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友人の恋人
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「独占欲……? それって私のことが好きだからなのかな」
亜純は無意識にそうポロッと呟いた。千景はそれ以外になにがあるんだと思いながらも「そりゃそうでしょ?」と言葉を柔らかくした。
「ねぇ、千景から見て依は私のこと好きだと思う?」
「それはもちろん。だから、子供みたいに嫉妬するんだろうし」
「うん……。私ね、さっき愛情は伝わってくるって言ったけど……本当はもうよくわからないの」
「え? それは……さっきの依の考えてることがわからないってことの続き?」
千景はドキリとした。自分から聞くわけにはいかない。亜純が話したがらないのであれば俺はこの件には深入りしないでいよう。そう思ったのに、亜純が何となく核心を突いてきそうだったからだ。
「うん。あのね、依は私との子供は欲しくないみたいなの」
千景の予感は的中した。
「えっと……依がそう言ったの?」
「まだ2人でいいじゃんって。私もそうだねって言ってたけどさ、あれからもう何年も経っちゃった……。それにさ」
亜純はそう言ってセックスレスについても語った。周りはガヤガヤと騒がしく、笑い声も絶えない。そんな中、その場にそぐわない実に重たい内容だった。
亜純は辛そうに顔を伏せて「こんなことさ、千景には言うことじゃないのかもしれないけど……でもさ、千景まで離れていったら私は苦しいよ」と続けた。
千景の中では離れていくという感覚ではなかった。あくまでも夫婦の問題から距離を置こうと思っただけで、亜純を突き放そうとしたわけではない。
けれど、弱っている今の亜純にとって絵本のやり取りを解消するという千景からの提案は、そう捉えさせてしまうには十分だった。
自分の気持ちを素直に言葉にできる亜純だからこそ、その感情がダイレクトに千景に伝わった。
亜純は無意識にそうポロッと呟いた。千景はそれ以外になにがあるんだと思いながらも「そりゃそうでしょ?」と言葉を柔らかくした。
「ねぇ、千景から見て依は私のこと好きだと思う?」
「それはもちろん。だから、子供みたいに嫉妬するんだろうし」
「うん……。私ね、さっき愛情は伝わってくるって言ったけど……本当はもうよくわからないの」
「え? それは……さっきの依の考えてることがわからないってことの続き?」
千景はドキリとした。自分から聞くわけにはいかない。亜純が話したがらないのであれば俺はこの件には深入りしないでいよう。そう思ったのに、亜純が何となく核心を突いてきそうだったからだ。
「うん。あのね、依は私との子供は欲しくないみたいなの」
千景の予感は的中した。
「えっと……依がそう言ったの?」
「まだ2人でいいじゃんって。私もそうだねって言ってたけどさ、あれからもう何年も経っちゃった……。それにさ」
亜純はそう言ってセックスレスについても語った。周りはガヤガヤと騒がしく、笑い声も絶えない。そんな中、その場にそぐわない実に重たい内容だった。
亜純は辛そうに顔を伏せて「こんなことさ、千景には言うことじゃないのかもしれないけど……でもさ、千景まで離れていったら私は苦しいよ」と続けた。
千景の中では離れていくという感覚ではなかった。あくまでも夫婦の問題から距離を置こうと思っただけで、亜純を突き放そうとしたわけではない。
けれど、弱っている今の亜純にとって絵本のやり取りを解消するという千景からの提案は、そう捉えさせてしまうには十分だった。
自分の気持ちを素直に言葉にできる亜純だからこそ、その感情がダイレクトに千景に伝わった。
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