鮮明な月

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間章 ちょっと合間の話2

間話2.勘違いすんな

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「乱暴?勘違いすんな、全部知ってるんだぞ?」

ニヤリと嗤いながら低く言われた言葉に、腕を捕まれたままの了が更に青ざめ凍りつく。暗に以前ここでしてたことを知っていると臭わされているのに気がついている。乱暴されるわけではなく、お前が望んでいる事だろという。そう高橋至は下卑た嗤いを浮かばせ、相手のネクタイを抜き取り手首を縛ってやった。驚愕に目を見開き言葉を失うその綺麗な顔が、愉快でたまらない高橋は了の柔らかいシャツをスラックスから引き抜き出す。

「やっ…………やだっ……っ。」

掠れて怯える声があの生意気な成田の口から溢れ落ちて、弱く頭を振る姿に興奮する。こんなにエロい男だったと何で勤めているうちに気がつかなかったが残念でしかたがないが、部下じゃないからこそのお楽しみもこれからあるかもしれない。先ずは以前聞いていた場所全てで、思う存分犯し尽くしてやる。服を破くような危険は犯さないが、ボタンを外して前をはだけると滑らかな肌に刻まれた淫らな花弁の後が幾つもあって高橋は息を飲む。

キスマークだらけじゃないか、なんてイヤらしい体だ。

ピンク色の乳首に白い肌に幾つもつけられた花弁の痕。高橋が自分の肌に何を見ているのか気がついた了が、カッと頬を染めて身を捩り肌を隠そうとするのが尚の事淫靡で艶かしい。思わず掴んでいた手を離して乳首に這わせると肌が鳥肌を立てて震えだして、凄まじく敏感で感じやすい体を伺わせて無意識に生唾が出る。そして手の中に硬くしこる乳首をクニクニと指で摘まみ転がすと、縛られた手で口元を抑えて声を堪える姿が高橋の欲情を煽り立ていく。

「やめっ……あっ……っ!」

色っぽくて良い声だが、狭山のようにはいかなそうだ。逸物をその口に入れようものなら、生意気な成田では噛みつかれそうな気がする。これは一度府設楽な尻穴を征服して、それを写真に納めてから言うことを聞かせるのが一番安全な方法だ。
高橋はそうニヤニヤしながら、了のベルトに手を伸ばした。カチャカチャと音をたててベルトのバックルを外しジッパーを下げようとすると了が咄嗟に身を翻して逃げようと足掻いたのに、高橋は慌てて無理矢理その体を自分の側のデスクに押し付け抑え込む。危なく獲物を逃がすところだったが、これはこれで無理矢理犯す感じが強くなっていい。手首を縛られデスクに上半身をのせた形で尻をつきだした了の尻を無茶苦茶に揉みながら撫で回すと、了の体の震えは更に大きくなって高橋は尚更興奮しながら息を荒らげた。あの時あんなにセックスして可愛い声で喘いでいたのに、まるで目の前の男は初めてやられるみたいに怯えて泣き出しそうに震えている。

「やめて…………嫌だ……っ」
「嘘つけ、こういうのが大好きだろ?お前。今から気持ちよくしてやるぞ?私のでっかいのでこの可愛い尻の穴タップリ掻き回してやる。」

掻き回すという言葉に掠れて震える声が嫌だ・許してと懇願するのを聞きながら、下着ごとスラックスを引き下ろしてやる。緊張なのか、もう後ろに慣れてしまっているのか、了の逸物は固さはまるでなく怯えて縮こまっていて、それが尚更乙女のようでイヤらしい。男に揉みこまれただろう柔らかな尻肉を鷲掴み乱暴に揉みながら、意気揚々と下折たつ逸物を取り出して尻の割れ目に擦り付けてやる。すると怒張の熱さに驚いたように、了が身を大きく震わせてイヤイヤと腰を淫らに揺らす。

「やだ、いれないで、いやだ、やめてっ」
「いいぞ、もっといやがれ、これからヒイヒイ泣くまでタップリ尻穴を犯してやる。」

淫らな腰振りに逸物はギンギンに硬くなって、処女のような態度とは裏腹に男に慣れさせられ柔らかく熟れ始めた穴に押し当てられる。凄いイヤらしくて女のアソコのようにヒクヒクしているのに、高橋のものを入れられるのに怯えて硬く締まる様が激しく征服欲を刺激した。

「い、いやっ!やだっ!やだっ!いれんなっ!やめろっ!」

泣き声を無視してグッと高橋が捩じ込もうと腰を突きだそうとした瞬間、高橋は何かが視界の中で音もなく影のように動いたのを感じた。次の瞬間資料のファイルが殆ど飛び出すほどの勢いで棚に音をたてて叩き付けられた高橋は、大事な鬘を弾き飛ばされ下半身を丸出しにしたまま昏倒。ところが背後で何が起こったかわからない了は尚更硬く身を凍らせているが、ヒョイとデスクに腹這いになっていた体を抱き上げられ次に目に入ったのは見慣れた宏太の傷だらけの険しい顔だった。

「こぉ……た?」

抱き寄せられ思わずその首にしがみつきながら何が起こっているのかわからないでいる了を、宏太は腰を掬い上げ軽々と抱きかかえると、まるで目が見えているようにスルリと音もたてずに資料庫の棚の影に滑り込んだ。そして殆ど同時に今のは何の音だとドヤドヤと数人の気配が駆けてくる。

「こ……。」
「大人しくしてろ、ここにいるのがバレる。」

ソッと耳元で柔らかに低く甘い声が囁く。熱い腕に抱き止められ宏太の鼓動を聞きながら息を詰めていると、下半身をおっ立てて昏倒している高橋のとんでもない痴態に女性が悲鳴を上げて逃げ出す。それを耳にしているのにガクガクと了の体は震え続けていて、宏太は了にだけ聞こえるよう柔らかく繰り返し小さく囁く。

「……お前は俺のもんだ……大丈夫だ、な?」

柔らかく暖かくて甘い声。了が何に怯えて震えているか理解していて、抱き締め自分の胸に押し付ける力強い腕。僅かに震えが遠退き、緊張がほどけるのを感じる。宏太は了が自分が囮になると引かなかったのに一応あの場では折れはしたが、襲われるのを許す気もなければ他の人間の目にな了の肌を曝す気もなかった。ハウリングしてたのは当然でいつの間にか資料庫にまで忍び込んでいて、了を助けようと身を潜めていたのだと気がつく。

こんなに愛されてて…………大事にされてて…………でも……

震えの止まらない了を気遣って何度も大丈夫だと囁く声に全身から力が抜ける。それに重なるように辺りを伺いながら近づく足音がして、狭山が小さな声で宏太に声をかけた。

「外崎さん…………今のうち非常口の方から出てください。」
「悪いな、狭山。後は大丈夫そうか?」
「ええ、下半身丸出しですよ?最高にスッキリですね、変態認定しかも鬘。」

爽快に朗らかにすら聞こえる狭山の声が成田さんはと問いかけてくるのに、了はこのまま連れて帰ると話している声が遠退く意識の中で聞こえていた。ずり下げられたスラックスを引き上げられ、宏太の腕に宝物みたいに優しく抱き上げられるのを肌でボンヤリと感じる。高橋に犯されかけただけだが、それすら受け付けられなくなった自分は、以前あの痴漢に街中で鉢合わせた時のように意識を失いかけているのだ。

「…………しゃちょー、こっち。早く。」

その声に宏太が、了を抱えたまま動きだす。なんだ晴も傍でスタンバイしてたのかとボンヤリする意識で考えながら、了は良かったと安堵しながら宏太の腕の中に沈み込んだ。

「……勘違いすんな…………、これですむと思うなよ。」

そう低く怒気に満ちた囁きを朧気に聞いたような気がするが、了はそのまま宏太の腕の中で意識を完全に失っていた。



※※※



わざと了にだけ自分や結城晴が現場にいて助けると告げなかったのは、自分が傍にいると思えば尚更了は無理なことを平気でしかねないからだ。元々仲は悪かったようだから高橋が乗ってこなければ、目の前で襲いたくなるような行動を止めてもやりかねない。
高橋は瑞咲凜に性行為を強いているのに、同意の上で全て相手が誘った等とシラをきった。狭山明良の事にしても行為を知っているのは狭山だけで、証拠を隠匿してしまえばシラを切るのも容易い。つまりは逃げ場のない程の状況でないと恐らくは追い込めない。こっちは目が見えないから音だけで判断していてギリギリのラインで止めなきゃならないし、せめてナニを出してるくらいじゃないと言い逃れしかねないのだ。
宏太に言わせれば出来れば最初から了を囮にはしたくないし、本音で言うなら了達が以前ナニをしてようがそれは過去の話で今の高橋の行為とは何の関連もない。目下最中の二人がいるというなら分からないでもないが、それは既に半年も前の話なのだ。

「やだ、いれないで、いやだ、やめてっ」

室内に響く了の泣きそうな声が僅かに大きくなったのに、宏太は咄嗟に動き始めていた。高橋をぶっ飛ばして気絶した気配は確認したが、カタカタと震える音が続いていて了が体を動かすことも出来ないでいるのにだから言ったろうがと怒鳴り付けたくなった。
トラウマを解消するなんて、ちょっとやそっとの事じゃない。しかも了のトラウマも自分のように、解消するには難易度が高過ぎるのだ。性的暴行のトラウマと殺人事件のトラウマ、簡単に解消できる方法があるなら是非教えて貰いたい。抱き上げてやるとやっと自分だと気がついて、咄嗟に首に手を回して縋りついて震えている了に馬鹿と叱りつけたくなるのをのみこんで物陰に隠れたが、どんなに抱き締めてやっても震えて血の気の引いた体は氷みたいだ。

「大丈夫だ…………ずっとこうしててやる、な?」

繰り返して言ってやっても、了は震えたままでやがて限界だったみたいに気を失っていた。
因みに画像を保存していたスマホは狭山が確保して自分の画像は消去したが、高橋のスマホには他にもとんでもないものが沢山あって晴にそこら辺は上手いことしとけと指示してある。必要なものはファイルで落として、不要なものは抹消。必要なもの?当然今後痛め付けられるネタと、今後おいたをしない抑止力にする材料だ。
晴に誘導されて帰途についたものの車の中でも了はまるで意識を取り戻さずにグッタリしたままで、家について体を洗ってベットに入れてやっても体は温まらず血の気は引いたまま。このまま目を覚まさなかったらと一瞬不安を感じもする。

「ん…………。」

モゾモゾと了が動いて冷たい肌がすり寄って来たのに気がつく。労るように抱き寄せて頭を撫でるとビクッと大きく体が震え震えが蘇ったのに、宏太は溜め息をついていた。

「大丈夫だ……、了。」
「ここ…………どこ……?」
「家だ。心配すんな、触られたとこは全部俺が洗ってやったからな?ん?」

そう囁くと了の腕が宏太の体に怯えたように縋りついてくる。だから言ったろうがと小さく柔らかに囁きながら、宏太がその体を冷やさないように毛布でくるむ。たかが痴漢に鉢合わせした位で卒倒したり、電車の痴漢に失神しかける了が、セクハラ現場の囮なんて出来る筈がない。

「……こぉた…………おれ、」
「ん……なんだ?」
「おれが、そう……しむけけたんだ…………あのとき、晴が幸せそうなのに……しっとして……。」

どうせそんなことだろうとは思っていた。結城晴の話ではセフレになったのは飲んでいて無性に抱きたくなったというが、了は意図してそうなる状況を作って誘いかけたのだ。当時は誰でもいいから相手がほしかったのと、彼女の話を幸せそうに話す晴の無邪気さが了は羨ましくてしかたがなかった。とは言え抱いた後の事は結城晴の方にも責任があるのだから、了だけがこんな苦しむ事でもない。

「……だから、」
「バチが当たったとか言うなよ?もう、十分だ。」

宏太の柔らかい声に了が戸惑い見上げてくるのに、それを引き寄せて口付けながら出来ることはしたんだからもういいと教えてやる。全部が全部因果をくくりつけたら世の中の全部が自分のせいに繋がってしまいかねないし、了は出来る事で狭山明良を助けてやったのだからもういい。高橋至は下半身と禿面を曝していて弱味も握られ、これ以上何も仕様がない状況だ。そのまま仕事を続けるにも、社内で下半身を出して気絶していた様は言い逃れ仕様がない。少なくとも狭山はこれから脅されることはないし、望まない行為を強いられることもなくなる。

「だから、この話は終わりだ。後はお前と俺の話だな。」
「俺と宏太の……?」
「体調が戻ったら、晴とナニをしてたか話せよ?ん?」

意地悪くそんなことを囁く宏太の胸に抱きかかえられたまま、了は何故かうんと素直に頷くと肌を擦り寄らせ目を閉じる。流石に何でも知ってそうだと思ったが入院中だった当たりの事だから、宏太も何があったのかまでは知らないようだ。素直に承諾したのに逆に戸惑ったのか、宏太は無言のまま了の頭を撫でていた。



※※※



スマートフォンの中にある画像はハッキリ言って最悪だった。勿論狭山明良の顔射写真もだが、瑞咲凜だけでなく女性社員の更衣室の写真とか予想外のものまで出てきたのだ。

「うっへぇ…………最悪……」

スマホから画像を別な場所に保管してないか端末で確認しながらの晴と、並んで覗き込んだ狭山明良も画像に不快そうに顔をしかめている。更衣室の盗撮やらセックスの嵌め撮りやら、元々そういう思考なんだなあの禿と晴が忌々しそうに吐き捨てながら不要な画像を削除していく。

「それ何やってんの?結城。」
「んー、データ消してさ?外部端末とかネットとかに保存した形跡がないかチェックしてんだけど、流石中年。見事にスマホだけだなー。」

晴に言わせると画像の保管をしてあるのはスマホだけで、他の保存場所はないらしい。スマホ世代だとネットや別な端末に保存してたりする可能性もあるが、少なくとも高橋至はそこまでの段階には至らなかったわけだ。明良はその手際の良さに感心しながら、何気ないふりを装って口を開く。

「なぁ、結城。」
「うん、なに?」
「結城って同性愛なの?」
「んー、ゲイって訳じゃないけど、バイかなぁ。俺基本的に気持ちいいこと好きだし。」

サラッと当然のように答えてから晴は、あれ?何でそんな質問と明良に聞き返す始末。

「いや、もしかしてお前も禿に悪戯されて辞めたのかと…………。」
「あー、いやないない。無断欠勤一回したら、あの禿に滅茶苦茶怒鳴られたのに逆ギレして辞めてやるって怒鳴っただけだよ。」

暢気な言葉にホッとしたように明良が微笑む。どうやら晴が突然辞めたのもセクハラだったのではと心配してくれていた様子なのに、晴は明良っていいやつだなぁと思わず微笑み返す。以前はそれほど交流がなかったが、こうしてみると気が合いそうな。

「よし、終わり~。明良、一緒に飲みに行かね?」
「あ、うん。そのスマホどうする?」
「明日にでもデスクに投げとけ。あ、一応指紋拭いていい?お前も直に触んないようにね。まあ、明良は社員だから指紋の話だされたらシラ切ればいいだけだけどさ。」

画像とかの中身は?と明良が問いかけると残っている画像にはなんとウィルスを仕込んであると言うのだ。ファイルを開くととっても怖いことになるというがいったいどんなと聞いても、晴はニヤニヤして教えてくれそうにもない。これは随分晴が楽しげだから、明良は飲みながら聞きだしてみるしかないなと笑いながら考えていた。
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