【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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【9】

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「38.4℃……何が原因かしらね」

「んー……」

「ご飯も食べずにお風呂も入らずに一歩も家から出ないから免疫力が下がったのよ」

「……かもね」

 いや、お風呂は入らない方が細菌が増えて寧ろ免疫力が上がるんじゃ……。
 そんなことを考えてみるけれど、今は正常な判断ができる状態ではない。

「頭は痛いの?」

「ううん……」

「喉は?」

「痛くない」

「風邪っぽい症状はないの? 咳とか鼻水とか」

「ない……。けど、目眩がする……」

「どんな? ぐるぐるする感じ? ふらふらする?」

「……ぐるぐる」

「そう、回転性の目眩ね。風邪じゃないかもしれないわね」

 風邪じゃない? じゃあ、何なの……。こんなに怠くて、目眩もして熱もあるのに。

「まどか、動ける?」

「んー……」

 母が、私の肩を支えて立たせようとする。すると、起こるぐるぐるとした目眩。あー、無理かも。そう思ったら、そのまま座り込んだ。

「だめっぽい……」

「どうしようかしらね……」

「とりあえず、病院に連れてった方がいいか」

「そうね。私がついていけばいいけど、立てないんじゃ連れて行きようもないし」 

 父と母は、私を挟んでしゃがみ込んだまま顔を見合わせている。まさかこんなことになるとは……。 

「動かなきゃ大丈夫。……とりあえず暫くこのまま休むよ。……立てるようになったら病院行く」

 どうせ朝の5時じゃ、救急外来しかやってないし。

「そう? じゃあ、お母さん今日は仕事休むから、後で病院行こう」

「休まなくてもいいよ……こうしてれば治るかもしれないし」

「治るかもしれないけど、治らないかもしれないでしょ。目眩が出てるから、神経系だと思うし脳の病気だったらどうするの」

「……それは困る」

 奏ちゃんには散々おばさん呼ばわりされたけれど、大病をするにはまだ若い筈だ。脳の病気なんてまっぴらごめん。
 脳腫瘍なんかができていた日には、悲劇のヒロインじゃ片付けられない。

「でしょ。とりあえず、少し休んでなさい」

 母の鶴の一声で、私と父はそれに従った。父が私を抱え、実家に帰って来てから何度もお世話になっている居間に転がされた。
 暫く食べていなかったから少しは軽くなったのか、父もだいぶ年を取ったと思うが私を抱えて居間に運ぶだけの体力はあったのだ。
 あまり無理はしないでほしいと思うが、自分の意思では動けないのだから仕方がない。

 居間の布団で寝かされて、暫くじっとしていると、何となく少し楽になった気はした。
 起き上がると、ほんの少しの目眩はあるものの、立ち上がれない程ではなかった。

 リビングまで歩いて行くと、既に父の姿はなく、テレビを見ていた母と目が合った。
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