【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

文字の大きさ
264 / 289
婚姻届

【49】

しおりを挟む
 寝間着に着替えて、あまねくんを待つ。バタバタと音を立てて、騒がしくご帰宅の旦那様。

「まどかさんっ、買ってきた!」

「はやっ!!」

 スマホに表示された時刻を二度見する。そんなに近くに薬局あったっけ? 

「妻が妊娠したかもしれなくてって言ったら、店員さんが一緒に選んでくれたよ」

「つ、妻……」

 先に使われてしまった。他人への配偶者三人称。
 そんなことよりも、彼の手に握られているのは、紛れもなく妊娠検査薬。ドラマとかで見るあれだよね!? まさか自分が使う日がくるなんて思ってもみなかった……しかも、入籍当日に。

「開けるよ。いい?」

「う、うん……」

 なぜかあまねくんの方が冷静に事を進める。こういうのって、夫がいない時にこっそり検査するもんじゃないのかな……。

「はい、説明書読みます。まず、キャップを外します」

 本体を手渡され、あまねくんは説明書を開いて朗読する。私は、その手順に従ってキャップを外した。

「採尿します。判定部にはかけないよう……って、難しくない? コップに採って浸ける方法もあるってよ。……俺が採ってあげようか?」

 キラキラした笑顔で何を言っているんでしょうか、この人は。

「結構です!」

「えぇ!? 何で? 自分で採るの大変でしょ? それか、排尿しててくれれば5秒間俺が当て続けて……」

「もういいから貸して」

 あまねくんから説明書を取り上げて、トイレに駆け込む。

 律くん、やっぱりあまねくん変だったよ……。変態だった。
 カフェでの律くんの言葉を思い出し、愛され過ぎるのも少し考えものかもしれないと溜め息をつく。

「まどかさーん? 大丈夫? 大変だったら手伝うからねー」

 トイレのドアをコンコン叩きながら、あまねくんの声が聞こえる。

「大丈夫だから! 向こうで待ってて!」

 あまねくんがすぐ傍にいるのに、用を足すなんてできないよ。音が聞こえても嫌だし……。

「はーい……」

 あまねくんの気配が去ったところで、説明書を読みながら、行った。こんなこと、あまねくんにさせられないし……というか、絶対させないし。
 彼の言葉を思い出して、赤面する。
 仕事をしていた時には、他人の排泄物なんて何ともなかったけれど、あまねくんが私の排泄物を取り扱うのは、きっとそういうのとは違う気がする。

 無事に採尿を終えて、キャップを閉めた。
 ここから更に3分程待つのね。

 ……緊張してきた。1人で確認するのは怖い気が……でも、もし本当に妊娠してたらあまねくんはどんな反応をするだろうか。

 せっかく結婚したのに、2人きりの新婚生活を過ごせないとがっかりするだろうか。そしたら……赤ちゃんどうなっちゃうかな。

 堕胎しろって言うかな……。

「あなたと一緒にいるためなら、多少の犠牲も厭わない」

 こんな時に律くんの言葉を思い出す。さすがにないよね……だって、あまねくんの子供だよ? そんなこと言わないよね? 

 だけど、早急に結果を知りたがって薬局に向かったあまねくんを思い出す。そんなに急いで結果を知って、どうするつもりだろうかなんて考える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...