鮮明な月

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第十三章 大人の条件

121.

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入学早々に出された課題のせいで暫く自室で籠ることの多かった仁聖は、ベットに来ると触れたくなるからとここ一週間は自室のベットで寝ていた。元々客間として使っていたから、シングルベットは仁聖の部屋にはあって。でも仁聖がここに暮らし始めてから、使ったことは一度もなかった。しかも客間としても使わなくなったので、客は和室に泊まっていてほぼベットはただ置かれているだけになっている。
それにしても、そんなことを仁聖が今までしたことがなかったから正直言われた時には驚いたけれど、学業を疎かにしていないということなのだから仕方がない。とは言え一緒に暮らすようになってまだ五ヶ月程だが、一つ屋根の下にいて一緒に寝ないなんて初めてだと考える自分に逆に恭平の方が慌ててしまう。

一緒に寝るのが当然なんて、考えてる訳じゃないが。

それでも仁聖からそう言ってくることがあるなんて、正直なところ思いもよらなかった自分。そういう点で自分は随分と仁聖の存在に甘えてしまっているんだなと、左の薬指の指輪を眺めながら考えてしまう。しかも一人で寝てみると去年までは当然だった筈のベットがいやに広くて、少し肌寒く感じてしまうのにも気がつく。自分より体温の高い仁聖の存在に慣れてしまって、二人で寝ることにもすっかりと慣れてしまっていたのだ。
お陰で気がつくとここ一週間は眠りが浅く、何度もベットの上で寝返りをうちながら、ドアが開かないかと耳を澄ましている自分がいる。

何なんだか……俺。

この一週間に子供みたいに焦れているのは、きっと自分の方だけなんだなと呆れる程だ。そんな状況でも何とか毛布やシーツに残った仁聖の香りに少しだけ微睡んだと思ったら、不意に夢現にマットレスが揺れたような気がした。浅い眠りがほどけてウッスラと瞳を開くと、揺れたように感じたのは気のせいではなかったと気がつく。

「………恭平。」

暗闇に響く低い声にのし掛かる仁聖の体温を久しぶりに感じて、恭平がふと毛布の下から顔を向ける。一瞬微睡んだ合間にやって来ていたらしい仁聖の掠れた柔らかな声に、体の奥が急に疼くのを感じた。

「……課題は?」
「終わった……、それに……明日休みだし。も、我慢限界。」

よかった・お前も我慢してたんだなんて思いながら、片言に言い覆い被さる熱っぽい声に思わず微笑む。既に興奮に一際高い体温は、肌に触れる指先ですら何時もより少し熱い。それでも嗅ぎ慣れたシャンプーの匂いがフワリと体温に香って安堵に恭平が身じろぎするのに、仁聖が丹念に肌に口付けてくる。

「愛してる……恭平。」

柔らかな低い声でそう囁きながら、肌を滑る指先と唇に次第に夜着を脱がされていく。この暮らしに慣れて少しは体重が増えればいいのに変わらず細いままの恭平の腰を、布を引き剥がしながら滑る両手で仁聖が包み込んでくる。バスケをしてたせいか仁聖の手は大きくて、その癖とても繊細に動きスルリと全てをあっという間に脱がしてしまっていた。

「仁聖……ん………っ。」

仁聖に優しく触れられる感触と口付けに、直ぐ様反応して体内が疼くのに恭平が頬を染める。それを見逃す訳のない指がユルリと後孔をなぞりながら、そこを綻ばせようと刺激を始めた。

「あ………ん、んん……。」

ユルユルと舌先で立ち上がった乳首を撫でられ、甘く噛まれながら吸われるとたった一週間の禁欲なのに一気に欲望に変わって膨れ上がる。音をたてて吸われたり優しく噛まれたり、そんなことだけで腰に膨れ上がった快感に蕩けてしまいそうだ。

「恭平……すっごい色っぽい……、気持ちい?」
「ん、いい………おかしく、なりそ………。」

素直にそう口にすると仁聖が微笑みながら、更に後を綻ばせようとジェルでヌルリと濡れた指を奥に差し込んでくる。

「んんっ、んぅっ!」
「久しぶりだから、キツい……、力抜ける?」
「ゆ、くり……、し、…て……んっ!はぁっ!!」

仁聖の指の刺激が強くて甘い声が溢れ落ちるのに、仁聖は嬉しそうに中をユックリと淫らな音をさせて掻き回しながら口付けと舌で全身を愛撫していく。それに思わず仰け反りながらキツく締め付けてしまう後孔を、ヌチヌチと出入りする指の感触が優しく焦らすように入り口を擦る。

「あ、んん、……っ!」

唇を舐められ噛まれながら足を大きく開かされて後孔をヌプヌプと掻き回されるのに、既にどうしようもなく気持ちよくなってしまっていた。恥ずかしいと分かっていてももう止まらない快感に、恭平は仁聖に縋りつきながら喘ぎ息を上げる。

「恭平……可愛い……気持ちよさそう………。」
「や、いう、な、あっ……そこ、……っ!」
「ここ、気持ちいいよね?いきそ?」

擦られると痙攣しそうな程気持ちよくなる場所に、仁聖の指先が円を描くようにクルクルと優しく撫で回す。指先で転がされるような感覚にあっという間に上り詰めて、絶頂に押しやられていく。そんな頬を染めてフルフルと震えながら喘ぐ自分を、見下ろしていた仁聖がふと思い出したように指を後ろから音をたてて抜き取る。

「あぅんっ!……な、に?」
「ごめん、ちょっと待ってて。」

そう口にして踵を返した仁聖には、流石に恭平も戸惑うが既に快感に飲み込まれそうになっていた体は思うように言うことをきかない。ほんの数十秒もしないで戻ってきた仁聖が悪戯っぽく微笑んだのを、恭平は快感にボウッとしたまま見上げていた。そんな恭平に覆い被さりながら再び頬に口付けた仁聖が、可愛いともう一度囁きかけて今度は耳朶に愛撫を始める。一端閉じかけた足をそっと片方だけ高く持ち上げ後孔に突然何か冷たいものをグッと押し当てられた。しかも先程まで掻き回されていたそこは、ヌルンと一気に難なくそれを飲み込んでしまう。

「ふぁ?!な、何?!なっ、あっ!」
「ん、待ってね。こうかな?」

チュと仁聖が宥めるように頬に口付けたかと思うと、唐突にチキチキとダイヤルを回すような音がして体内の深い場所が強く振動し始めた。しかもさっきまで仁聖の指で直接撫でられて喘いでいた場所に、それをキッチリ押し当てられている。

「ひ、あ?!あぅんっ!ああっ!あっ!」

上げたままの足のせいで震える振動を上手く逃すこともできずに、恭平はヒクヒクと痙攣しながら快感に仰け反る。その上、空いた仁聖の手が怒張と乳首を丹念に擦りあげて、更に快感を重ねて恭平のことを一気に追いたてた。

「あ、あっ、あ!や、やぁっ!あっ!ああっ!」
「ふふ、ここ凄い濡れてきたよ?乳首もカチカチ……。」

ヌトッと指先に糸を引くほどに濡れ始めた怒張の先を指の腹で淫らに撫でられ、快感に膨れた乳首を強く吸われて、しかも体内のローターの振動は未体験で強すぎる。そんなあまりの幾つもの快感に、暗闇なのなチカチカと目が眩む。その体内のものがさっき仁聖がポカーンとしてみていた大人の玩具なのは分かったが、分かっていても振動という刺激が強すぎて体がガクガクする。

「や、これ、強いっ、んあっ!あっ!ああ!あっ!」

しかも振動に翻弄されているのに、仁聖の口に怒張を含まれ舌でねぶられるのにあっという間に恭平は絶頂に上り詰めて腰を突き上げていた。ところが達して吐精しても振動が止まるわけでもなくて、刺激がいつまでも激しく狂おしい快感を掻き立てる。

「じ、んせ、これ、や、やぁ。」
「気持ちい?」
「やぁ、も、くる、し、からぁ、じん、せぇ。あ、ああ。」

取り去りたいのに玉のように飲み込んでしまったものが、何時までも奥を震わせ絶頂から全く戻れない。その様子をウットリと眺めながら仁聖が自分の下折たった怒張を目の前にさらすのを、すっかり欲情した瞳で見つめ喉を鳴らしてしまう自分。

「ふふ、欲しい?」

仁聖に奥を指で激しく掻き回されてるみたいな感覚のままなのに、目の前の怒張から視線を外すことも出来ない。目の前のしなやかで大人びた仁聖の体に、欲情して欲しがって……そう考えたら自然と感じまくっている状態なのに体が動いていた。

「きょ……へ…?」

ユラリと起き上がり四つん這いのまま、仁聖の怒張に舌を伸ばして口付け先端を口に含む。熱くて脈打つ怒張を咥えながら体内の快感に震える自分の浅ましい姿は分かっていても、もう我慢出来ない程に欲情している。驚いた様子の仁聖がそれでも自分を見下ろしながら、口淫に感じて息を荒げるのに更に興奮してしまう。

「んん、ん、んむ………、んぅ…。」

ジュプと唾液で濡れた音をたてて深く飲み込むと、仁聖の腰がユルリと動くのに恭平は興奮して更に丹念に舌を絡める。荒くなっていく息と更に熱く固くなっていく怒張、見上げると快感に震え自分と同じく欲情した顔が見下ろしていて頭が真っ白になった。

「きょ……へぇ、も、限界。」

サラリと指を絡められて引き離される怒張に、もっとしたいと目で訴えても仁聖にのし掛かられると違うことを期待してしまう。仁聖の手にコードを引かれて、振動しながらローターが一気に抜き取られる感触に嬌声をあげてしまう。そのまま背後から腰を抱えられ怒張を押し当てられ、音をたてて一気に貫かれていく。

「あ、あああっ!あー………っ!!」
「ふっ……うっ……!」

一度に満たされてそのまま最奥まで怒張を擦り付けられる快感に、全身がガクガクと震えてしまう。たった一年前までこんな風に酩酊するほど感じることなんて一度もなかったのに、仁聖に触れられだけで貫かれただけでこんなに感じて喘いでいる。気持ちよくて今にも達してしまいそうでシーツを掴んで必死に声を堪えると、背後から仁聖がのし掛かって甘く耳を擽りながら囁く。

「恭平……、声、出して?我慢しないで?」

そっと延びた親指が唇をなぞり、必死に閉じていた口を開かせてしまう。体内も掻き回されながら親指で舌を擦られるのに、ヒクヒクと後ろの締め付けが増していく。

「あ、ふぁ、あ、ああ、はっ、あぁんん。」
「愛してる、恭平。」

愛を囁かれながら耳元に熱い吐息が吹きかかると、腹の奥がジンッとシビレたように疼く。欲情してゾクゾクと鳥肌がたちそうな快感、しかも根本まで埋められた怒張が出し入れされるのにただただ気持ちよくなってしまっている。信じられないと頭の中でボンヤリ思いながら、同時にこれが当然だとも考えてしまう。

「じん、せぇ……、も、」
「恭平……。」
「もっ、とぉ………じん、せぇ。」

甘えて強請る声に仁聖が幸せそうに微笑んだのは見えないが、激しく貫かれ押し込まれる怒張に甘い声が止まらない。室内に満ちる淫らなお互いの吐息と濡れた音、堪らなく気持ちよくてもっとと強請り続けてしまう。

「あ、あはぁ、あ、い、く、くぅう。」
「いきそ?…んん、俺、も。」

奥迄突き込まれながら仰け反り全てを受け入れてしまうだけで絶頂に達してしまいながら、更に深い快感に上り詰めさせられる。そのまま仁聖の放つ熱い飛沫を体内に感じて、全身が蕩けてしまいそうだ。

「んん、ん………っ、あつ、い……。」
「きょぉへぇ……凄い中、うねって、て、気持ちい。」
「んんん、そんな、の、言うな………ってぇ…。」

快感に蕩けさせられているのに、更にそれを指摘させられて頭の芯まで熱くなってしまう。そんな恭平の顔に仁聖が嬉しそうにキスを降らせてくると、体内の硬さがまた膨れ上がるのを感じる。

「ヤバい……恭平、可愛い……、愛してる、大好き。」
「じんせ、ああ、やぁ、あ。」

再び律動し始める感触に直ぐ様反応してしまう自分の体に、恭平は羞恥心で真っ赤になりながら何度も甘い声をあげてしまっていた。



※※※



気がつくと既に朝日が差し込んでいて、仁聖は何時だろうと身動ぎしながら起き上がる。すると腹の辺りに巻き付いた腕に気がついて、陽射しに薄明かるい中にスヤスヤと眠っている恭平の寝顔に引き付けられてしまう。
穏やかに安堵したように熟睡している、あどけない寝顔。それにしっかりと抱きつくように巻き付いた腕に、思わず頬が熱くなる。

何これ……もう超可愛い……。

勿論普段は大人で格好いい恭平なのは事実だが、こういう無防備なところは半端なく可愛くて破壊力抜群の悩殺力だ。しかも、一週間の禁欲のせいか久々の寝顔を見下ろして、思わず眺めている仁聖の頬が緩む。

「眺めながら……ニヤニヤするな……。」
「あ、起こしちゃった?ごめん。」

うっすら瞳を開いた恭平が仁聖を見上げながら呟いたのに、思わず仁聖は満面の微笑みを浮かべて覆い被さりおはようと口付ける。おはようというには大分遅いが、それでも口付けにポォッと頬を染めた恭平の顔は更に可愛い。

「大丈夫?かなり無理しちゃったよね?」
「……ああいうの、もう駄目だからな……。」
「ああいうの?どれのこと?」

更に真っ赤になって恭平が上目遣いに睨んでくるが、それすらとっても可愛い。可愛いと知っててやってるんじゃないだろうかと思うほど、可愛すぎて仁聖は身悶えしそうだ。それでも何の事なのかわからない様子の仁聖に、恭平が小さな声で玩具は駄目と呟く。

「……気持ちよかったでしょ?それでも?」
「駄目。」
「可愛かったし、凄くエロかったのに……。」
「も、駄目。」

実際にあんな玩具を今まで使ったことなんてなかったけど、昨夜の恭平の恥態を見てしまうと一度で終わりは勿体無い程に色っぽい。でも確かに考えてみれば新品未開封とはいえ、貰ったものでってところも嫌だろうと思う。そう気がついたら恭平の駄目も分からないでもない。

「分かった、もうしない。」
「ん。」
「お腹減らない?水飲む?」
「うん。……でも……。」

素直に頷いたけれど、更に続いたでもという言葉に仁聖は不思議そうに恭平の顔を覗きこむ。するとベットから伸びてきた両腕が首に巻き付いて引き寄せると、強請るように耳元に囁く。

「あと。三十分、ここで……抱かれてろ………。」

そう言いながら恭平が再び瞼を閉じると、あっという間に眠り始める。仁聖は驚きながらも人肌に微睡みが振り返してくるのを感じながら、課題でよく眠れなかったのを思い出す。

もしかして恭平も眠れなかったのかな………。

一緒にいる時は必ず一緒に寝てたから、一週間だけ・自分の課題のためとはいえ、別々のベットで寝るのは正直寂しかった。今まで一緒に寝ることが幸せすぎて気がつかなかったけど、恭平の体温が自分の次第に重なっていくのが仁聖は凄く好きだ。少し自分より体温の低い恭平の体が抱き締めているうちに緩やかに暖かくなっていき、自分の体温と同じになっていくと緊張が緩んでいくのが分かる。最初の頃は魘されたり必死に縋りついたりしていたけれど、今では最初から安堵している風に身を寄せてくれていてそれでも更に柔らかくほどけていく。傍にいて欲しいと言われているのがよく分かって、仁聖にはとても幸せな一時なのだ。それが一週間お預け……期間があって仕方がないけど、辛い、寂しい。
恭平も俺とおんなじように感じててくれたのかな?そんなことを考えながら、仁聖もいつの間にか再び眠りに落ちてしまっていたのだった。
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