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諦めること
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凪はふっと笑ってスクランブルエッグを口に入れた。ケチャップの香りが真っ先に鼻を抜けた。
凪の気まぐれで泊まりにきて、用事があるからとさっさと朝食だけ食べて去っていく。それが千紘の中での凪のスケジュールなのだ。
だから当然この後千紘は暇になり、友人の誘いも断らなかった。凪が一体何しにきたのかもわからないまま。
凪に触れることもなく、デートへの誘いもせず、単なる凪の気まぐれに付き合ったのだ。
それがわかったら、千紘を振り回しているのは自分の方だと気付いた。貸切をしたいと言った千紘は、凪がいいと言ったらコース料金も払うのだろう。
舐め回すようにホームページを覗いていた千紘は、貸切の料金が20万円だということも承知しているはず。
料金など発生せずとも、凪からこんなふうに泊まりに来ているのに、タダでデートがしたいとは言わないのだ。
ご飯に行こうと誘ってきたのだって、その前に会った時から数週間空けてのこと。きっと千紘なりに配慮して誘ってきているのだと思えた。
ただ、凪を誘わない間は今日みたいに千紘を誘ってきた誰かと会っているのだ。求められて体を重ねているかもしれないし、そうでなくても頻繁に会っているのかもしれない。
同性愛者にとって、千紘は魅力的に映るだろう。女性だって群がるほどだ。千紘には他人を惹き付ける魅力がある。それは凪も理解していた。
以前考えたことがあった。凪に振り向いてもらうことを千紘が諦めたら、関係はそこで終わりだと。
以前のようにガツガツ迫ってこなくなった千紘は、少しずつ凪と距離をとっている。もしかしたしたら、このままほんの少しずつ千紘は諦めていくつもりなのかもしれないと凪は思った。
ただ添い寝するだけなんて、千紘も相当我慢しているだろうと予想はつく。けれど、疲労でセックスなどしている余裕はなかった。セラピストを始める前の自分だったら、女性と同じベッドで添い寝だけだなんて耐えられなかっただろう。
それも自分が好意を抱いていたら尚更。しかし千紘はそれに文句も言わず、誘うことも触れることもなく、大人しく腕枕だけしてくれたのだ。
凪は、ぐっすり眠れたのもそういった千紘の優しさのおかげだと思わざるを得なかった。
「違うの?」
「今日はな。特に予定なかった」
「……そうなんだ」
千紘は凪の言葉の意図がわからず、ふーんと頷く。けれど、「だから、別にセックスしてもいいと思ってたけど残念だったな」と凪が言ったことで千紘は今度こそ盛大な音を立ててスプーンを床に落とした。
凪の気まぐれで泊まりにきて、用事があるからとさっさと朝食だけ食べて去っていく。それが千紘の中での凪のスケジュールなのだ。
だから当然この後千紘は暇になり、友人の誘いも断らなかった。凪が一体何しにきたのかもわからないまま。
凪に触れることもなく、デートへの誘いもせず、単なる凪の気まぐれに付き合ったのだ。
それがわかったら、千紘を振り回しているのは自分の方だと気付いた。貸切をしたいと言った千紘は、凪がいいと言ったらコース料金も払うのだろう。
舐め回すようにホームページを覗いていた千紘は、貸切の料金が20万円だということも承知しているはず。
料金など発生せずとも、凪からこんなふうに泊まりに来ているのに、タダでデートがしたいとは言わないのだ。
ご飯に行こうと誘ってきたのだって、その前に会った時から数週間空けてのこと。きっと千紘なりに配慮して誘ってきているのだと思えた。
ただ、凪を誘わない間は今日みたいに千紘を誘ってきた誰かと会っているのだ。求められて体を重ねているかもしれないし、そうでなくても頻繁に会っているのかもしれない。
同性愛者にとって、千紘は魅力的に映るだろう。女性だって群がるほどだ。千紘には他人を惹き付ける魅力がある。それは凪も理解していた。
以前考えたことがあった。凪に振り向いてもらうことを千紘が諦めたら、関係はそこで終わりだと。
以前のようにガツガツ迫ってこなくなった千紘は、少しずつ凪と距離をとっている。もしかしたしたら、このままほんの少しずつ千紘は諦めていくつもりなのかもしれないと凪は思った。
ただ添い寝するだけなんて、千紘も相当我慢しているだろうと予想はつく。けれど、疲労でセックスなどしている余裕はなかった。セラピストを始める前の自分だったら、女性と同じベッドで添い寝だけだなんて耐えられなかっただろう。
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「違うの?」
「今日はな。特に予定なかった」
「……そうなんだ」
千紘は凪の言葉の意図がわからず、ふーんと頷く。けれど、「だから、別にセックスしてもいいと思ってたけど残念だったな」と凪が言ったことで千紘は今度こそ盛大な音を立ててスプーンを床に落とした。
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