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新しい風
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「……千景」
亜純はぶわっと目に涙を溜めた。何だかたまらなく嬉しくなった。依は亜純のことを好きだといいながら、他の男と仲良くしていないか気持ちが揺らいでいないかとにかく確認したがった。
結婚している時にはそれも愛情表現なのだと思っていたが、今となっては単に信用されていなかっただけなのではないかと思えた。
でも千景は違う。嬉しそうに悠生のことが好きだと言った自分も全て受け入れてくれた。失敗したことも責めず、亜純が自分で前を向けるように支えてくれた。
全て自分のペースに合わせてくれることがこんなにも安心できることを初めて知った気がした。
「え!? 何で急に泣く!?」
おろおろと戸惑う千景に、亜純は腕を伸ばしてギュッと抱きついた。自分から抱きつくことに躊躇もなかった。
この手を離したらいけないと思ったのだ。ちゃんとした恋愛はすぐ側にあって、いつだって手に入るものだった。
近過ぎて見えなかったものがようやく見えて、亜純は心底大切にしたいと思えた。亜純の体を包み込む長い腕も、規則正しい心音も全てが愛しく感じた。
「ありがとう……。私も千景と一緒にいたい。もっと、ずっと一緒にいたい」
声を振り絞った亜純に、千景は優しく微笑んで髪をそっと撫でた。これからは自分が亜純を守っていこうと思えた。
「一緒にいよう。亜純となら毎日楽しいと思う」
「私も……そう思う」
「俺も……亜純と一緒に料理したり、買い物行ったり全部一緒にするの憧れる……」
千景は素直な亜純に背中を押されるように、依へ抱いていた憧れをポツリと話した。亜純はそれに気付いていないが、「うん。一緒にやろうね。全部半分こしたら、大変なことも楽しいことも全部一緒だよ」と千景の腕の中で笑った。
亜純はぶわっと目に涙を溜めた。何だかたまらなく嬉しくなった。依は亜純のことを好きだといいながら、他の男と仲良くしていないか気持ちが揺らいでいないかとにかく確認したがった。
結婚している時にはそれも愛情表現なのだと思っていたが、今となっては単に信用されていなかっただけなのではないかと思えた。
でも千景は違う。嬉しそうに悠生のことが好きだと言った自分も全て受け入れてくれた。失敗したことも責めず、亜純が自分で前を向けるように支えてくれた。
全て自分のペースに合わせてくれることがこんなにも安心できることを初めて知った気がした。
「え!? 何で急に泣く!?」
おろおろと戸惑う千景に、亜純は腕を伸ばしてギュッと抱きついた。自分から抱きつくことに躊躇もなかった。
この手を離したらいけないと思ったのだ。ちゃんとした恋愛はすぐ側にあって、いつだって手に入るものだった。
近過ぎて見えなかったものがようやく見えて、亜純は心底大切にしたいと思えた。亜純の体を包み込む長い腕も、規則正しい心音も全てが愛しく感じた。
「ありがとう……。私も千景と一緒にいたい。もっと、ずっと一緒にいたい」
声を振り絞った亜純に、千景は優しく微笑んで髪をそっと撫でた。これからは自分が亜純を守っていこうと思えた。
「一緒にいよう。亜純となら毎日楽しいと思う」
「私も……そう思う」
「俺も……亜純と一緒に料理したり、買い物行ったり全部一緒にするの憧れる……」
千景は素直な亜純に背中を押されるように、依へ抱いていた憧れをポツリと話した。亜純はそれに気付いていないが、「うん。一緒にやろうね。全部半分こしたら、大変なことも楽しいことも全部一緒だよ」と千景の腕の中で笑った。
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