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相談相手
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「多分瑠衣ちゃんにもわかると思う。だって私が今言ったこと、宇野先生から感じ取れなかったんじゃない?」
瑠衣は図星を突かれてドキリとした。
「成美さんは私が考えてることがわかるんですか?」
瑠衣が真面目に質問すると、成美は「ははっ」とおかしそうに笑った。こんなふうに表情を崩して笑う姿を久しぶに見た気がした。
「たしかに瑠衣ちゃんは顔に出やすいから。でも、何で本物だってわかるのかって聞くくらいだから、宇野先生の時にはピンとこなかったんだと思ったの」
「それは……そうです。でも、多分私もそんなに色々自分に尽くしてくれたら本物の愛情なんだって受け入れちゃうと思います」
「それもわかるわ。でもね、本物の愛情を感じる時って理屈じゃないのよ。会話をしていても、ただ一緒にそこにいるだけでも、モヤモヤするものがないの」
「モヤモヤするもの?」
「相手の顔色を伺ったり、些細な言葉で傷付いたり」
「あ……」
成美に言われて、瑠衣は何となく思い当たる節があった。つばさと一緒にいて次のデートの予定を決める時、「瑠衣の方が暇なんだから俺の時間に合わせてよ」と言われることがあった。
瑠衣だって決して暇なわけじゃない。残業も多いし、休日に委員会や会議に出席したり、新人のレポート発表を見に行ったりと忙しい日々を送っている。
つばさに比べれば自分の方が時間があるのは確かだったが、暇だと言われるのはいい気がしなかった。瑠衣はそれを飲み込んだが、成美が言いたいのはそういう小さなことの積み重ねだろうと思えた。
瑠衣は、姿を消してしまった瑞希がいるであろう方向を見やる。成美を騙したことは許せないが、瑠衣が直接瑞希に嫌なことを言われたりされたりしたことは一度もない。
瑠衣の前で成美を落とすような発言をすることもない。
きっと瑞希は、相手を尊重するということができる人間なんだろうと思った。
瑠衣は図星を突かれてドキリとした。
「成美さんは私が考えてることがわかるんですか?」
瑠衣が真面目に質問すると、成美は「ははっ」とおかしそうに笑った。こんなふうに表情を崩して笑う姿を久しぶに見た気がした。
「たしかに瑠衣ちゃんは顔に出やすいから。でも、何で本物だってわかるのかって聞くくらいだから、宇野先生の時にはピンとこなかったんだと思ったの」
「それは……そうです。でも、多分私もそんなに色々自分に尽くしてくれたら本物の愛情なんだって受け入れちゃうと思います」
「それもわかるわ。でもね、本物の愛情を感じる時って理屈じゃないのよ。会話をしていても、ただ一緒にそこにいるだけでも、モヤモヤするものがないの」
「モヤモヤするもの?」
「相手の顔色を伺ったり、些細な言葉で傷付いたり」
「あ……」
成美に言われて、瑠衣は何となく思い当たる節があった。つばさと一緒にいて次のデートの予定を決める時、「瑠衣の方が暇なんだから俺の時間に合わせてよ」と言われることがあった。
瑠衣だって決して暇なわけじゃない。残業も多いし、休日に委員会や会議に出席したり、新人のレポート発表を見に行ったりと忙しい日々を送っている。
つばさに比べれば自分の方が時間があるのは確かだったが、暇だと言われるのはいい気がしなかった。瑠衣はそれを飲み込んだが、成美が言いたいのはそういう小さなことの積み重ねだろうと思えた。
瑠衣は、姿を消してしまった瑞希がいるであろう方向を見やる。成美を騙したことは許せないが、瑠衣が直接瑞希に嫌なことを言われたりされたりしたことは一度もない。
瑠衣の前で成美を落とすような発言をすることもない。
きっと瑞希は、相手を尊重するということができる人間なんだろうと思った。
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