悪役令嬢になっちゃったけど、暴君王子を更生させてみせます!

瑳来

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本編

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「あの、失礼します……」
 私が再び目覚めてから数分したら青い髪の毛をきっちりとお団子で束ねたメイド服の女性が入ってきた。
 ひどく怯えてるのか肩が微かに震え、誰とも目を合わせようとしない。

 どうしたんだろ……?

 その異様な光景を不思議に思ったが、この疑問は直ぐに解決した。

 なぜならーー。

「おい! お前らメイドがしっかり見てないせいでアンナが怪我したじゃねぇか! アンナの返答によってはぶん殴んぞ!」
 レオ様はかなりの怒りを含んだ面持ちでメイドを睨みつけ、メイドは大きく肩を揺らして「ごめんなさい! ごめんなさい!」と何度も謝ってる。
 んん? 私、そんなよく見てもらってないと階段から落っこちちゃうようなおてんば娘なの? それとも、見た目だけ大人の幼稚園児?
 いや、そんな事は後でいい! それよりもメイドさんを助けないと!

 メイドに言うだけ言って満足げに不敵な笑みを浮かべてるレオ様に私は「てい!」とチョップした。
 メイドは顔面蒼白になり、レオ様はメイドの方を向いたまま自身の頭に触れている。
 そこまで強くやってないから痛くはないだろう。

「権力を横暴に振るっちゃメッだよ!」

 あ、やばい。怒り方が完全に小さい子に対しての怒り方になってる。私の親戚はみんなまだ小さいから……つい。バカしてるって思われてないよね……?

 私はベッドから降り、フリーズしてるレオ様の顔を恐る恐る覗き込んだ。
 ……なんか、よくある漫画の作画が雑な時みたいな顔になってる……

「れ、レオ様……?」
 私が呼びかけるとレオ様はハッと作画をもど……じゃなくて、顔色を戻した。
「す、すみません……大丈夫ですか……?」
 レオ様はまだ軽く放心状態で立ち上がりメイドに近づいた。
 メイドは可哀想なくらい怯えていて「ひっ」と短い悲鳴をあげ半歩下がった。

「お前のせいでアンナに怒られたじゃねぇか……」
 さっきまでの覇気は完全になくなりほぼ呟くような感じで文句を言って扉を開いている。心做しか肩が丸まっていて悲しげなオーラを全身に漂わせている。
 さすがにこれはこれで可哀想……

「あの!」
 私が呼び止めるとレオ様は振り返りはしなかったが、足を止めた。

「その、ご心配をおかけしてごめんなさい。あと、心配してくださりありがとうございます」

 素直な気持ちのままお礼を言うとレオ様はぎこちなく振り向いた。その顔は湯気が出そうなくらい真っ赤で嬉しそうな困ってるような変な表情。

「ど、どういたしまして……」

 それだけ言うと背筋ピーンと伸ばして軽い足取りで帰っていった。
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