婚約者は元アイドル〜まったり過ごすつもりが波瀾万丈⁈〜

こと葉揺

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「ん?誕生日?来週であってるで」

 ギリギリセーフだ。エミリーに感謝しなくては、忘れるところであった。

「あの、もし予定なかったら、これ一緒に行かない?」

 エミリーから貰った宿泊チケットを渡した。するとモモトセはものすごく喜んでいた。

「嬉しい!もしかして…デートとか…?」

 モモトセは顔を真っ赤にして恥ずかしいのかチケットで顔を隠していた。

「うん。そのつもりだよ」

「嬉しい、嬉しいホンマにありがとう。一緒に行きたい」

 早速2人で申し込みを始めることにした。部屋はもうあるが、他の施設を利用する場合は予約が必要だそうだ。

「何がしたい?せっかくモモトセの誕生日だし、やりたい事を教えて欲しいな」

「えー悩むなぁ。ツヅリとなら何でも楽しいやろうけど、ショッピングもしてみたいし、体動かすの好きやからアスレチックもしたいなぁ」

「その辺りまだ空きがありそうだから予約しよ!夜はゆっくりお部屋でディナーってのもいいかも」

「そうしよか。ツヅリのご飯も美味しいけど、たまにはお休みも必要やんな」

 2人で計画を立てるのはとても嬉しかった。1日目はショッピングとアスレチックで夕方からは部屋でのんびりと過ごすことにした。2日目の午前中に室内貸切プールが空いていたので予約した。
 あまりアクティブな方では無いので付いていけるか不安だが、この際全力で楽しみたいと思った。


 来週までにプレゼントとケーキ用意しなきゃ。心が弾んで仕方がなかった。




 ついに明日デートという日に久しぶりにミラーさんの訪問があった。モモトセは仕事でいなくて私は今日はフリーなので勉強していた。

「お久しぶりです、ミラーさん。モモトセは留守にしてます」

「知ってますよ。私はツヅリ様に用事があって参りました」

 私になんの用だろうかと不思議に思ったが、リビングの方へ入ってもらった。お茶とお菓子を用意してソファに腰をかけるように勧めた。

「では、失礼します。突然の訪問申し訳ございません。少し様子をお聞きしたくて」

「様子ですか?付き合った報告はさせていただきましたよね?明日はデートに行こうと思っているところです」

「順調そうで何よりです。いや、1つ気になる事があったので、ツヅリ様にお伝えしておこうかと」

 ミラーさんはどことなく緊張した雰囲気で話を続けていた。

「この間、モモトセさんの家族について調べられましたか?」

 ドクン…と胸の音が大きく聞こえた。そうだ。気にはなっていたが、あまり突っ込むといけない気がしてあえて触れないようにしていたことだ。
 一度調べてしまった以上嘘はつけない。正直に答えることにした。

「はい。一度モモトセがアテニャンさんに連れて行かれたときがありましたよね?その時にモモトセの様子がおかしいから連れて行かれたのをわかっていたのに何もできなかった。次はそうならないためにモモトセの理解を深めようと思って調べました」

 ミラーさんはなるほど、と呟きどこかに電話をしていた。するとコスモ君が訪ねてきた。


「こんにちは!ツヅリおねぇさん」

「こんにちは」

 コスモ君は何をしているのか全く不明な子供である。いつも上品な服を着ているのでいいとこの子なのかもしれない。そう思っていると後ろから来たミラーさんに気持ち悪がられていた。


「貴方いい歳して何子どもぶっているのですか、年相応の態度にしてください」

「うわ~ん。おじさんがいじめるよお」

 コスモ君は私の背中に抱きつきミラーさんを責めていた。

「誰がおじさんですか!貴方の方が年上でしょう。それと抱きついてるのをモモトセさんに見られたら殺されますよ」

「おっと危ない危ない。改めてこんにちわ。俺は…まぁコスモのままでいいや。実はモモトセの声を当ててたりしてる。声の仕事をしているちょっと若いおじさんだ。皆んなは俺のことKって呼ぶけど、ここではコスモって事になってるからそうやって呼んでくれ」

 いきなり話し方が変わってびっくりした。本当にかなり年上の人なのか。それにしても老けて見えない。これが所謂“遺伝子組み換え“で生まれた人なのかもしれない。


「時間もないので本題に入ります」

 そして先程のモモトセの家族のことを調べた経緯を話した。コスモさんはふむふむと聞いていた。加えてどこまで知っているのかも聞かれたので全て答えた。

「ツヅリちゃんは、警戒心が無いってよく言われない?」

「えっ」

「K!ツヅリ様は純粋な方です。そのようなことをおっしゃらないでください」

「まーいいか。ツヅリちゃんは今事の最中に放り込まれている。知っていた方がきっと身を守れるとこちらが判断したのでツヅリちゃんが知りたい範囲のことは全て話す」

 だから質問してこいと顔がそう言っていた。コスモさんはとても鋭い表情で少し怖かったが隣にミラーさんもいたので勇気を振り絞ることにした。

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