【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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婚姻届

【47】

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「え!? なになに!? 何で泣いてんの!? ちょ、まどかさん! 運転中! 危ないから!」

 慌ててハンドルをきる彼。だってさ、色々あったじゃん。
 奏ちゃんにおばさん呼ばわりされてさ、臣くんには待ち伏せされてさ、刺されそうになったりさ。いっぱい警察にも行くはめになって、時にはおじさん刑事に嫌味言われたりしてさ。心の病気になるし、退職したし、アパートも引き払って実家に戻るはめになったし。

 何で私ばっかりって思ったけど、いつもあまねくん一緒にいてくれたじゃん。
 大好きなんだもん。

 これが泣かずにいられるわけないじゃない。

「もー、泣かないの」

 あまねくんは、一度車を路肩に寄せ、停車させると、シートベルトを外して私の頬にキスをくれた。
 優しく頭を撫で、流れた涙を指ですくう。玉ねぎ切ってた時を思い出すなぁなんて思っていると、軽く口付けされてあまねくんの匂いが香る。

 これから毎日一緒なんだ……。そう思うと、胸は熱くなり、嬉しさと一緒にまた涙が込み上げる。

「全然涙止まらないね。そんなに嬉しい?」

「嬉しい……」

「泣くほど喜んでくれたら、頑張ってきたかいあるなぁ。これからも、俺がずっと傍にいるからね」

「うん。毎日、一緒」

「じゃあ、今日は俺のマンションに一緒に帰ろう?」

「うん。でも……明日仕事」

「いいよ。だって、まどかさんが俺の奥さんになった日だよ? 次の日仕事でも、頑張んなきゃね」

 至近距離で微笑まれ、「頑張る?」と聞き返す。

「初夜だから」

 その一言で全てを察する。

「あ、あまねくん! そういうことばっかりっ……」

「だってこれでようやく俺だけのまどかさんになったんだもん。今までは彼氏としてだったけど、今日からは夫としてまどかさんのこといっぱい愛するの」

 どうやら、彼を焚き付けてしまったのは私の涙のせいらしい。体力もつかなぁなんて心配しながら、今夜は友人への報告も後回しにしてあまねくんのマンションへと直行することになった。
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