したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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夫婦のかたち

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 依には亜純が本気でそう言っているように見えたが、当時の亜純だったらそうはいかなかっただろうと思えた。

 色んな女の子と噂がある依のことをよく思っていなかったし、真白が依だけはやめておけと言ったら素直に言うことを聞いただろうと思えた。
 亜純は相手は自分で決めると言ったが、何度告白しても断り続けたのは亜純だ。それがいつの間にかコロッと意見を変えて依を好きになっただなんて言わなかっただろう。

 確実に真白の言葉に左右されていた。それは今思い出しても明白だった。

「俺は……散々本気で亜純のことが好きだって言った。高校の時から何回も。でも亜純が俺のことを信じなかったんじゃん。他にも女の子いっぱいいるでしょって言ったんじゃん。あの時の俺がどんだけ傷付いたかも知らないくせに。真白に薦められなかったら、俺のこと選ばなかったくせに」

 依はそれしか手段がなかったんだと必死に訴える。しかし、亜純にはやっぱり理解できなかった。

「実際に依は付き合った子いっぱいいたじゃん。私のことを本気で好きになってくれてたのかもしれないけど、私が依を信用できなかったのは自分の日頃の行いのせいでしょ? それなのに真白の手を借りようとしたこともおかしいし、恋愛経験のなかった私に傷付けられたなんていうのもおかしいと思う」

 依はどこまでも自分が被害者になろうとする。思いが届かないのなら諦めればよかったのだ。真白を使わなくたって、真白に依はやめとけと言われたって諦められないのであれば付き合えるまで食い下がればよかったのだ。
 それをしなかったくせに、本気の依を信用しなかった自分が悪いだなんてどこまで私のせいにすれば気が済むのかと呆れた。

「真白を抱く前に亜純が俺と付き合ってくれてたら、そんなことにはならなかった……」

「私の友達を抱くような人だと知ってたら、私は好きにならなかったよ」

 噛み合わなくなってきた会話に、2人はしんと黙った。
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