造形美女の険しい恋愛模様

雪村こはる

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図られた食事会

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 瑠衣の言葉に、珀は嬉しそうに目を輝かせた。自分のことなんか全く知らない。そう言っていた瑠衣が、ようやく自分のことを思い出してくれたのだとわかったからだ。

「そうです。正直、見た目なんてどうでもいいって思ってたんですけど、健康のこと言われたらちゃんとしなきゃなって思って。でも運動し始めたら、気持ちが穏やかになって、色々前向きにもなったんです」

「そうなんですね。失礼なことを言ったかなってあの後思ったんですけど……私自身も痩せてから少しだけ気持ちが軽くなったのでつい言っちゃいました」

 瑠衣は、あの時の自分を思い出して苦笑する。そういうことを言えるくらいには、会話の回数も増えていたのだ。

「父が亡くなってから、従業員と衝突することもあったんですけど、気持ちが前向きになったことで、他の人の意見も聞けるようになって、今ではそれなりに他の従業員とも上手くやれてます」

「無事にオーナーさんとして活動されていて安心しました。お父様のことは残念でしたけど、信頼できる仕事仲間ができてよかったですね」

 瑠衣は自然と笑みをこぼした。知っている人だったことで、少し肩の力が抜けた気がした。それに、少し体型について言及したことに後ろめたさも感じていたのだ。
 それが好転したことは純粋に嬉しかった。

「本当にそう思います! それもやっぱり堀江さんのおかげなんです。だから、お店で初めて見かけた時、嬉しくて。でもさすがに恋人と来ているのに声はかけられなくて……」

「それであのタイミングだったんですね」

「今しかないって思って。見た目が変わったことで、俺に対する周りの目も変わった気がするんです。今の方がよっぽど生きやすくて……」

 瑠衣は珀の言葉に眉を下げた。痛いほど気持ちがよくわかった。整形やダイエット前は、マイナスなことしか言われなかったし、自分に笑顔を向けてくれる人もほとんどいなかった。
 それが、性格はそれほど変わっていないのに、見た目が美しくなった途端、周りの人間は笑顔で近付いてくる。

 自分から努力してコミュニケーションを取ろうとしなくても、自然と相手の方から歩み寄ってくれることが多くなった。
 それは瑠衣にとってもとても生きやすくなった瞬間だった。
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