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婚姻届
【20】
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「もしもあの時、脱税だけの報道で、花井さんについてのスキャンダルが放送されなければ、もう少し違ったのかなって思ったりしたんです。花井さんも、曽根さんもお互いの存在を知らずにいたら、今回花井さんが結城さんを刺すこともなかったんじゃないかって……」
「一さんの気持ちはわかります。ですが、結城雅臣の関係者に事情聴取をしていけば、いずれ本人達は、遅かれ早かれお互いの存在を知ったことでしょう。まあ、花井麻友は交際していたわけではないので、曽根紗奈にとっては興味のない存在となったかもしれませんが」
磯部さんは、両手を組んで口元に持っていく。どこか一点を見つめ、考えながら話しているようだった。
「まず、ちゃんと花井さんとの関係を調べればよかったんです。てっきり浮気相手だと私も思っていたので、写真が出た時も事実が晒されてほっとした程でした。あまねくんは、あの時から協力してくれていましたけど、彼女の存在についても一緒に確認してもらえばよかったかなって……」
「そのことなんですが……非常に言いにくいのですが、守屋さんは本当に結城さんと花井さんの関係を知らなかったのでしょうか」
磯部さんは、本当に言いにくそうに私から目を逸らしてそう言った。
彼は、何を言っているのだろう。あまねくんは、花井麻友が雅臣の浮気相手だと信じていたから、裏切られた私のために記者に写真を売ったんじゃないのだろうか、
「あの……どういう……」
「守屋さんとは何度とお話をさせてもらいました。とても正義感の強い、優しい方であると思っています。それと同時にとても冷静で、用心深い」
「……はい。私もそう思います」
「そんな彼が、ろくに彼女との関係を調べもせず、安易に写真を売るのでしょうか」
「え? まさか、磯部さんはあまねくんが本当は花井さんが結城さんの浮気相手ではないと知っていてそれでもわざと写真を売ったと言いたいんですか?」
私には、そう言っているように聞こえた。そんなはずはない。あの優しいあまねくんのことだ。傷付いて悲しんでいる私のために、世間に本当のことを知ってもらおうと行動したのだ。
「断言はできません。ですが、私にはどうしてもあの守屋さんが単純に一さんだけの話を信じたというのも納得がいかないのです。元々あなたは結城雅臣の恋人だった人。その人の話を全て鵜呑みにするでしょうか。僕が守屋さんなら、徹底的に調べますよ。あなたが害のない人間であることと、結城雅臣と関係のあった人物について……」
「それは……」
「……いえ、やめましょう。守屋さんが一さんを思う気持ちは本物だと思いますし、今更そんなこと言っても……」
「あのっ、言ってください。もし、本当にあまねくんが知っててそんなことをしたのなら、それはなんのために……」
「……わかりません。ただ、私が思っていることが正しいのなら、完全にあなたを結城雅臣から奪うため……ですかね」
「え……?」
磯部さんの言葉の意味がよく理解できなかった。そんなことをしなくても、私は雅臣と別れてあまねくんと付き合うことを約束したはずだ。
それなのに、私を奪うためとはどういうことだろうか。
「一さんの気持ちはわかります。ですが、結城雅臣の関係者に事情聴取をしていけば、いずれ本人達は、遅かれ早かれお互いの存在を知ったことでしょう。まあ、花井麻友は交際していたわけではないので、曽根紗奈にとっては興味のない存在となったかもしれませんが」
磯部さんは、両手を組んで口元に持っていく。どこか一点を見つめ、考えながら話しているようだった。
「まず、ちゃんと花井さんとの関係を調べればよかったんです。てっきり浮気相手だと私も思っていたので、写真が出た時も事実が晒されてほっとした程でした。あまねくんは、あの時から協力してくれていましたけど、彼女の存在についても一緒に確認してもらえばよかったかなって……」
「そのことなんですが……非常に言いにくいのですが、守屋さんは本当に結城さんと花井さんの関係を知らなかったのでしょうか」
磯部さんは、本当に言いにくそうに私から目を逸らしてそう言った。
彼は、何を言っているのだろう。あまねくんは、花井麻友が雅臣の浮気相手だと信じていたから、裏切られた私のために記者に写真を売ったんじゃないのだろうか、
「あの……どういう……」
「守屋さんとは何度とお話をさせてもらいました。とても正義感の強い、優しい方であると思っています。それと同時にとても冷静で、用心深い」
「……はい。私もそう思います」
「そんな彼が、ろくに彼女との関係を調べもせず、安易に写真を売るのでしょうか」
「え? まさか、磯部さんはあまねくんが本当は花井さんが結城さんの浮気相手ではないと知っていてそれでもわざと写真を売ったと言いたいんですか?」
私には、そう言っているように聞こえた。そんなはずはない。あの優しいあまねくんのことだ。傷付いて悲しんでいる私のために、世間に本当のことを知ってもらおうと行動したのだ。
「断言はできません。ですが、私にはどうしてもあの守屋さんが単純に一さんだけの話を信じたというのも納得がいかないのです。元々あなたは結城雅臣の恋人だった人。その人の話を全て鵜呑みにするでしょうか。僕が守屋さんなら、徹底的に調べますよ。あなたが害のない人間であることと、結城雅臣と関係のあった人物について……」
「それは……」
「……いえ、やめましょう。守屋さんが一さんを思う気持ちは本物だと思いますし、今更そんなこと言っても……」
「あのっ、言ってください。もし、本当にあまねくんが知っててそんなことをしたのなら、それはなんのために……」
「……わかりません。ただ、私が思っていることが正しいのなら、完全にあなたを結城雅臣から奪うため……ですかね」
「え……?」
磯部さんの言葉の意味がよく理解できなかった。そんなことをしなくても、私は雅臣と別れてあまねくんと付き合うことを約束したはずだ。
それなのに、私を奪うためとはどういうことだろうか。
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