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九章 欠けた歴史、欠けた器
36話
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【おもな登場人物】
《テル》
旅の剣士で、風雅な印象の風来坊
《エヌス司祭長》
聖ドリード教団の最高指導者
ミィラスとパルラがザルバの町に到着していた頃。
カミル香国王都。聖ドリード教団の大聖堂は、晴天の下に屋根瓦を輝かせ、いつもと変わらず厳かにそびえ立っていた。修行に励む神職たちの声、見習い少年たちが立ち働く駆け足の音、踊り子たちの軽やかな笑い声などが時折聞こえるものの、普段通り静けさに包まれている。
だがこの日、予期せぬ来訪者が門をくぐった。
その者は道の少し手前で下馬して歩いてきたのだったが、入り口付近で若い神職によって見とがめられた。
何者か問われ、その者が答えることには、
「エヌス司祭長殿にお目通りを願う者です。カミル香国王都府からの許可証はここに」
その男が見せた書状は、たしかに正規の手続きを踏まれたもので、神職は困惑しながらも彼を中へ案内した。
回廊を進むにつれ、他の神職や見習い少年たち、踊り子などとすれ違う。彼らは一様に不思議そうな表情を浮かべた。
「誰だ? あの人は」
「異国の人じゃないかしら。雰囲気が随分、私たちと違うじゃない」
暗紅色の衣をなびかせ、凜然と歩いている彼は、周囲のひそひそ声を気にも留めず、少々待たされる旨を伝えられても「分かりました」と穏やかに頷くのみだった。
しばらくして、「どうぞ、お入りください」と声がかけられる。
* * *
司祭長室にて、エヌスは手ずから扉を開け、客人を迎えた。
「突然のご来訪で驚きましたが、ようこそ」
エヌスが歓迎の言葉を伝えると、相手は礼儀正しく謝罪の意を示し、カミル式の会釈をする。
「テルナミと申します。あくまでも私は朱瑠皇帝の名代。かつ、ごく私的な用向きで参りました。公的に先触れをするわけにも参らず。ご無礼をお許しください、司祭長殿」
流暢なカミル語であった。
エヌスの目から見て、その青年は落ち着いて雅びな雰囲気をまとい、少しも物怖じしたところがなかった。教団の最高指導者である司祭長に名指しで面会するということは、本来であれば相当困難なことなのだが、カミル香国と同盟を結び、かつ盟主国である朱瑠皇帝の代理を名乗る者であれば、何ら障害となりえないのは当然のことであった。
それにしても堂々としていて、事情を知らぬ者の目には不遜に映るかもしれない。またあるいは、異国の王族でも来たのかと思うかもしれない。事実、彼は王族とは言わないまでも、貴人である可能性は大いにあった。その身のこなしは実に洗練されたように見えるからだ。
エヌスはテルナミに椅子をすすめ、自らもその向かいに腰掛けた。
若い神職が静かに入室して、湧かした湯の入った容器を置き、また静かに退出していく。エヌスは一度席を立ち、茶器を用意して、その湯で茶を淹れた。
湯気と一緒に、すっと爽やかで華やかな香りが立つ。
「ミハ茶ですか」
その青年──テルナミが言ったので、エヌスは「おや、お分かりになりますか」と眉を上げた。
彼は人好きのする顔で、嬉しそうに語る。
「非常にふくよかな香りのする茶ですね。朱瑠にも多少輸入されますが、そうそう飲めるものではありません。そもそも原産国で〝君主の茶〟と言われるようなものですから、朱瑠では特別な席で振る舞われています」
「そうでしたか」
エヌスは微笑んで、茶器をテルナミの前に差し出した。
「たしかに縁起物でありますが、この国ではもう少し広く親しまれているかもしれません。どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
テルナミが茶器を傾けている間、エヌスは灰色の瞳の奥から、この青年を観察していた。王都府が発行した許可証を持っていたということは、彼が正しく朱瑠皇帝の使者である証明がなされたはずだ。だが彼はどうにも役人とか官吏とか、そういった宮仕えをしている人間特有の気配がない。
「〝香りの国〟とはまさに、言い得て妙ですね」
テルナミが言う。
「このミハ茶しかり、神の儀礼に用いるという香しかり、王都に入った途端に空気の匂いが変わったのを感じました。百年前の朱瑠皇帝が〝香国〟と名付けたのも、思わず頷いてしまいます」
「なるほど、朱瑠の方にはそのように思われますか」
二人は軽く談笑した。立場上の緊張感はあるものの、紙と蝋の匂いが充満するこの部屋でさえ、春風のような爽やかさに満たされた。エヌスは、それがこのテルナミという青年の持つ、どこか解放された佇まいによるものだと感じた。彼は束縛のできぬ野生の生き物のようであり、道ばたに茂る野草のようでもあり、気さくな風来坊のようでもあった。
「さて」とテルナミは言った。
「私が朱瑠皇帝の代わりに来た、ということで、既にお察しのこととは思いますが──」
「今年予定されている祝典のことですな」
エヌスが答えると、テルナミは「その通りです」と頷いた。
「百年前の、国号改新に関わる様々な事情があったことは存じております。また現在の、王家と教団の力の均衡について、朱瑠側より言及することもありません。しかし今年は双方の──いえ三方にとっての節目の年です。同盟の盟主たる今上帝も、ヴァスディ王陛下に祝儀の品をお贈りする予定となっています。その際、王家と教団の双方に無礼のないよう、帝より個人的な配慮がなされるとご承知ください」
あくまでも気楽な口調でテルナミは語ったが、エヌスは難しい顔をして白髭を撫でた。
「今上帝は細やかな気遣いをされる方だ。こうして貴公を当方に派遣されるなど」
するとテルナミがにこりと笑ったので、エヌスは眉を上げる。
「違いましたかな?」
「いいえ、おおよそその認識で間違いありません」
テルナミは言った。
「ただ、派遣というよりも、たまたま私がカミル香国を訪れる予定があったので、ちょうど良いからと引き受けただけなのですよ。帝がこういった命令を正規の手順でするとなると、どうしても大仰になりがちです。そうならないため、個人的に縁のある、私のような人間に依頼をしたという経緯でして」
なるほど道理で役人らしい気配がしないはずである。エヌスは納得し、同時に得体の知れない──それは不快感とは異なっていたが──印象を彼に抱いた。
「さようでしたか。他国の政治事情にまでお詳しいとは、今上帝は情報通でいらっしゃる。原則この国の内政に干渉しない私にさえ、その凄さ──いやむしろ、恐ろしさが分かる」
エヌスがそのように言うと、テルナミは少しの間、無言になった。だがその空白は気まずさや後ろめたさなどではなく、単純に彼はミハ茶を美味そうに飲んでいたからであった。
テルナミは茶器を置きながら「ふふっ」と朗らかに笑う。
「たしかに帝は、歴代の帝と比較すれば、外によく目を向けていると言えますね。しかし安心してください。私は彼の間諜などではありません。もしそんなことを依頼されたなら、ばっさり断ってとっとと僻地に隠居します」
「皇帝の頼みを断れると?」
「余人から見れば大問題ですが、私と帝の間では問題になりません」
はっきりと断言するテルナミの言葉に嘘は無いようだった。エヌスの、人間の質を見分けるのに抜きん出た眼力によれば──目の前の青年は全くの正直者で、ただ話すことと話さないこと、なすべきこととそうでないことの分別をきっちりと持ち合わせているだけの、実に明快な人物像であった。
逆に言えば、彼は意志次第では悪辣にもなれる人間であり、それを許さぬ彼自身の善心や規律があるからこそ、朱瑠皇帝にも信頼されるのだろう、とも取れた。
ある意味では浮世離れしており、しかし同時に、非常に俗世に慣れた人間なのだ。
「帝の意向についてはお伝えしました。しかし、私個人の懸念を言ってもよろしいでしょうか」
そう言いながら、テルナミの表情が徐々に曇っていくようだ。エヌスは「聞きましょう」と続きを促す。
「王都に来る際、私は西翼領を通って来ました」
《テル》
旅の剣士で、風雅な印象の風来坊
《エヌス司祭長》
聖ドリード教団の最高指導者
ミィラスとパルラがザルバの町に到着していた頃。
カミル香国王都。聖ドリード教団の大聖堂は、晴天の下に屋根瓦を輝かせ、いつもと変わらず厳かにそびえ立っていた。修行に励む神職たちの声、見習い少年たちが立ち働く駆け足の音、踊り子たちの軽やかな笑い声などが時折聞こえるものの、普段通り静けさに包まれている。
だがこの日、予期せぬ来訪者が門をくぐった。
その者は道の少し手前で下馬して歩いてきたのだったが、入り口付近で若い神職によって見とがめられた。
何者か問われ、その者が答えることには、
「エヌス司祭長殿にお目通りを願う者です。カミル香国王都府からの許可証はここに」
その男が見せた書状は、たしかに正規の手続きを踏まれたもので、神職は困惑しながらも彼を中へ案内した。
回廊を進むにつれ、他の神職や見習い少年たち、踊り子などとすれ違う。彼らは一様に不思議そうな表情を浮かべた。
「誰だ? あの人は」
「異国の人じゃないかしら。雰囲気が随分、私たちと違うじゃない」
暗紅色の衣をなびかせ、凜然と歩いている彼は、周囲のひそひそ声を気にも留めず、少々待たされる旨を伝えられても「分かりました」と穏やかに頷くのみだった。
しばらくして、「どうぞ、お入りください」と声がかけられる。
* * *
司祭長室にて、エヌスは手ずから扉を開け、客人を迎えた。
「突然のご来訪で驚きましたが、ようこそ」
エヌスが歓迎の言葉を伝えると、相手は礼儀正しく謝罪の意を示し、カミル式の会釈をする。
「テルナミと申します。あくまでも私は朱瑠皇帝の名代。かつ、ごく私的な用向きで参りました。公的に先触れをするわけにも参らず。ご無礼をお許しください、司祭長殿」
流暢なカミル語であった。
エヌスの目から見て、その青年は落ち着いて雅びな雰囲気をまとい、少しも物怖じしたところがなかった。教団の最高指導者である司祭長に名指しで面会するということは、本来であれば相当困難なことなのだが、カミル香国と同盟を結び、かつ盟主国である朱瑠皇帝の代理を名乗る者であれば、何ら障害となりえないのは当然のことであった。
それにしても堂々としていて、事情を知らぬ者の目には不遜に映るかもしれない。またあるいは、異国の王族でも来たのかと思うかもしれない。事実、彼は王族とは言わないまでも、貴人である可能性は大いにあった。その身のこなしは実に洗練されたように見えるからだ。
エヌスはテルナミに椅子をすすめ、自らもその向かいに腰掛けた。
若い神職が静かに入室して、湧かした湯の入った容器を置き、また静かに退出していく。エヌスは一度席を立ち、茶器を用意して、その湯で茶を淹れた。
湯気と一緒に、すっと爽やかで華やかな香りが立つ。
「ミハ茶ですか」
その青年──テルナミが言ったので、エヌスは「おや、お分かりになりますか」と眉を上げた。
彼は人好きのする顔で、嬉しそうに語る。
「非常にふくよかな香りのする茶ですね。朱瑠にも多少輸入されますが、そうそう飲めるものではありません。そもそも原産国で〝君主の茶〟と言われるようなものですから、朱瑠では特別な席で振る舞われています」
「そうでしたか」
エヌスは微笑んで、茶器をテルナミの前に差し出した。
「たしかに縁起物でありますが、この国ではもう少し広く親しまれているかもしれません。どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
テルナミが茶器を傾けている間、エヌスは灰色の瞳の奥から、この青年を観察していた。王都府が発行した許可証を持っていたということは、彼が正しく朱瑠皇帝の使者である証明がなされたはずだ。だが彼はどうにも役人とか官吏とか、そういった宮仕えをしている人間特有の気配がない。
「〝香りの国〟とはまさに、言い得て妙ですね」
テルナミが言う。
「このミハ茶しかり、神の儀礼に用いるという香しかり、王都に入った途端に空気の匂いが変わったのを感じました。百年前の朱瑠皇帝が〝香国〟と名付けたのも、思わず頷いてしまいます」
「なるほど、朱瑠の方にはそのように思われますか」
二人は軽く談笑した。立場上の緊張感はあるものの、紙と蝋の匂いが充満するこの部屋でさえ、春風のような爽やかさに満たされた。エヌスは、それがこのテルナミという青年の持つ、どこか解放された佇まいによるものだと感じた。彼は束縛のできぬ野生の生き物のようであり、道ばたに茂る野草のようでもあり、気さくな風来坊のようでもあった。
「さて」とテルナミは言った。
「私が朱瑠皇帝の代わりに来た、ということで、既にお察しのこととは思いますが──」
「今年予定されている祝典のことですな」
エヌスが答えると、テルナミは「その通りです」と頷いた。
「百年前の、国号改新に関わる様々な事情があったことは存じております。また現在の、王家と教団の力の均衡について、朱瑠側より言及することもありません。しかし今年は双方の──いえ三方にとっての節目の年です。同盟の盟主たる今上帝も、ヴァスディ王陛下に祝儀の品をお贈りする予定となっています。その際、王家と教団の双方に無礼のないよう、帝より個人的な配慮がなされるとご承知ください」
あくまでも気楽な口調でテルナミは語ったが、エヌスは難しい顔をして白髭を撫でた。
「今上帝は細やかな気遣いをされる方だ。こうして貴公を当方に派遣されるなど」
するとテルナミがにこりと笑ったので、エヌスは眉を上げる。
「違いましたかな?」
「いいえ、おおよそその認識で間違いありません」
テルナミは言った。
「ただ、派遣というよりも、たまたま私がカミル香国を訪れる予定があったので、ちょうど良いからと引き受けただけなのですよ。帝がこういった命令を正規の手順でするとなると、どうしても大仰になりがちです。そうならないため、個人的に縁のある、私のような人間に依頼をしたという経緯でして」
なるほど道理で役人らしい気配がしないはずである。エヌスは納得し、同時に得体の知れない──それは不快感とは異なっていたが──印象を彼に抱いた。
「さようでしたか。他国の政治事情にまでお詳しいとは、今上帝は情報通でいらっしゃる。原則この国の内政に干渉しない私にさえ、その凄さ──いやむしろ、恐ろしさが分かる」
エヌスがそのように言うと、テルナミは少しの間、無言になった。だがその空白は気まずさや後ろめたさなどではなく、単純に彼はミハ茶を美味そうに飲んでいたからであった。
テルナミは茶器を置きながら「ふふっ」と朗らかに笑う。
「たしかに帝は、歴代の帝と比較すれば、外によく目を向けていると言えますね。しかし安心してください。私は彼の間諜などではありません。もしそんなことを依頼されたなら、ばっさり断ってとっとと僻地に隠居します」
「皇帝の頼みを断れると?」
「余人から見れば大問題ですが、私と帝の間では問題になりません」
はっきりと断言するテルナミの言葉に嘘は無いようだった。エヌスの、人間の質を見分けるのに抜きん出た眼力によれば──目の前の青年は全くの正直者で、ただ話すことと話さないこと、なすべきこととそうでないことの分別をきっちりと持ち合わせているだけの、実に明快な人物像であった。
逆に言えば、彼は意志次第では悪辣にもなれる人間であり、それを許さぬ彼自身の善心や規律があるからこそ、朱瑠皇帝にも信頼されるのだろう、とも取れた。
ある意味では浮世離れしており、しかし同時に、非常に俗世に慣れた人間なのだ。
「帝の意向についてはお伝えしました。しかし、私個人の懸念を言ってもよろしいでしょうか」
そう言いながら、テルナミの表情が徐々に曇っていくようだ。エヌスは「聞きましょう」と続きを促す。
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