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 エルツがグラナートと一緒に街へ買い物に行ってから一週間が過ぎた。

 買い物から帰ってきてからグラナートは自室にいる時間が増え、エルツと顔を合わせるのは食事のときくらいだったが、エルツはグラナートが日に日に元気がなくなっていっているように感じていた。

 今まで冷たい態度をとったり、はっきり嫌いと言ったりしても数日後には何事もなかったかのように平然としていたのに……。

 一緒に買い物に行ったときの、自分より頭が悪い人を好きになることはない、という言葉が、それほどショックだったのだろうか?

 エルツはグラナートの学習意欲を高めさせようとして言ったので、グラナートがこんなに落ち込むとは思わなかった。

 結果的に諦めてくれたのはよかったが、エルツはグラナートを無駄に傷つけてしまったことを後悔していた。

 告白されてすぐに、自分より頭が悪い人を好きになることはない、と言えばよかった……。

 そう思いながらエルツはブラウと一緒に二階の掃除をしていると、グラナートが自室から出てきた。

 グラナートは俯き気味に廊下を歩いていたが、突然ふらついて壁に手をつくと、そのまましゃがみ込んでしまった。

 エルツとブラウは慌ててグラナートに駆け寄る。

「どうされましたか?」

 グラナートはエルツとブラウが近くにいたことに気がついていなかったのだろう。

 驚いた顔で二人のことを見た。

「……なんでもないよ。心配しないで大丈夫」

 そう答えたグラナートは目の下にクマができていて、いかにも体調が悪そうだった。

「大丈夫というお顔ではありませんよ」

 エルツがそう言うとグラナートは顔を隠すように下を向いた。

「少しふらついただけだよ。本当に大丈夫だから……」

「グラナート、ふらつく状態を大丈夫とは言わないよ。部屋に戻って横になったほうがいい。……一人で立てる?」

 グラナートはブラウの問いかけに頷くと、ゆっくりと立ち上がったが、まだふらつくのか壁に手を添えていた。

 エルツはブラウと二人でグラナートを支えながらグラナートの部屋まで連れて行き、ベッドに寝かせた。

「それじゃあボクはお医者様を呼んでくるから」

 そう言って部屋を出ようとしたブラウをグラナートは呼び止めた。

「待って。……医者は呼ばなくて大丈夫」

 ブラウは心配そうな顔でグラナートのことを見る。

「今回はしゃがみ込むだけで済んだからよかったけど、今度は倒れてしまうかもしれないでしょう? 原因を調べるためにもお医者様を呼んだほうがいいよ」

「原因はわかっているんだ。……ここ最近寝不足だったから、そのせいでふらついたんだよ」

「でも……」

「本当に大丈夫だから」

「……わかった。でも旦那様には報告するからね」

 ブラウはエルツに、グラナートの様子を見ておいて、と言うと部屋を出ていった。

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