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婚姻届
【22】
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「一さんと守屋さんなら、どんなことがあっても大丈夫だと信じています。結城については、私も一緒に戦っていくつもりですので」
「はい……よろしくお願いします」
私は、磯部さんに頭を下げ、適度に挨拶を済ませて警察署を後にした。
今日は、あまねくんがうちに来る日だ。約束をしていた日。
昨日も、皆で夕食を食べようと母と話をしたところだ。父は相変わらずだが、あれから必要以上に文句を言ってくることはなくなった。
直接あまねくんに聞いてみるのも悪くはない。しかし、どんな答えが帰ってくるか恐怖はある。切り出すまでが緊張する。
どうしよう……。今日はせっかくあまねくんと会えるのに、こんなもやもやした気持ちでちゃんと笑えるだろうか。
時計を見れば時刻は17時26分だ。そろそろあまねくんの仕事が終わる。
どうしてあまねくんは、そんなことを……。
私は、スマホを取り出し通話アプリを開く。あまねくんの画面を開き、一旦閉じる。
ふと目に入ったのは律くんの名前。律くんなら何か知っているだろうか……。
私は、暫く悩んだ後、律くんに電話をかけた。
「はい」
3回目のコールで彼は出た。
「あ、あの……律くん」
「どうしました? まどかさんから電話なんて珍しいですね」
「あ、あのね。律くんに聴きたいことがあって……今大丈夫?」
「用件次第ですけど、聴きたいことってなんですか?」
とても冷静な声。あまねくんの弾むような声とは違う。けれど、あまねくんに聞くよりも、いくらか緊張感は薄れた。
「結城雅臣と花井麻友さんの写真のことなの」
「写真? 車中の?」
「あ、うん……。あまねくんが記者に売ったっていうのは知ってるよね?」
「知ってますよ」
「結城と花井さんは、実は浮気してたわけじゃなかったんだって……」
「……どこでそれを?」
「え?」
律くんは、一瞬間を空けた後、静かにそう言った。
「まどかさんはそれをどこで知ったんですか?」
「あの……」
「答えて下さい」
律くんは、雅臣と花井麻友の本当の関係を知っても驚かなかった。私が知るよりも先に知っていたかのような口振りだ。
「結城雅臣の日記が出てきたの……」
あまねくんには言うつもりのなかった言葉。もし、先にあまねくんに聞いていたら、同じように問われたかもしれない。
「その日記は?」
「さっき警察の方に返したよ」
「あまねには?」
「見せなかった」
「どうして?」
「……」
「まどかさん、今から会えますか?」
「え? あ、うん……」
直接会って話をしようと提案された。律くんの様子から、何かを知っているのは確実なようだ。
けれど、どうして律くんが……。いつもの声色とは然程変わりはないように聞こえたが、その中でも何か問い詰めるような気迫を感じた。
律くんは、何をどこまで知っているんだろう。あまねくんの仕事が終われば連絡がくる。それをわかっていて、今から律くんと会う。
日記の存在を隠していること、写真のことについて素直に聞けない自分に対し、後ろめたさはある。
しかし、話を律くんから聞いてから、改めてあまねくんと話しても遅くはない気がした。
あまねくんにはあらかじめ、友人とお茶をしてくるため、夕飯の時間には帰ると連絡を入れた。
大体の時間にうちの実家にくるよう調整してくれることだろう。
私は、律くんの指定したカフェへと向かった。
「はい……よろしくお願いします」
私は、磯部さんに頭を下げ、適度に挨拶を済ませて警察署を後にした。
今日は、あまねくんがうちに来る日だ。約束をしていた日。
昨日も、皆で夕食を食べようと母と話をしたところだ。父は相変わらずだが、あれから必要以上に文句を言ってくることはなくなった。
直接あまねくんに聞いてみるのも悪くはない。しかし、どんな答えが帰ってくるか恐怖はある。切り出すまでが緊張する。
どうしよう……。今日はせっかくあまねくんと会えるのに、こんなもやもやした気持ちでちゃんと笑えるだろうか。
時計を見れば時刻は17時26分だ。そろそろあまねくんの仕事が終わる。
どうしてあまねくんは、そんなことを……。
私は、スマホを取り出し通話アプリを開く。あまねくんの画面を開き、一旦閉じる。
ふと目に入ったのは律くんの名前。律くんなら何か知っているだろうか……。
私は、暫く悩んだ後、律くんに電話をかけた。
「はい」
3回目のコールで彼は出た。
「あ、あの……律くん」
「どうしました? まどかさんから電話なんて珍しいですね」
「あ、あのね。律くんに聴きたいことがあって……今大丈夫?」
「用件次第ですけど、聴きたいことってなんですか?」
とても冷静な声。あまねくんの弾むような声とは違う。けれど、あまねくんに聞くよりも、いくらか緊張感は薄れた。
「結城雅臣と花井麻友さんの写真のことなの」
「写真? 車中の?」
「あ、うん……。あまねくんが記者に売ったっていうのは知ってるよね?」
「知ってますよ」
「結城と花井さんは、実は浮気してたわけじゃなかったんだって……」
「……どこでそれを?」
「え?」
律くんは、一瞬間を空けた後、静かにそう言った。
「まどかさんはそれをどこで知ったんですか?」
「あの……」
「答えて下さい」
律くんは、雅臣と花井麻友の本当の関係を知っても驚かなかった。私が知るよりも先に知っていたかのような口振りだ。
「結城雅臣の日記が出てきたの……」
あまねくんには言うつもりのなかった言葉。もし、先にあまねくんに聞いていたら、同じように問われたかもしれない。
「その日記は?」
「さっき警察の方に返したよ」
「あまねには?」
「見せなかった」
「どうして?」
「……」
「まどかさん、今から会えますか?」
「え? あ、うん……」
直接会って話をしようと提案された。律くんの様子から、何かを知っているのは確実なようだ。
けれど、どうして律くんが……。いつもの声色とは然程変わりはないように聞こえたが、その中でも何か問い詰めるような気迫を感じた。
律くんは、何をどこまで知っているんだろう。あまねくんの仕事が終われば連絡がくる。それをわかっていて、今から律くんと会う。
日記の存在を隠していること、写真のことについて素直に聞けない自分に対し、後ろめたさはある。
しかし、話を律くんから聞いてから、改めてあまねくんと話しても遅くはない気がした。
あまねくんにはあらかじめ、友人とお茶をしてくるため、夕飯の時間には帰ると連絡を入れた。
大体の時間にうちの実家にくるよう調整してくれることだろう。
私は、律くんの指定したカフェへと向かった。
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