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15【クレア目線】
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一方その頃のエバンス家ではーー。
今日はボクの家にリアムが来て、ボクの部屋で一緒にお茶をしている。
小さな丸テーブルに向かい合わせで座り、無言で一定の感覚をあけて紅茶を啜る。
久しぶりに婚約者であるリアムと2人っきり。だけど、心配事が多くてあまり集中できない。
ボクが額に手を当て考え込んでいると、リアムが顔を覗き込んでくる。
「クレア~。ずっと怖い顔して黙ってるけど大丈夫~?」
「んー……大丈夫」
「ドロシーくんの事?」
特に事情を説明したわけでもないのだが、あっさり当てられてしまい勢いよく顔を上げた。
リアムは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに雲のような柔らかく真っ白な笑みを浮かべた。
「何かあったの?」
そこまでわかっておいて察しが悪いリアムにボクはわざとらしくため息を吐いた。
「あったも何も、兄弟達見て何も思わなかったの?」
「最近のあの子達は機嫌がめちゃくちゃ悪いな~」
「そう。その原因だよ。ルイ様達が機嫌を損ねるくらいドロシーに付き纏ってる人物」
そこまで言うと流石のリアムも予想が出来たようで、「なるほどね~」と平和ボケでもしそうな声で呟き紅茶を啜った。
マイペースなのがこいつのいい所だけど、その余裕はどこから来るのやら。
こちとら、ウィル様達とアンズくんが争わないか心配なのに。
「確かにあの子、前に街で会った時ルイ達に喧嘩売ってたからなぁ……殴り合いになってないといいけど……」
「なにそれ!? 初耳!?」
あの子とは、アンズくんの事だろう。
王子に喧嘩を売るとか……どんな精神の持ち主だよ!
「で、クレアの事だから何か対策はしてるでしょ~?」
「ま、まぁね……」
こいつは変な所で察しがいいから地味に驚いてしまう。
「取り敢えず、ドロシーの項(うなじ)にはGPSを付けといた。防水で薄くて取れにくいし、見つからないと思うからまだついてるでしょ。それで、ドロシーの専属執事にも最近だけど手を回しといた。アンズくんとなるべく2人っきりにさせないように、ってね」
ボクのやったこと全部をペラペラ喋るとリアムは物珍しそうに目を丸くして凝視していた。
なに? その顔は?
「クレアがそんな必死になるなんてね……そんなにドロシーくんを取られたくないんだ~? 妬けちゃうなぁ」
リアムの言葉に顔に熱が集まったのを感じた。
慌てて手で扇ぐが熱は引きそうにない。
それを、リアムがニヤニヤしながらずっと見てくる。
「ち、違うから! 確かに、ドロシーは前よりもボクの所に来てくれなくなったのは寂しいけど、それよりももっとしっかりとした理由があるから!」
「へ~?」
からかうように不敵な笑みで煽ってくるリアム。
こんのぉ……表面だけ優しい顔して中身ドス黒王子が!
ボクは冷静に戻るためにひとつ咳払いをした。
「あの、アンズくんって子、ボクやウィル様達が思ってる以上に厄介な存在だよ」
「それはそうでしょ~。目と雰囲気でわかる」
「気づいてたんだ……?」
「うん。なんてったって私は第1王子だからね~! えっへん」
リアムはまったりとした口調で誇らしげに鼻をさする。
こいつにも雰囲気を読み取る力があったのか……びっくり。
「それに、ドロシーくんに対する執着心が強そうだよね~」
「前好きだった人の雰囲気がドロシーに似てるって言ってたけど……ドロシーの事だったりして?」
「それで、ドロシーくんを監禁して殺しちゃったり~?」
そこまで言うとお互い黙り、紅茶を啜った。
リアムは少しだけ啜り、ボクは一気に飲み干した。
そして、ガチャンっと割れそうなくらい力一杯お皿の上にコップを置いた。
「ーーいや! 笑えないから! その冗談有り得そうでまっったく笑えない!」
つい、声を荒らげて言うとリアムが面白そうにケタケタの笑った。
「心配だったら行ってくればいいじゃん~?」
笑いながら涙目になった目元の涙を拭い言ってくる。
そこまで笑うか!?
……いや、行けばいいと思ってるよ。自分で行って見ればいいんだけどさ……でもさーー。
「せっかくリアムが来たから……たまには2人でお話ししたかったんだよね……」
……やばっ! 声に出てた!
慌てて口を両手で抑え、恐る恐るリアムの方を見ると、リアムも片手で口を抑え顔を真っ赤にしていた。
そして、項垂れるように机に突っ伏した。
「リアム……?」
「あー。くそ……可愛すぎだろ……」
いつもとは違うぶっきらぼうな口調。
ボクがじっと見つめてると顔を少しあげボクの方を見た。
「ドロシーくんの事はあの子達に任せて、沢山お話しようね」
ボクは少しだけ考えゆっくり首を縦に振る。
「うん……!」
ごめん! ドロシー! 自分の欲望に勝てなかった! あとは、ウィル様達に任せる!
今日はボクの家にリアムが来て、ボクの部屋で一緒にお茶をしている。
小さな丸テーブルに向かい合わせで座り、無言で一定の感覚をあけて紅茶を啜る。
久しぶりに婚約者であるリアムと2人っきり。だけど、心配事が多くてあまり集中できない。
ボクが額に手を当て考え込んでいると、リアムが顔を覗き込んでくる。
「クレア~。ずっと怖い顔して黙ってるけど大丈夫~?」
「んー……大丈夫」
「ドロシーくんの事?」
特に事情を説明したわけでもないのだが、あっさり当てられてしまい勢いよく顔を上げた。
リアムは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに雲のような柔らかく真っ白な笑みを浮かべた。
「何かあったの?」
そこまでわかっておいて察しが悪いリアムにボクはわざとらしくため息を吐いた。
「あったも何も、兄弟達見て何も思わなかったの?」
「最近のあの子達は機嫌がめちゃくちゃ悪いな~」
「そう。その原因だよ。ルイ様達が機嫌を損ねるくらいドロシーに付き纏ってる人物」
そこまで言うと流石のリアムも予想が出来たようで、「なるほどね~」と平和ボケでもしそうな声で呟き紅茶を啜った。
マイペースなのがこいつのいい所だけど、その余裕はどこから来るのやら。
こちとら、ウィル様達とアンズくんが争わないか心配なのに。
「確かにあの子、前に街で会った時ルイ達に喧嘩売ってたからなぁ……殴り合いになってないといいけど……」
「なにそれ!? 初耳!?」
あの子とは、アンズくんの事だろう。
王子に喧嘩を売るとか……どんな精神の持ち主だよ!
「で、クレアの事だから何か対策はしてるでしょ~?」
「ま、まぁね……」
こいつは変な所で察しがいいから地味に驚いてしまう。
「取り敢えず、ドロシーの項(うなじ)にはGPSを付けといた。防水で薄くて取れにくいし、見つからないと思うからまだついてるでしょ。それで、ドロシーの専属執事にも最近だけど手を回しといた。アンズくんとなるべく2人っきりにさせないように、ってね」
ボクのやったこと全部をペラペラ喋るとリアムは物珍しそうに目を丸くして凝視していた。
なに? その顔は?
「クレアがそんな必死になるなんてね……そんなにドロシーくんを取られたくないんだ~? 妬けちゃうなぁ」
リアムの言葉に顔に熱が集まったのを感じた。
慌てて手で扇ぐが熱は引きそうにない。
それを、リアムがニヤニヤしながらずっと見てくる。
「ち、違うから! 確かに、ドロシーは前よりもボクの所に来てくれなくなったのは寂しいけど、それよりももっとしっかりとした理由があるから!」
「へ~?」
からかうように不敵な笑みで煽ってくるリアム。
こんのぉ……表面だけ優しい顔して中身ドス黒王子が!
ボクは冷静に戻るためにひとつ咳払いをした。
「あの、アンズくんって子、ボクやウィル様達が思ってる以上に厄介な存在だよ」
「それはそうでしょ~。目と雰囲気でわかる」
「気づいてたんだ……?」
「うん。なんてったって私は第1王子だからね~! えっへん」
リアムはまったりとした口調で誇らしげに鼻をさする。
こいつにも雰囲気を読み取る力があったのか……びっくり。
「それに、ドロシーくんに対する執着心が強そうだよね~」
「前好きだった人の雰囲気がドロシーに似てるって言ってたけど……ドロシーの事だったりして?」
「それで、ドロシーくんを監禁して殺しちゃったり~?」
そこまで言うとお互い黙り、紅茶を啜った。
リアムは少しだけ啜り、ボクは一気に飲み干した。
そして、ガチャンっと割れそうなくらい力一杯お皿の上にコップを置いた。
「ーーいや! 笑えないから! その冗談有り得そうでまっったく笑えない!」
つい、声を荒らげて言うとリアムが面白そうにケタケタの笑った。
「心配だったら行ってくればいいじゃん~?」
笑いながら涙目になった目元の涙を拭い言ってくる。
そこまで笑うか!?
……いや、行けばいいと思ってるよ。自分で行って見ればいいんだけどさ……でもさーー。
「せっかくリアムが来たから……たまには2人でお話ししたかったんだよね……」
……やばっ! 声に出てた!
慌てて口を両手で抑え、恐る恐るリアムの方を見ると、リアムも片手で口を抑え顔を真っ赤にしていた。
そして、項垂れるように机に突っ伏した。
「リアム……?」
「あー。くそ……可愛すぎだろ……」
いつもとは違うぶっきらぼうな口調。
ボクがじっと見つめてると顔を少しあげボクの方を見た。
「ドロシーくんの事はあの子達に任せて、沢山お話しようね」
ボクは少しだけ考えゆっくり首を縦に振る。
「うん……!」
ごめん! ドロシー! 自分の欲望に勝てなかった! あとは、ウィル様達に任せる!
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