したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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今夜は同窓会

18

 初めて亜純の家に泊まった時には衝撃を受けた。亜純の母は、真白の母のように男に媚びた格好をしたり、高い声を上げたりはしなかった。
 少しふくよかでよく笑う人だった。

「この子産んでから体型戻らなくてねぇ」

 なんて言いながら亜純の妹の頭を撫でた。小学校に上がったばかりの妹はとても小さく見えた。こんなにも幼い子と関わるのは初めてに近くて真白は戸惑った。
 自分が虐待を受けるよりももっと幼い子供だ。そんな子に自分が触れてもいいんだろうかと恐怖もあったが「ましろちゃんこれみてー」と言いながら自分で描いた絵を見せてくれたり、隣にちょこんと座ったりしたものだから自然と可愛いと思えた。

 ほっこりするような、温かくなるような不思議な感覚だった。真白は初めて自分にもそんな感情があるのだと知った気がした。

 父親は決して明るい人ではなかったが、「家が大変だったことは聞いたよ。女の子の一人暮らしは危ないからご両親が帰ってくるまでいたらいい」と少しだけ微笑んだ。

 真白はその男から全く嫌悪を感じなかった。あんなにも男は汚くて気味の悪い生き物だと感じたのに、亜純の父だと思うだけで自然と受け入れられた。

「叔母が時々来るので大丈夫です。でも暫くお世話になります」

 真白がそう言って頭を下げると、料理が乗った皿をテーブルに置きながら母が「亜純と同じ年なのにしっかりした子ね。亜純もよそのお家に行ったらちゃんと挨拶するのよ」なんて言って驚いた顔をした。

 何もかもが新鮮だった。初めて自分の家族以外の家族を目にした気がした。それと同時に、再婚する前の光景も思い出した。
 両親は喧嘩ばかりだったが、笑って会話をする日だってあった。家族で旅行に行ったことだってあった。あれはあれで幸せだったのに。なんて、とっくに終わった過去を振り返ったりもした。
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