【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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婚姻届

【51】

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「え? まどかさん? お腹痛い?」

 あまねくんは、さっと立ち上がって私の腹部をさする。

「違うよ」

 そんなにすぐにお腹痛くなったりしたら困るじゃん。あまねくんの的を得ない言葉に思わず笑ってしまう。

「堕ろしてって言われたらどうしようかと思って……」

「堕ろす!? 中絶ってお母さんの体にも凄い負担かかるんだよ!? そんな危険なことまどかさんにさせるはずないじゃん!」

 ……そりゃそうか。あまねくんの考えそうなことだ。でも、やっぱり赤ちゃん優先の考えじゃないのね。

「それに、俺とまどかさんの子供だよ? 前にも言ったじゃん。いつできてもいいって。産んで欲しいに決まってるでしょ」

「うん……」

 そうは言ってくれていても、実際妊娠していたら、なんて言葉が返ってくるのかわからないものだ。
 子供ができるって嬉しいことだけれど、同時にこんなに怖いことだとは思っていなかった。

「大事にしようね。まどかさんも赤ちゃんも」

 そう言って優しく抱き締めてくれる。暖かくて優しいあまねくんの香り。安心する……。

「独り占めできないけどいい?」

「んー? 産まれてくるまでは俺だけのまどかさんだからいいよ。それに、子供生まれても、まどかさんの夫でいられるのはずっと俺だけだからね」

 そう言って額にちゅっと軽くキスをする。結婚もして子供もできた。まだ病院には行っていないけれど、月経予定日から1ヶ月以上は経っているのだから、おそらく妊娠しているのだろう。

 結婚したのがあまねくんで本当によかった。なんて幸せなんだろう。
 子供はできたら欲しいかなって思っていたくらいだったのに、既にお腹の中にいるとわかったら、愛しくてたまらなくなった。

 実感なんてまだない筈なのに、あまねくんが優しくお腹を触ってくれるから、大事にしなくちゃと思えるのかもしれない。

 気持ちが落ち着いてから、薬局のビニール袋に、妊娠検査薬の箱やら説明書やらを入れていく。本体も中に入れようとした時「あ! 待って」とあまねくん。

「ん?」

「それ、ホルマリンとかに浸けてなんとか保存できないかな?」

「……はい?」

「だって、まどかさんの体の一部が……じゃなくて、妊娠の記念に」

 いや、今確実に尿の部分だったよね?

「いりません」

 そう言って、それをビニール袋に放り込んだ。

「あぁ!」

 顔を歪ませるあまねくん。

「……さすがに引くよ、あまねくん」

「え?」

 硬直した彼は、「引く……」と言いながら、踞ってしまった。
 結婚生活大丈夫かな……。先程の安心感が嘘のように、一気に不安になった。

「ほら、あまねくん。パパになるんだからしっかりして」

 拗ねているあまねくんの服を引っ張ってそう言えば「パパ……」と言いながら表情を明るくさせる。
 コロコロと表情を変える人だと、見ていて笑えてくる。
 彼は、変態的だけれど、愛情はたっぷりと感じている。私のことを何よりも大切にしてくれる素敵な旦那様。

 あまねくんとなら、どんなに大変な結婚生活も子育ても乗り越えられるような気がした。
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