ほら、もう諦めて俺のモノになりなよ

雪村こはる

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体だけでも

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「本気の度合いなんて人によって違うだろ。俺とお前とじゃ本気の上限が違うんだよ」

 凪は面倒くさそうにそう言った。千紘がカットした髪をかきあげ、少し色が褪せた青が綺麗に光った。

「上限ね。じゃあ、俺のMAXはここかぁ。……凪大好き」

 千紘がにっこりと笑っていう。全く害がなければまるで天使のような笑顔に、凪はぐっと顔をしかめた。

「大好きとか言うなよ。俺はそれに応えられない」

「いいのいいの。今はね」

「だから今はとかじゃなくて」

「ねぇ凪、エッチしよ」

 千紘はスマートに体を起こすと凪の上から覆い被さった。その瞬間、凪は大きく目を見開いた。

「……は?」

「後ろが原因だったのか結局わからず仕舞いだし、凪が満たされるようにとりあえず体で満足させてあげるから」

「……お前、何言って……」

 凪はさあっと顔を青くさせた。今日は無理矢理しなかった。やめてほしいと言ったら止めてくれた。それ以上苦痛を与えることはなかった。だから、今日はもう帰るだけ。そう思ってたのにまさかのどんでん返し。
 それも本来ならとっくに時間は過ぎていたのに、この男のことを少しだけ信用してここに留まったのだ。これ以上の裏切りはないと凪は顔を引き攣らせた。

「大丈夫。全部俺に委ねて」

 千紘はふわりと笑う。本気の恋愛というものを知らなそうな凪に、嫌というほど愛情を注ぎたいと思った。

「絶対嫌だ。お前、俺が嫌がることしないって言ったじゃん」

「うん。言った。嫌なことしない」

「言ってることと、やってることがっ」

 千紘はまだ凪が喋っている内に、凪の前髪を上に上げてそこに唇を軽く押し当てた。チュッと軽くリップ音が響く。
 凪はぐっと眉間に皺を寄せるが、千紘はそんなものなどお構いなしに、左頬にもキスを落とした。
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