魔法使い令嬢は婚約破棄されたあげく

こと葉揺

文字の大きさ
7 / 13
彼の望む愛の行方

3 ♡

しおりを挟む


 久しぶりに夕食に呼ばれた。最近はずっと一人で取るかたまにリオン様と食事を取っていた。
 今日はシャルル様、マツリカ様、第二王子のシモン様、リオン様もいた。どうやらもう一人来そうだったが、まだ来ていなかった。

 食事が開始されたが私だけ食事が運ばれるのが遅かった。それに加えてメニューが違う。明らかに私の方が質素だった。

「おい、なんでそんな…」

「リオン、口を慎みなさい」

 リオン様はおかしなことを指摘しようとしてくれたが、シモン様が止めた。

 苦しい…。けどこの時間はずっとじゃない。シャルル様とマツリカ様は幸せそうに食事しているのを横目で見るのが辛かった。

「……この国は女性を大切にしてるんではなかったのですか」

 物音もしなかったが私の真横にノエ様が立っていた。

「彼女は退室します。それとこれ以降は僕の使用人たちが世話をするので、彼女のことはもうしなくていいです」

 また、だ。また助けてくれた。

 食堂から出て私の部屋まで送ってくれた。…なんだが体が熱い気がした。

「ありがとうございます」

「どうして何も言わない。君は側室であっても王子の婚約者だ。使用人に文句を言う資格はある」

「でもたべれますし」

 ノエ様は怒りに満ち溢れた目をしていた。黄金の目の瞳孔が開ききっていた。獣みたいで怖かったが同時に美しかった。 

「どうして…君は……」

「ふふ、ノエ様がそうして怒ってくれると嬉しいです。また穴が塞がりました」

 ノエ様は神妙な顔をしていた。でも目の前の景色がぐらぐらしてきた。

「あ、あつい……」

 そこで意識が途切れた。





 なんだがすごく身体が気持ちいい。大きな手が私の体のきもちいいところを器用に触れていた。

 すごくぼやけて見えるが目の前には白い髪で黄金の瞳の男性がいた。

 胸を優しく揉まれて、先端を吸われると気持ち良かった。
 下半身の蜜穴から蜜液が溢れ出ていた。そこを指で撫でられると指の先まで痺れるくらい気持ちよかった。

 なんと卑猥な夢を見ているのだろう。しかも相手は……。

 何度目かわからないが目の前がチカチカして真っ白になる感覚が襲ってきたら意識がまた遠のいていった。







 朝起きると横にノエ様が寝ていた。

「ノ、ノエ様っノエ様…もしかして私」

「ん~?……わ、夢?あ、違う。シェリアが想像するようなことは一切ないよ」

 ノエ様は私の頭を撫でて「おはよう」
と言ってきた。しかもいつの間にか呼び捨てで呼ばれるようになっていた。

「婚前の女性に対しては失礼なことしたかもしれないけど、シェリアは媚薬を飲まされていたんだ。それで体の熱を覚ますために…ちょっとだけ触った」

 私はわかりやすく顔を真っ赤にして下を向いて黙り込んでしまった。あまりの恥ずかしさにしにたくなっていた。


「あー…今回のは治療だから。決してシェリアを傷つけようとしたわけじゃないし、君の中には指一本も入ってないし…ってこんな言い方もダメだな」

 ノエ様は私に頭を下げて誠心誠意謝ってくれた。許そうかと気持ちが揺らいでいたが…。

「今回は、見逃してくれない?」

 その一言で思わず頬を引っ叩いてしまった。





 あまり集中できないが書類仕事をしていた。ふと外を見ると今見たくないノエ様が女性に囲まれていた。

 あの光景は珍しくない。それに女性と2人で個室に消えていくことも珍しくない。だから、昨日の夜のこともいつもの戯れなんだろう。


 ……何とも複雑な気持ちだった。辛い時にいつも助けてくれる彼にとっても私という存在は周りにいる女性のうちの1人に過ぎないのだと痛感するのだ。


「書類、届けなきゃ」


 頭が働かない。でも動かなきゃ、役に立たなきゃ。頑張っているけど、何も残せていない。本当に頑張っているか?書類仕事と城の中の自分の出来ることをやり、シャルル様に時間を見つけて会いに行ってはアプローチをして振られて…。

 何にも実になってない。あまりにもしんどかった。
 

 ぼうっとしていると誰かにぶつかった。

「すみません」

 持っていた書類が落ちたので拾っていると書類をぐしゃりと踏まれた。見上げるとリオン様が怒りに満ちた顔をしていた。

「どうして怒らない」

 突然何を言っているのか分からなかった。怒らない?そうではなく怒れないのだ。だって今の状況に自分から飛び込んでいったのだ。不利な状況、不利な条件で。

「わたしはっ…すまない。何もできなくて」

 リオン様は落ちた書類を拾ってくれた。くしゃくしゃになったやつは書き直しになるなと思いながら拾ってくれた書類を受け取った。

 立ち上がった視線の先はシャルル様とマツリカ様が仲良さそうに散歩をしていた。2人で寄り添って顔を近づけて微笑みあっていた。
 2人は立ち止まって顔を寄せていた。まるでキスをしているようだった。

 見たくない……!そう思うと目の前を手で隠された。

「だーれだ?」

 この声は

「ノエ様」

「正解っ!あれ、リオン王子もいたの?今からお茶するけど一緒にいかが?」

 ノエ様はクッキーの入ったカゴを持っていた。リオン様はこれから鍛錬があるとそこを立ち去っていった。


「ではシェリアお嬢様、こちらへどうぞ」


 優雅な仕草で私の手を取りティータイムができるようなかわいいテーブルへ招待された。

「ごめんねの気持ちと元気出しての気持ちを込めて僕の手作り」

 席に座らしてくれるとノエ様は紅茶を、注いでくれた。かわいい勿忘草の模様のティーカップだった。

「シャルル王子のこと気になる?」

「…」

 先程のキスのことだろうか。気になるといえば気になるが、思い出すだけで胸が千切れそうだった。

「こうして、顔を近づけて何をしてたのかな?」

 ノエ様は私のあごを掴み唇が触れそうなところまで近づいた。

「こうして近いだけだったかもしれないね…。でも僕は気になる女性とこの距離になったら……」

 ……キスされた。唇に柔らかいものが一瞬当たった。

「…やっ」

 顔がまた真っ赤になったかも。でも嫌じゃなかった。嬉しかった。その事実に嫌悪感がはしった。


「…あれもしかして、初めて?てっきりキスはされてるものかと」

 そういうとノエ様は胸を押さえ始めた。

「何だろう…この感じは」

「どうかされました?」

「……決めた」


 ノエ様は何かを考え込んでいたと思いきや迷いが無くなったかのようにさわやかな表情になった。

「さぁ、シェリア。お茶会を楽しもう」

 その笑顔がどこか怖くてそれ以上は踏み込めなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お姫さんと呼ばないで

秋月朔夕
恋愛
華族の娘として生まれたからにはお家のために結婚しなさい。そう父に言われ続けて、わたしは今日幼馴染と結婚する。けれど洋館で出迎えた男は全く違う人だった。

惚れた男は根暗で陰気な同僚でした【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
イベント企画会社に勤める水木 茉穂は今日も彼氏欲しさに合コンに勤しむ、結婚願望が強い女だった。 ある日の週末、合コンのメンツが茉穂に合わず、抜け出そうと考えていたのを、茉穂狙いの男から言い寄られ、困っていた所に助けに入ったのは、まさかの男。 同僚で根暗の印象の男、【暗雨】こと村雨 彬良。その彬良が会社での印象とは全く真逆の風貌で茉穂の前に現れ、茉穂を助けたのである………。 ※♡話はHシーンです ※【Mにされた女はドS上司に翻弄される】のキャラを出してます。 ※ これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。 ※終了したら【プラトニックの恋が突然実ったら】を公開します。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

真面目な王子様と私の話

谷絵 ちぐり
恋愛
 婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。  小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。  真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。 ※Rシーンはあっさりです。 ※別サイトにも掲載しています。

【完結】夢見たものは…

伽羅
恋愛
公爵令嬢であるリリアーナは王太子アロイスが好きだったが、彼は恋愛関係にあった伯爵令嬢ルイーズを選んだ。 アロイスを諦めきれないまま、家の為に何処かに嫁がされるのを覚悟していたが、何故か父親はそれをしなかった。 そんな父親を訝しく思っていたが、アロイスの結婚から三年後、父親がある行動に出た。 「みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る」で出てきたガヴェニャック王国の国王の側妃リリアーナの話を掘り下げてみました。 ハッピーエンドではありません。

初夜った後で「申し訳ないが愛せない」だなんてそんな話があるかいな。

ぱっつんぱつお
恋愛
辺境の漁師町で育った伯爵令嬢。 大海原と同じく性格荒めのエマは誰もが羨む(らしい)次期侯爵であるジョセフと結婚した。 だが彼には婚約する前から恋人が居て……?

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

処理中です...