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前進
【42】
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守屋家の朝は早かった。5時には起床して朝御飯を作る。私もダリアさんを手伝いながら、皆が揃うのを待つ。
実の母親とだってもう何年も最初から最後まで一緒に料理を作ったこともないのに、ダリアさんと一緒にキッチンに立つのは変な気分だった。
しかし、久しぶりの料理は楽しくて、誰がどの料理を好きかを教えてもらった。
あまねくんは、マンションに戻ってから支度しなきゃだからと、うつらうつらしながら家を出ていった。食事くらいしていったらと言うダリアさんの言葉を断って。
昨日は早めに寝たのだけれど、それでも彼は眠そうだった。
あまねくんを見送ってからリビングに目を向ければ、おばあちゃんがソファで編み物をしている。早い時には4時くらいから目が覚めているとのこと。さすが高齢者だ。
そんなおばあちゃんの姿を時々確認しながら盛り付けをしていると、父親が入って来てダイニングテーブルの席につき、新聞を広げた。既にスーツ姿である。
パジャマ姿なんて想像できないけれど、ラフな格好は、きっと自室にいる時だけなのだろう。
15分くらい遅れて律くんの姿。まだ髪をセットする前で、前髪が全て下がっており、とても幼く見えた。けれど、寝起きだからか目付きは悪く、頗る機嫌が悪そうだ。
あまねくんも起きられないタイプだけれど、きっと律くんもそうだ。私の直感がそう言っている。あの顔が全てを物語っているのだから。
「はい、朝御飯です」
朝から明るいダリアさんは、素敵な笑顔で料理を出していく。私もそれらを運んで、席につく。
あまねくんのいないテーブルは寂しい。私とダリアさんとの間にぽっかり空いた彼の席。
私が座っている席は、本来奏ちゃんの場所。彼女は、私の家から帰った後、そのまま東京に直行したようだった。仕事のことで悩んでいたが、大丈夫だろうか。
皆で一斉に食事を始めた。
「……周は?」
眠そうな目をしたまま、律くんは空いた席を見て言った。
「もう帰ったよ。家で支度するからいいって言って」
ダリアさんが箸を止めてそう言うと、律くんは興味なさそうに「ふーん」と言った。
寝癖が全くつかないのか、サラサラと揺れるストレートの髪を邪魔くさそうに一旦かき上げるが、すぐにパラパラと落ちてくる。
おばあちゃんが箸を伸ばして、煮物を取ろうとすると、律くんは黙って小皿にそれらをよそい、そっと手渡した。
「りっちゃん、ありがとね。ありがと、ありがと」
「ん」
どんなに眠くてもおばあちゃんへの気遣いは変わらないみたいだ。朝からほっこりしながら、美味しい食事を味わった。
食事を終えると、律くんも新聞に目を通している。あまねくんもそうだけれど、仕事に入る前に社会情勢を把握しておくは日課のようだった。
実の母親とだってもう何年も最初から最後まで一緒に料理を作ったこともないのに、ダリアさんと一緒にキッチンに立つのは変な気分だった。
しかし、久しぶりの料理は楽しくて、誰がどの料理を好きかを教えてもらった。
あまねくんは、マンションに戻ってから支度しなきゃだからと、うつらうつらしながら家を出ていった。食事くらいしていったらと言うダリアさんの言葉を断って。
昨日は早めに寝たのだけれど、それでも彼は眠そうだった。
あまねくんを見送ってからリビングに目を向ければ、おばあちゃんがソファで編み物をしている。早い時には4時くらいから目が覚めているとのこと。さすが高齢者だ。
そんなおばあちゃんの姿を時々確認しながら盛り付けをしていると、父親が入って来てダイニングテーブルの席につき、新聞を広げた。既にスーツ姿である。
パジャマ姿なんて想像できないけれど、ラフな格好は、きっと自室にいる時だけなのだろう。
15分くらい遅れて律くんの姿。まだ髪をセットする前で、前髪が全て下がっており、とても幼く見えた。けれど、寝起きだからか目付きは悪く、頗る機嫌が悪そうだ。
あまねくんも起きられないタイプだけれど、きっと律くんもそうだ。私の直感がそう言っている。あの顔が全てを物語っているのだから。
「はい、朝御飯です」
朝から明るいダリアさんは、素敵な笑顔で料理を出していく。私もそれらを運んで、席につく。
あまねくんのいないテーブルは寂しい。私とダリアさんとの間にぽっかり空いた彼の席。
私が座っている席は、本来奏ちゃんの場所。彼女は、私の家から帰った後、そのまま東京に直行したようだった。仕事のことで悩んでいたが、大丈夫だろうか。
皆で一斉に食事を始めた。
「……周は?」
眠そうな目をしたまま、律くんは空いた席を見て言った。
「もう帰ったよ。家で支度するからいいって言って」
ダリアさんが箸を止めてそう言うと、律くんは興味なさそうに「ふーん」と言った。
寝癖が全くつかないのか、サラサラと揺れるストレートの髪を邪魔くさそうに一旦かき上げるが、すぐにパラパラと落ちてくる。
おばあちゃんが箸を伸ばして、煮物を取ろうとすると、律くんは黙って小皿にそれらをよそい、そっと手渡した。
「りっちゃん、ありがとね。ありがと、ありがと」
「ん」
どんなに眠くてもおばあちゃんへの気遣いは変わらないみたいだ。朝からほっこりしながら、美味しい食事を味わった。
食事を終えると、律くんも新聞に目を通している。あまねくんもそうだけれど、仕事に入る前に社会情勢を把握しておくは日課のようだった。
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