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今夜は同窓会

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 亜純は当然本気で心配してくれた。真白の虐待のことなど知らないし、両親の喧嘩に巻き込まれて怪我をしたと思っている。
 それでも自宅に1人でいる真白のことを気にかけてくれた。

「真白家に1人なんでしょ? ご飯とかどうしてるの?」

「別に、適当に作るよ」

 真白の身元引受人は母方の祖母となったが、何年も会っていないため一緒に暮らすことは真白が拒絶をした。
 祖母は至ってまともな人物で、母の悪行について泣きながら謝罪をしてくれたがあの化け物を産んだ女の世話にはなりたくなかった。

 どんなに嫌な思い出が詰まった家でも、真白が出ていくのは不本意だった。祖母が定期的に真白の安否確認をすることと、生活の援助をすることを条件に真白の一人暮らしが始まったのだ。
 だから当然食事も自分で用意しなければならなかった。しかし、あの両親と一緒に暮らすことを思えば自分のために家事をやることくらいなんてことはなかった。

 動画やネットを漁ればレシピもいくらでも出てくる。調理実習以外での料理は初めてだったが、案外得意分野だった。

「真白さえよかったら暫く家に泊まりにこない? お母さんもそうしたらって言ってて」

 そう提案してくれたのは亜純の方だった。普段の真白なら、誰かの世話にはなりたくないし深入りもしたくはなかった。
 けれど亜純は自分に勇気をくれた人。亜純に出会ったから自分の力で両親からの呪縛から逃れることができたし、自由を手に入れた。

 そんな亜純とだったら学校以外の時間も一緒に過ごしてみたかった。それに今まで友達の家に泊まりに行くということをしたことがなかった。あの男が許さなかったからだ。
 だから初めてのお泊まりは亜純の家がよかった。

「……いいの?」

「うん。いつも真白の話をお母さんにするの。会ってみたいって言ってたよ」

「そう……。私も亜純のお母さんなら会ってみたい」

 素直にこぼれた言葉だった。亜純を産んだ母は、自分の母とは何もかも違うのだろうと期待も膨らんだ。
 他人の子供のことも心配する余裕があるところにも好感が持てた。
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