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得るものと失うもの
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凪はバッサリ辞めることも考えたが、結局は暫く内勤として働くことにした。内勤の仕事は受付やセラピストのスケジュール管理、ホームページ管理などの事務職といったところだ。
対面で客と関わることはないし、セラピストとだって業務的な会話だけですむ。
仕事を辞めたところでまたこの2週間のような生活を送るのも考えものだし、また工場勤務に戻るのは嫌だった。
あんなふうにただ生活するためだけに働くほど経済的に困っているわけではない。だからといってずっと働かずにいれば貯金はその内底を突く。
それならまだわかってる業界で必要最低限働く方がマシだと思った。
「内勤か……辞めちゃってもよかった気もするけど」
「俺も考えたけど、次の仕事探すのも面倒だし、ずっと引きこもってるのも病みそうでやめた」
「まあ、たしかに」
千紘はもう少し休んだらどうかと言おうとしたが、痩せた凪を見て仕事をしようと思えただけいいかと考えた。
ちゃんと食事をする様子を見られて安堵したし、自分も凪と同じペースで食べることができて嬉しく思った。
凪を見た途端に元気が出たのは実感している。このままずっとここにいてくれればいいのに、と思わずにはいられない。
「セラピストから離れたら、また違う仕事をしてみようって思うかもしんないし」
「セラピストに戻ることはない?」
「ない。多分。オーナーはいつでもセラピストに戻ってもいいって言ってたし、俺も軽く返事したけどもう戻るつもりはないよ」
「うん。ちょっと安心した。嫌々やる仕事は神経削られるし。それに、食欲もあるみたいでよかったよ」
千紘は、空になった凪の茶碗を見て微笑んだ。自分が作った料理を完食してくれたのも嬉しかった。
「あんまり食欲なかったんだけどな。久しぶりにちゃんとしたもの食った」
「ご飯はちゃんと食べないと」
「お前もな」
「1人でいるとどうでもよくなっちゃうよね。ほんと、俺もそうだからよくわかる」
今似たような境遇にいる2人は、食卓に並ぶ皿をじっと見つめた。頭ではわかっているのだ。一緒にいればちゃんと食事がとれることも、眠れることも。
だけど、一度突き放された千紘は間違っても一緒にいてほしいとは言えなかった。
対面で客と関わることはないし、セラピストとだって業務的な会話だけですむ。
仕事を辞めたところでまたこの2週間のような生活を送るのも考えものだし、また工場勤務に戻るのは嫌だった。
あんなふうにただ生活するためだけに働くほど経済的に困っているわけではない。だからといってずっと働かずにいれば貯金はその内底を突く。
それならまだわかってる業界で必要最低限働く方がマシだと思った。
「内勤か……辞めちゃってもよかった気もするけど」
「俺も考えたけど、次の仕事探すのも面倒だし、ずっと引きこもってるのも病みそうでやめた」
「まあ、たしかに」
千紘はもう少し休んだらどうかと言おうとしたが、痩せた凪を見て仕事をしようと思えただけいいかと考えた。
ちゃんと食事をする様子を見られて安堵したし、自分も凪と同じペースで食べることができて嬉しく思った。
凪を見た途端に元気が出たのは実感している。このままずっとここにいてくれればいいのに、と思わずにはいられない。
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「セラピストに戻ることはない?」
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「うん。ちょっと安心した。嫌々やる仕事は神経削られるし。それに、食欲もあるみたいでよかったよ」
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「ご飯はちゃんと食べないと」
「お前もな」
「1人でいるとどうでもよくなっちゃうよね。ほんと、俺もそうだからよくわかる」
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