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得るものと失うもの
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千紘は、凪の『雑な扱い』という言葉に耳をピクリと立たせてすっと息を止めた。
「ざ、雑に扱ったつもりはなかったんだけど……」
「お前、変わってないだろ。最初の時もこうやって無理やり押し倒して自分の欲押し付けて」
凪が指摘すれば、全くもってその通りだと千紘は反論できなくなってしまった。ぱっと凪の手首から手を離し、凪の上に跨ったまま千紘は自分の指同士を合わせてモジモジと居心地悪そうに目を伏せた。
「……ごめん。俺、嬉しくなっちゃって……」
「お前は俺とキスしてセックスできたらいいの?」
「違っ……そりゃ、ちゃんと気持ちも欲しいけど……凪は俺のこと好きじゃないし……。でも、気持ちがなくても触れられるのが嫌じゃないなら触れられるだけでもいいっていうか……」
「そうやって後回しにするから気持ちも手に入らないんだろ? お前は俺の気持ちを全然考えてない」
下から千紘を睨みつければ、千紘はう……と観念したように凪の上から体を退けてその場に正座した。
「凪は……どうしたいの? 俺、わかんないよ。俺は凪のこと好きだから、凪からキスされたら舞い上がっちゃう。嬉しいし、ちょっとでも俺のこと好きかもって勘違いしちゃう」
千紘も千紘で感情がぐちゃぐちゃになって追いついていかないのだ。凪に翻弄されて、傷付いたり、嬉しくなったり起伏が激し過ぎて胸が苦しくなった。
ようやく受け入れてもらえたと思ったら突き放されて、どこまで触れていいのか、凪から触れる以外は触れちゃいけないのか線引きもはっきりとわからない。
行動してみないといい事とダメな事の区別がつかないのだ。お互いに好き合っていたら、相手からの好意は嬉しく感じるはずなのに、そうでないから凪の気持ちを汲み取るのはとても難しいことだった。
「ざ、雑に扱ったつもりはなかったんだけど……」
「お前、変わってないだろ。最初の時もこうやって無理やり押し倒して自分の欲押し付けて」
凪が指摘すれば、全くもってその通りだと千紘は反論できなくなってしまった。ぱっと凪の手首から手を離し、凪の上に跨ったまま千紘は自分の指同士を合わせてモジモジと居心地悪そうに目を伏せた。
「……ごめん。俺、嬉しくなっちゃって……」
「お前は俺とキスしてセックスできたらいいの?」
「違っ……そりゃ、ちゃんと気持ちも欲しいけど……凪は俺のこと好きじゃないし……。でも、気持ちがなくても触れられるのが嫌じゃないなら触れられるだけでもいいっていうか……」
「そうやって後回しにするから気持ちも手に入らないんだろ? お前は俺の気持ちを全然考えてない」
下から千紘を睨みつければ、千紘はう……と観念したように凪の上から体を退けてその場に正座した。
「凪は……どうしたいの? 俺、わかんないよ。俺は凪のこと好きだから、凪からキスされたら舞い上がっちゃう。嬉しいし、ちょっとでも俺のこと好きかもって勘違いしちゃう」
千紘も千紘で感情がぐちゃぐちゃになって追いついていかないのだ。凪に翻弄されて、傷付いたり、嬉しくなったり起伏が激し過ぎて胸が苦しくなった。
ようやく受け入れてもらえたと思ったら突き放されて、どこまで触れていいのか、凪から触れる以外は触れちゃいけないのか線引きもはっきりとわからない。
行動してみないといい事とダメな事の区別がつかないのだ。お互いに好き合っていたら、相手からの好意は嬉しく感じるはずなのに、そうでないから凪の気持ちを汲み取るのはとても難しいことだった。
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