【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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婚姻届

【74】

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 手を合わせて一言「いただきます」と言ってから、まずはだし巻き卵を口に運んだ。私が作るだし巻き卵と同じ味がした。

「どう? 美味しい?」

「うん。美味しい。って、私のと同じ味だから、言ってて変な感じだけど。でも、再現できるの凄すぎる」

 感動と知らなかった特技を見せられたのとで笑ってしまう。

「よかった。俺ね、まどかさんの作るご飯大好きなんだ。まどかさんみたいに上手には作れないけど、1つ1つ覚えてくから」

「うん。また一緒に作ろうね」

「次の休みはね、一緒にお菓子作る」

「お菓子? いいよー。何がいい?」

「何がいいかな? チーズケーキ美味しかったね。チョコレート好きだから、何て言うんだっけ? あれ、ブラウニー?」

「うんうん、ブラウニーね。私も大好きだよ」

「それがいい」

「いいよ。じゃあさ、金曜日の仕事が終わったら、一緒に材料買いに行こうか」

「やった。まどかさんと一緒に買い物」

 朝からこんなにあまねくんが爽やかなのは本当に珍しい。いつもはいつまでもたってもウトウトしているのに。

「楽しみにしてるね。あ……これも美味しい」

 カレイのムニエルを口にして驚く。もしかしたら私が作るものよりも美味しいかも……。ちょっと悔しいけれど、嬉しさの方が勝り、へへっと思わず笑みが溢れる。

「よかった。まどかさんが喜んでくれて。俺、まどかさんが嬉しいって思えることいっぱい探すね」

「ううん、あまねくんが一緒にいてくれたらそれだけで嬉しいよ。幸せ」

「俺も! 俺もだよ!」

「うん。今年は色々あったけど、いい年になったね。令和になったことをはしゃぐ暇もなかったし」

「あー、そうだね。いつの間にか年号変わっちゃったね。でも俺、2つ目の年号をまどかさんと迎えられて嬉しいよ」

 あまねくんは、味噌汁の器を置いて、とても幸せそうに笑う。
 2つ目の年号ね……ああ、この子平成生まれだった。私は昭和生まれだけどね! 
 切ないけど泣かないもん。

 平成に出会って、令和に結婚できた。そんなおめでたい出会いだったといい方向に考えようと、目の前の可愛い笑顔を見て思うのだった。

 あまねくんの愛情は大きすぎて、時々驚かされる。けれど、着々と紡ぐ愛は私にたくさんの幸せをくれる。

 この先もずっと、この優しい旦那さんと生まれてくるこの子と溢れるくらいの幸せを育めるんだろうな。

 ハイジさんの協力が大半であったのには驚いたけど……。
 今度会ったらその辺の話もしてみよう。

 ただ、茉紀とハイジさんについての謎は深まるばかり。重ねた謎が暴かれる時はくるのだろうか。
 いつかちゃんと彼女が話してくれるといいな。

 茉紀にも夫婦として母親として悩みや苦労があるのだろう。その軌跡を私もあまねくんと共に歩んで行く。

 向かい合って座る美しい彼は、姿勢正しく綺麗に食事をする。目が合えばふっと微笑むその姿が柔らかく、穏やかで、暖かい。
 普段はあまりない、平日の朝にゆったりとした余暇時間。

 安心感に包まれる私の目に映ったのは、昨日私が選んだネクタイの淡い青。
 爽やかな朝に似合うその青は、私達の将来を見届けてくれるような気がした。





〔完〕
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