【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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婚姻届

【69】

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「あまねくん、映画館で会った時にはもう私のこと好きでいてくれたってことでしょ?」

「うん」

「私に会うことわかってて、初めてのデートだったのにオシャレしてこなかったんだね?」

 最初は、服装にとんじゃかないのかと思ってたけれど、2回目以降はとてもオシャレなあまねくん。それに、デートをすると言えば、「まどかさんとのデートは何着てこうかな」なんて言いながら楽しそうに服を選ぶ。
 彼だってオシャレが好きな印象だ。もし私が逆の立場だったら、初めてのデートは可愛くみられたくてとびきりオシャレしていくのに。
 そう考えたら、あまねくんの無造作ヘアーとTシャツ、サンダル姿が疑問に思えてならなかった。

 あの時は洗車してたからなんて言っていたけれど、私だったらどんなに時間なくて急いでいても、すっぴんで初対面になるくらいなら日を改めるけどな……。 

「んー? んー……」

「もう隠し事しないって言った」

「う……、はい……。あのね、ハイジさんがその方がいいって言ったの」

「ハイジさん?」

 ここでハイジさんの名前が出るなんてどういうことだろう。

「うん。俺、大学の時よくハイジさんと飲んでたって言ったでしょ?」

「うん」

「その頃、よくまどかさんの話してたんだ」

「私!?」

「うん。好きなタイプとか芸能人の話とかしてて、俺結婚するならまどかさんがいいなぁって話してたの。そしたら、ハイジさんが同じ市内に住んでるんだから、会おうと思えばいくらでも方法はあるよって言われてさ……」

「まあ……そうだね」

「でも、会えたとしてももし俺が大学中退して税理士になれなかったら、まどかさんのこと幸せにするんなんて無理だよって言われて、それで頑張って税理士とったの」

「えぇ!? 私のため!?」

「そう。まどかさん、俺のこと最初は工場勤務だと思ってたでしょ? そうなっててもおかしくなかったと思う。でも、こういう時のために頑張んなきゃダメだよってハイジさんが言ってくれた。
 もし、まどかさんを街で見かけるようなことがあったら、仲良くなって俺が紹介してあげるからって。まあ、その前に俺がまどかさんと先に出会ったんだけどね。
 それで、ハイジさんにはずっと相談してたから、結城さんとのことも言ったんだ。初めて今度まどかさんと会うんだって。そしたら、今後のためにいつもよりもダサい格好で行った方がいいって言われたの」

 あまねくんは、フローリングの上であぐらをかき、過去のことを思い出すかのように遠くを見つめて言った。
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