かのじょの物語

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10代の話

11.狂気3★

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 なんでそういう結果になったか自分でも分からない。
人を好きになったことがないわけでもないけど、彼氏はできたことがなかった。デートをしたこともある、映画を見に二人で出かけたこともある。だけど、付き合うには至らなかった。そして、今どうして、その結果に至ったのか分からない。


 高3の夏。
出会い系で出会った見知らぬ男と見知らぬ部屋の湿ったベットの上でほんの短時間の性行為をした。原因も理由も分からない。好みの男だったわけでもないし、大体にして名前すら分からない。かといって無理矢理初めてを奪われたわけでもない上に、金品と引き換えだったわけてもない。
 まさぐられる不快感に体はてきめんに反応して、濡れるどころの話ではなかった。入れようにもきつく締まって入れようがないものを、相手の願いを聞いて口でした。やがて、相手だけが快感に達して、私はただそれを不快な気分で見守っただけだった。

どうして、そうしたのか?どうして、そんなことを許したのか?私は脱兎のごとく自宅に帰って1人シャワーを浴びながら泣いた。自分がろくでもない人間なのは分かっていたが、こんな意味もなく大事なものを捨てるような行為をするなんて、自分は狂っているのだろうか……
泣きながら沢山の声が脳裏を掠める。

『呪いだから……』
『お前がそうさせたんだ…』 
『キチガイなの?……』

苦しくて仕方がないのに、そこから逃れる方法がみつからない。足掻いても更に落ちていくしか見えない。自分が狂っているのだとしか答えが出てこない。それが辛くて暫く泣き続けた。

あぁ私は私のことが誰よりも憎い……こんな産まれ方をして、こんな狂ったまま生きている自分が何よりも憎い。




※※※

その出来事は何一つ両親には漏らさなかった。
したことも、泣いたことすらばれないように誤魔化して、夕方過ぎに帰ってきた弟と両親を何食わぬ顔で迎え入れる。何一つばれないこともどうかと思うが、それ以上に笑顔でいられる自分は、やはり呪われていて狂っているのだとしか思えなかった。

そう思いながら私は、少しずつ年を重ねていく。
自分は絵を描いたりするのが好きだったが、美術の道に入ろうとはしなかった。色々な方法があったのは分かっている。しかし、父親がそれまで勤めていた病院を辞めたことを理由に諦めた。芸術で食べていくには自分に自信もなかったのもあるし、自分が望む方向にすすめるとはおもえなかったのだ。
それよりは、手に職をつける方が現実的だと思えた。現実的な方向を進むことで自分が現実を生きていると感じたかった。だから、看護学校に入ることを決めた。まだ看護大学が少なかったので、金銭面でも考えて国立の専門学校を選んだ。寮で生活するのもバイトをするのも普通に生きているなら当然だと思えたし、それをそつなくこなすことで自分がまともであると感じたかったのかもしれない。

そうして、両親と離れて学生生活を過ごしたが、結局私は私を変えられなかった。自分のことは何よりも嫌いなまま、自分が狂っているとしか思えないまま時は過ぎていったのだった。
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