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婚姻届
【70】
しおりを挟む「何で?」
「最初に張り切ってキメてくと、女の人は警戒するんだって。特に俺は目立つから、普段の格好はダメだって言われた」
「確かに……」
こんな長身の美形に突如話しかけられたら、何かの罠なんじゃないかと警戒するわ。まあ、最初はあの姿でも警戒したわけだけれど、あの気の抜けた感じが、そんなに悪そうな子じゃないと思わせた部分もあったのだろう。
「それに、2回目以降に会う時、しっかりした服装でいけば、最初の印象が強いから何割増しかに見えるんだって」
「あー……確かにー……」
偶然駅で見かけたあまねくんは、神々しく輝いて見えたよ。凄くカッコよくて、ドキドキさせられたのを覚えてる。
「本当? まあ、そんなこと考える暇もなく偶然まどかさんと再会しちゃったけどね」
ふふっと笑うあまねくん。ねぇ、あまねくん、それは律お兄さんの計らいだったんだよ。そうとは言えない。
「嬉しくなっちゃったから、ハイジさんに見せびらかしに一緒にまどかさん連れてったの」
「そういうこと! 私の素性を知るためって言ってたのに……」
「もちろんそれもあるよ。俺がずっと好きだった人のことだもん。ハイジさんなら、上手に俺が知りたいまどかさんの情報たくさん引き出してくれると思って」
何てこと! 律くんといい、あまねくんといい……なんて計算高い兄弟なんだ……。
「まんまと洗いざらい喋っちゃったじゃん……」
「でも、そのおかげで結城さんと別れさせることができたよ。その後も、ハイジさんが俺のことまどかさんに推しておいてあげるねって言ってくれて、結城さんとのこともあったから、俺が税理士だってことも隠しておいてもらってた」
「あー……」
顔を両手で覆って、思い出す流れに思わず声が漏れる。そうか……そうだったのか……。ハイジさんが私達の連絡先を交換させたのも、彼氏と別れてあまねくんにしたら? って言ったのも、全部全部あまねくんが私に片想いしていたから協力してたんだ。
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