職場を辞める手続きもしなければならないが、辞めてしまえばすることはない。
暇だとは思うが、色んなことがありすぎて体も心も疲弊しきっている。就活は、1ヶ月くらいゆっくりしてからにしよう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる