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彼の望む愛の行方
3 ♡
しおりを挟む久しぶりに夕食に呼ばれた。最近はずっと一人で取るかたまにリオン様と食事を取っていた。
今日はシャルル様、マツリカ様、第二王子のシモン様、リオン様もいた。どうやらもう一人来そうだったが、まだ来ていなかった。
食事が開始されたが私だけ食事が運ばれるのが遅かった。それに加えてメニューが違う。明らかに私の方が質素だった。
「おい、なんでそんな…」
「リオン、口を慎みなさい」
リオン様はおかしなことを指摘しようとしてくれたが、シモン様が止めた。
苦しい…。けどこの時間はずっとじゃない。シャルル様とマツリカ様は幸せそうに食事しているのを横目で見るのが辛かった。
「……この国は女性を大切にしてるんではなかったのですか」
物音もしなかったが私の真横にノエ様が立っていた。
「彼女は退室します。それとこれ以降は僕の使用人たちが世話をするので、彼女のことはもうしなくていいです」
また、だ。また助けてくれた。
食堂から出て私の部屋まで送ってくれた。…なんだが体が熱い気がした。
「ありがとうございます」
「どうして何も言わない。君は側室であっても王子の婚約者だ。使用人に文句を言う資格はある」
「でもたべれますし」
ノエ様は怒りに満ち溢れた目をしていた。黄金の目の瞳孔が開ききっていた。獣みたいで怖かったが同時に美しかった。
「どうして…君は……」
「ふふ、ノエ様がそうして怒ってくれると嬉しいです。また穴が塞がりました」
ノエ様は神妙な顔をしていた。でも目の前の景色がぐらぐらしてきた。
「あ、あつい……」
そこで意識が途切れた。
♡
なんだがすごく身体が気持ちいい。大きな手が私の体のきもちいいところを器用に触れていた。
すごくぼやけて見えるが目の前には白い髪で黄金の瞳の男性がいた。
胸を優しく揉まれて、先端を吸われると気持ち良かった。
下半身の蜜穴から蜜液が溢れ出ていた。そこを指で撫でられると指の先まで痺れるくらい気持ちよかった。
なんと卑猥な夢を見ているのだろう。しかも相手は……。
何度目かわからないが目の前がチカチカして真っ白になる感覚が襲ってきたら意識がまた遠のいていった。
♡
朝起きると横にノエ様が寝ていた。
「ノ、ノエ様っノエ様…もしかして私」
「ん~?……わ、夢?あ、違う。シェリアが想像するようなことは一切ないよ」
ノエ様は私の頭を撫でて「おはよう」
と言ってきた。しかもいつの間にか呼び捨てで呼ばれるようになっていた。
「婚前の女性に対しては失礼なことしたかもしれないけど、シェリアは媚薬を飲まされていたんだ。それで体の熱を覚ますために…ちょっとだけ触った」
私はわかりやすく顔を真っ赤にして下を向いて黙り込んでしまった。あまりの恥ずかしさにしにたくなっていた。
「あー…今回のは治療だから。決してシェリアを傷つけようとしたわけじゃないし、君の中には指一本も入ってないし…ってこんな言い方もダメだな」
ノエ様は私に頭を下げて誠心誠意謝ってくれた。許そうかと気持ちが揺らいでいたが…。
「今回は、見逃してくれない?」
その一言で思わず頬を引っ叩いてしまった。
♡
あまり集中できないが書類仕事をしていた。ふと外を見ると今見たくないノエ様が女性に囲まれていた。
あの光景は珍しくない。それに女性と2人で個室に消えていくことも珍しくない。だから、昨日の夜のこともいつもの戯れなんだろう。
……何とも複雑な気持ちだった。辛い時にいつも助けてくれる彼にとっても私という存在は周りにいる女性のうちの1人に過ぎないのだと痛感するのだ。
「書類、届けなきゃ」
頭が働かない。でも動かなきゃ、役に立たなきゃ。頑張っているけど、何も残せていない。本当に頑張っているか?書類仕事と城の中の自分の出来ることをやり、シャルル様に時間を見つけて会いに行ってはアプローチをして振られて…。
何にも実になってない。あまりにもしんどかった。
ぼうっとしていると誰かにぶつかった。
「すみません」
持っていた書類が落ちたので拾っていると書類をぐしゃりと踏まれた。見上げるとリオン様が怒りに満ちた顔をしていた。
「どうして怒らない」
突然何を言っているのか分からなかった。怒らない?そうではなく怒れないのだ。だって今の状況に自分から飛び込んでいったのだ。不利な状況、不利な条件で。
「わたしはっ…すまない。何もできなくて」
リオン様は落ちた書類を拾ってくれた。くしゃくしゃになったやつは書き直しになるなと思いながら拾ってくれた書類を受け取った。
立ち上がった視線の先はシャルル様とマツリカ様が仲良さそうに散歩をしていた。2人で寄り添って顔を近づけて微笑みあっていた。
2人は立ち止まって顔を寄せていた。まるでキスをしているようだった。
見たくない……!そう思うと目の前を手で隠された。
「だーれだ?」
この声は
「ノエ様」
「正解っ!あれ、リオン王子もいたの?今からお茶するけど一緒にいかが?」
ノエ様はクッキーの入ったカゴを持っていた。リオン様はこれから鍛錬があるとそこを立ち去っていった。
「ではシェリアお嬢様、こちらへどうぞ」
優雅な仕草で私の手を取りティータイムができるようなかわいいテーブルへ招待された。
「ごめんねの気持ちと元気出しての気持ちを込めて僕の手作り」
席に座らしてくれるとノエ様は紅茶を、注いでくれた。かわいい勿忘草の模様のティーカップだった。
「シャルル王子のこと気になる?」
「…」
先程のキスのことだろうか。気になるといえば気になるが、思い出すだけで胸が千切れそうだった。
「こうして、顔を近づけて何をしてたのかな?」
ノエ様は私のあごを掴み唇が触れそうなところまで近づいた。
「こうして近いだけだったかもしれないね…。でも僕は気になる女性とこの距離になったら……」
……キスされた。唇に柔らかいものが一瞬当たった。
「…やっ」
顔がまた真っ赤になったかも。でも嫌じゃなかった。嬉しかった。その事実に嫌悪感がはしった。
「…あれもしかして、初めて?てっきりキスはされてるものかと」
そういうとノエ様は胸を押さえ始めた。
「何だろう…この感じは」
「どうかされました?」
「……決めた」
ノエ様は何かを考え込んでいたと思いきや迷いが無くなったかのようにさわやかな表情になった。
「さぁ、シェリア。お茶会を楽しもう」
その笑顔がどこか怖くてそれ以上は踏み込めなかった。
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