61 / 324
脅しの存在
14
しおりを挟む
数歩前に進むと、凪の前に誰か立っていた。普段穏やかに会話をしている凪が誰かともめているのかと千紘は顔をしかめた。
「それ、営業妨害だろ」
凪がそう続けたことで、千紘の疑問は更に深まる。営業妨害、という言葉からもしかしたら同業者か? 客の取り合いか? なんてことが頭を過ぎる。
どちらにせよ、美容院の前で風俗の話なんて勘弁してくれよ。なんて千紘は息をついた。
「は? 誰だよ、お前。お前には関係ないだろ」
凪の目の前にいた男が面倒くさそうに呟く。それを見た千紘が、今度は違和感に気付く。どうやらお互い顔見知りってわけではなさそうだ。しかし、だったら何をもめる必要があるのか。
そこまで考えて千紘はようやく凪の目の前に立っている男の顔を確認した。
その瞬間、千紘の目の色が変わる。すっと瞼を下げ、攻撃的な視線を向けた。
千紘は何度か彼のカットを担当したことがあった。ヘアモデルの仕事をしているほど整った容姿の男性。たしか、年齢は自分と同じくらいだったはず。
千紘のカットが気に入ったから、毎月予約を入れされてくれと何度も交渉されたのだ。さすがに彼だけを優遇することはできないし、ヘアモデルの仕事をするために他店でカットしてきたりする。だから、正直ちゃんと予約通り来るかどうかも怪しかった。
当然丁重にお断りさせてもらったのだが、その次の予約時には来店しなかった。あの時、やっぱり来なくなったか。なんて思っただけだったが、今更ひょっこり何の用かと様子を窺った。
「関係あるわ。予約ってその時間を買ってんのと一緒なんだぞ。1件なくなっただけでどんだけ損失出ると思ってんだよ」
凪が言う。彼が言うと、どうしてもセラピストの話に聞こえた。彼の仕事は60分いくらで施術をする。予約を取って彼の時間を買う。
しかし、その対象者は女性のはず。なのに凪が話しているのは男性で、しかも以前千紘の客だった人物だ。
なにか、おかしい……。千紘がそう思った瞬間、「だったら何? 他の客待たせるほど予約詰め込む方が悪くね? 次の予約が半年待ちとか1年待ちとか客ナメてるでしょ。ちょっとくらい減った方があの人も仕事しやすくなるし、他の客も予約取りやすくなるし、一石二鳥じゃん」そう言って男が高らかに笑った。
千紘は目を大きく見開いた。凪のことを言ってるんじゃない。多分これは自分のこと……。そんなふうに気付いたら、一瞬で頭に血が昇った。
何かおかしいと思ったら、客減らしてたのコイツか。と殺意すら芽生えた。
「それ、営業妨害だろ」
凪がそう続けたことで、千紘の疑問は更に深まる。営業妨害、という言葉からもしかしたら同業者か? 客の取り合いか? なんてことが頭を過ぎる。
どちらにせよ、美容院の前で風俗の話なんて勘弁してくれよ。なんて千紘は息をついた。
「は? 誰だよ、お前。お前には関係ないだろ」
凪の目の前にいた男が面倒くさそうに呟く。それを見た千紘が、今度は違和感に気付く。どうやらお互い顔見知りってわけではなさそうだ。しかし、だったら何をもめる必要があるのか。
そこまで考えて千紘はようやく凪の目の前に立っている男の顔を確認した。
その瞬間、千紘の目の色が変わる。すっと瞼を下げ、攻撃的な視線を向けた。
千紘は何度か彼のカットを担当したことがあった。ヘアモデルの仕事をしているほど整った容姿の男性。たしか、年齢は自分と同じくらいだったはず。
千紘のカットが気に入ったから、毎月予約を入れされてくれと何度も交渉されたのだ。さすがに彼だけを優遇することはできないし、ヘアモデルの仕事をするために他店でカットしてきたりする。だから、正直ちゃんと予約通り来るかどうかも怪しかった。
当然丁重にお断りさせてもらったのだが、その次の予約時には来店しなかった。あの時、やっぱり来なくなったか。なんて思っただけだったが、今更ひょっこり何の用かと様子を窺った。
「関係あるわ。予約ってその時間を買ってんのと一緒なんだぞ。1件なくなっただけでどんだけ損失出ると思ってんだよ」
凪が言う。彼が言うと、どうしてもセラピストの話に聞こえた。彼の仕事は60分いくらで施術をする。予約を取って彼の時間を買う。
しかし、その対象者は女性のはず。なのに凪が話しているのは男性で、しかも以前千紘の客だった人物だ。
なにか、おかしい……。千紘がそう思った瞬間、「だったら何? 他の客待たせるほど予約詰め込む方が悪くね? 次の予約が半年待ちとか1年待ちとか客ナメてるでしょ。ちょっとくらい減った方があの人も仕事しやすくなるし、他の客も予約取りやすくなるし、一石二鳥じゃん」そう言って男が高らかに笑った。
千紘は目を大きく見開いた。凪のことを言ってるんじゃない。多分これは自分のこと……。そんなふうに気付いたら、一瞬で頭に血が昇った。
何かおかしいと思ったら、客減らしてたのコイツか。と殺意すら芽生えた。
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる