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ーーついに来た。
僕がずっとずっと望んでいたこと。
……ふっ。僕が生きていたのもこの時のため。
生きてるって素晴らしい。
アイ・アム ライフ サイコー!
「あのさ、めちゃくちゃ格好つけながら鏡見てるところ悪いんだけど、アンズくんだっけ? 来てるよー?」
僕の部屋に遊びに来ていたクレア様に指摘され、視線を扉の方に移すと薄紫髪で紺色の瞳の可愛らしい生物、アンズくんが顔を覗かせていた。
可愛いっ! 主人公素敵っ!
ちなみに、アンズくんは記憶がなくて家がわからないため僕の家でしばらくの間暮らすことになった。
「どうしたの?」
僕はアンズくんの方へ身体を向けて聞くと、アンズくんは僕の前までトテトテと不安げに近寄ってくる。
安心したまえ、僕は喰ったりしないから。ぐふふふふ。
「ドロシーっ。顔が酷く残念な感じになってるよー?」
クレア様に言われてから気づき、慌てて上がった口角を水平にさせる。
アンズくんは今の僕との距離から半歩下がり、要件を話し始めた。
「あの、俺って……ここにいてもいいんですか……?」
あー、なんだその事かぁ。
昨日来たばかりのアンズくんには僕からアレンに衣食住全て不自由なく与えるようにとお願いしといたから、悪いと思ってしまってるのだろう。
「いいよいいよ~。僕が一緒にいたかったからさ!」
僕が正直の言葉を伝えると、アンズくんは恥ずかしそうに顔を紅潮させ、視線を自分の足元に落とした。
「…………」
僕は無言で自分の右頬に拳を入れた。
「ぐはっ!」
「何やってるの!?」
「どうしました!?」
2人の心配そうな表情が見えるが、大丈夫だ。問題ない。
「アンズくんが可愛すぎて行き場のない気持ちを自分の顔面にやりました……」
「頭大丈夫なの?」
「はい。なんとか大丈夫ですぜ」
「大丈夫じゃないね」
僕は親指を立ててイケボ&キメ顔で無事を報告したのだが、どうにも伝わらなかったらしい。
寧ろ、クレア様はアンズくんを僕から守るように後ろに隠しちゃったし。
オーマイガー!!
「ところで、アンズくんはどこから来たのー?」
「その……覚えてないです……」
クレア様とアンズくんが僕から十分距離をとった場所でお喋りしている。
……2人共可愛いからこの絵もいい。
前世の時はクレア様は推しじゃなかったけど、定員無制限の僕の推しリストにランクインしてる。
つまり今の光景は僕得。尊みの秀吉さんありがとうございます。
そういや、前世と言えば、このゲームの主人公って確か転生してここの国に来たって感じだよね?
このアンズくんも転生して来てたりして。だから、いろいろ知らないのかな? なーんちって!
ゲームのストーリー上だとアンズくんは王家に保護されるけど、可愛すぎて僕が保護しちゃったんだよねっ。てへっ♪
「ーードロシーさんは、俺の好きな人に似てますから……」
僕が1人でオタク語りしていたらそんな言葉が聞こえ、2人の会話に聞き耳を立てた。
「……え!? うっそーっ! こんな、歩くクサイセリフマシーンみたいな人が好きだったのっ!?」
最近のクレア様は毒舌だ。
だけど、それはそれでまた可愛いから許す。別に僕自身、そういう性癖がある訳では無い。本当に。いや、まじで。
「あ、いや、その……俺もその人をなんで好きになったかはわからないですけど……とっても優しくて……1人で居た時声をかけてくれたりして……」
もじもじしながら最後らへんは声が小さくて聞こえにくかったが、どうやらこれは恋バナのようだ。
アンズくんは既に好きな人がいるのか。
ーーかなり気になる!!
「クーレア様ーっ! 僕も混ぜてくださいよ~」
「いいよーっ! じゃあ、今からドロシーの悪口大会にしよーっ!」
「「「おー!」」」
「じゃないですよ!? 誰が楽しくて自分の悪口を聞かなきゃなんないんですか!?」
クレア様とアンズくんが仲良く「おー!」とか言うから僕もつられて言っちゃったけど、推し達にひたすら悪口言われるとか、そういう性癖じゃないからメンタルボロボロになるわ!
こうして、クレア様が「あ、そうなの? じゃあ、アンズくんの部屋でやってくるねーっ」と言って出て行こうとした。
悪口大会は確定なのか。泣くぞ。目が大洪水になるぞ。
そんな念を込めてクレア様の背中を見つめてると、伝わったのか僕の方をもう一度見た。
「ドロシー、服の襟が内側に入ってるよーっ!」
「ありがとうございます!」
「いえいえ~っ! じゃあね~!」
戻ってきてくれたのかなと思ったら、それだけで扉がパタンっとしまった。
さっきとは比べ物にならないくらい静かな部屋。外からは扉越しに楽しそうな2人の声が聞こえてくる。
……推しの良さでもノートにまとめるか。
僕がずっとずっと望んでいたこと。
……ふっ。僕が生きていたのもこの時のため。
生きてるって素晴らしい。
アイ・アム ライフ サイコー!
「あのさ、めちゃくちゃ格好つけながら鏡見てるところ悪いんだけど、アンズくんだっけ? 来てるよー?」
僕の部屋に遊びに来ていたクレア様に指摘され、視線を扉の方に移すと薄紫髪で紺色の瞳の可愛らしい生物、アンズくんが顔を覗かせていた。
可愛いっ! 主人公素敵っ!
ちなみに、アンズくんは記憶がなくて家がわからないため僕の家でしばらくの間暮らすことになった。
「どうしたの?」
僕はアンズくんの方へ身体を向けて聞くと、アンズくんは僕の前までトテトテと不安げに近寄ってくる。
安心したまえ、僕は喰ったりしないから。ぐふふふふ。
「ドロシーっ。顔が酷く残念な感じになってるよー?」
クレア様に言われてから気づき、慌てて上がった口角を水平にさせる。
アンズくんは今の僕との距離から半歩下がり、要件を話し始めた。
「あの、俺って……ここにいてもいいんですか……?」
あー、なんだその事かぁ。
昨日来たばかりのアンズくんには僕からアレンに衣食住全て不自由なく与えるようにとお願いしといたから、悪いと思ってしまってるのだろう。
「いいよいいよ~。僕が一緒にいたかったからさ!」
僕が正直の言葉を伝えると、アンズくんは恥ずかしそうに顔を紅潮させ、視線を自分の足元に落とした。
「…………」
僕は無言で自分の右頬に拳を入れた。
「ぐはっ!」
「何やってるの!?」
「どうしました!?」
2人の心配そうな表情が見えるが、大丈夫だ。問題ない。
「アンズくんが可愛すぎて行き場のない気持ちを自分の顔面にやりました……」
「頭大丈夫なの?」
「はい。なんとか大丈夫ですぜ」
「大丈夫じゃないね」
僕は親指を立ててイケボ&キメ顔で無事を報告したのだが、どうにも伝わらなかったらしい。
寧ろ、クレア様はアンズくんを僕から守るように後ろに隠しちゃったし。
オーマイガー!!
「ところで、アンズくんはどこから来たのー?」
「その……覚えてないです……」
クレア様とアンズくんが僕から十分距離をとった場所でお喋りしている。
……2人共可愛いからこの絵もいい。
前世の時はクレア様は推しじゃなかったけど、定員無制限の僕の推しリストにランクインしてる。
つまり今の光景は僕得。尊みの秀吉さんありがとうございます。
そういや、前世と言えば、このゲームの主人公って確か転生してここの国に来たって感じだよね?
このアンズくんも転生して来てたりして。だから、いろいろ知らないのかな? なーんちって!
ゲームのストーリー上だとアンズくんは王家に保護されるけど、可愛すぎて僕が保護しちゃったんだよねっ。てへっ♪
「ーードロシーさんは、俺の好きな人に似てますから……」
僕が1人でオタク語りしていたらそんな言葉が聞こえ、2人の会話に聞き耳を立てた。
「……え!? うっそーっ! こんな、歩くクサイセリフマシーンみたいな人が好きだったのっ!?」
最近のクレア様は毒舌だ。
だけど、それはそれでまた可愛いから許す。別に僕自身、そういう性癖がある訳では無い。本当に。いや、まじで。
「あ、いや、その……俺もその人をなんで好きになったかはわからないですけど……とっても優しくて……1人で居た時声をかけてくれたりして……」
もじもじしながら最後らへんは声が小さくて聞こえにくかったが、どうやらこれは恋バナのようだ。
アンズくんは既に好きな人がいるのか。
ーーかなり気になる!!
「クーレア様ーっ! 僕も混ぜてくださいよ~」
「いいよーっ! じゃあ、今からドロシーの悪口大会にしよーっ!」
「「「おー!」」」
「じゃないですよ!? 誰が楽しくて自分の悪口を聞かなきゃなんないんですか!?」
クレア様とアンズくんが仲良く「おー!」とか言うから僕もつられて言っちゃったけど、推し達にひたすら悪口言われるとか、そういう性癖じゃないからメンタルボロボロになるわ!
こうして、クレア様が「あ、そうなの? じゃあ、アンズくんの部屋でやってくるねーっ」と言って出て行こうとした。
悪口大会は確定なのか。泣くぞ。目が大洪水になるぞ。
そんな念を込めてクレア様の背中を見つめてると、伝わったのか僕の方をもう一度見た。
「ドロシー、服の襟が内側に入ってるよーっ!」
「ありがとうございます!」
「いえいえ~っ! じゃあね~!」
戻ってきてくれたのかなと思ったら、それだけで扉がパタンっとしまった。
さっきとは比べ物にならないくらい静かな部屋。外からは扉越しに楽しそうな2人の声が聞こえてくる。
……推しの良さでもノートにまとめるか。
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