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友人の恋人

08

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 数年間絶縁関係にあったはずが、それを機に母が金を集り始めたのだ。病院名を告げられたことから病室までやってきて「お前のせいで金がなくなったんだから責任取れ!」なんて騒ぐ始末。
 病院側には散々文句を言って謝罪を受けたが、自宅の場所や連絡先を知られまいと必死だったのだ。

 早いところ新しく車を手にいれなくちゃ。そう考えはしたが、同窓会どころではなくなってしまった。
 なんとか母から逃げ切って、連絡回路を絶ち今に至るが、いくら亜純や千景に何で連絡しなかったんだと言われても詳細までは話せるものではなかった。

「それもあるけど、さっき亜純に怒ってるみたいだったから」

「亜純に……?」

 予想していたものとは違う言葉が飛んできて、今度は真白の方が怪訝な顔をした。

「それとも依になのかなって思ったけど」

「……あんたも知ってたの? 依とのこと」

 真白は目を見開いた。まさかあの亜純がセックスレスについて千景にまで相談していたとは思わなかったからだ。
 けれど千景の方は、それを利用して聞き出したところで後でトラブルになりかねないことはわかっているのでゆっくりと首を横に振った。

「知らないよ。依とも亜純とも本当に久しぶりに会ったんだ。でも、遠目から見てて亜純と真白が何となく依に怒ってて、亜純がさっき気まずそうな顔をしていたことには気付いてる」

「……相変わらずよく見てるのね。依は千景に何も言ってこないの?」

「何を? 亜純のこと? それなら言わないよ。依は俺のことを警戒してるから」

 肩をすくめた千景に、真白は呆れたように指先で眉間を抑えた。そりゃそうだ、と納得した。

「依ってば、今日ここに亜純を来させないために同窓会のこと言わなかったみたいなの」

「ああ、やっぱりそうなんだ。さっき依にお前が余計なこと言わなきゃこなかったって言われたよ」

 千景が頬を引きつらすと、真白は呆れたようにはぁっと息を大きく吐いた。

「ますますわかんないわね。依の独占欲にも呆れるけど……そんなに亜純が大事ならどうして……」

 ボソッと呟いた真白に千景は追求するべきか悩んだ。
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