鵺の哭く刻

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潜伏期

35.★

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付き合った後輩彼女は思っていたような相手ではなかったというのがシュンイチの本音だった。ただのバイト先の可愛い後輩のポジションから、彼女の方からの告白をうけて夏前にシュンイチの彼女になったのだが。

ずっと気になっていて

そう告げられ、ずっと頼りがいがあって、とその先には続くのだが。年のころは今年大学二年になるからシュンイチよりは五つ下になる彼女。実はバイト先は同じでも、シュンイチとは同じ大学ではない。彼女はシュンイチの住んでいる場所の近郊からバスで通うミッションスクール系の女子大に通っているのだが、そこの先には某有名国立大のキャンパスが数年かけて移築を開始している。あと三年もすれば教育学部から文学部が完全に移籍してきて、医学部などの病院は既に稼働を始めてもいる巨大教育施設の複合。

なんだ、ヤネオさん、あそこの大学の教育学部じゃないんですね

そう彼女に言われたのはつい最近のことで、実際に彼女はその大学に通っているのではないと知ってシュンイチのことを見る目が変わった気がする。学歴云々は気にしない等と口にされれば尚更その感覚は深まってしまうが、結局はあの大学の学生である他のバイト仲間と勘違いされたということなのだ。
しかも彼女は所謂束縛系彼女で、ヤネオシュンイチの行動は全て管理したがる。
昼夜問わずにラブコールに始まって逐一行動を詮索され、飲み会には当然みたいに現れた。女子がいれば当選金切り声で排除にかかるから、シュンイチはバイト仲間の合コンには全く呼ばれなくなった。次第に苛立ち始めていたシュンイチに、彼女はなんと次はモーニングコールを希望した。

「モーニングコール?」
「そう、朝、おはようって電話して。」

冗談だろと思ったが、彼女は彼氏なんだから朝から彼女の寝起きの声が聞けていいでしょと笑ったのだ。つまり彼女を毎朝電話で起こせというわけで、それ以外にも今から大学とかバイトにいくとか逐一行動の前に電話を寄越せと言い出している。しかも忘れるとメールで何度も電話しろと言ってくる上に、電話をして切ろうとすると金切り声で文句をいうのだ。

『私が彼女なんだから!大事にするのが当然でしょ?!彼女のこと優先でしょ?!』

キンキン声で叫び怒鳴られるのもうんざりする。うんざりだけど一応彼女は彼女だとは思うから、なんとか堪えてもきたのだった。そんな矢先この事件が起こったのは、彼女は体調を崩したとバイトを休んだ日のことで。

「やば、財布忘れてきた。ハルカワ、一回家戻ってもいいか?」
「ドジっすね?ヤネオさん。いいですよ、夕飯奢って下さいね。」
「あーマック?吉牛?」

貧乏すかと、同じバイト先に勤めている五つ年下のハルカワが笑う。塾の講義の合間に食事をしようとして、財布がないのに気がついたから五分かからないアパートまで戻ることにしたのは偶々だった。もしこれがハルカワではなく上司のヤハタとかだったら奢って貰ったかもしれないが、苦学生で奨学金を貰って大学に通っているようなハルカワにはそれは言えない。そんなわけで夜道を戻ったシュンイチは、そこで背筋が凍る瞬間を経験した。

どろぼう?な訳ないか?電気つけて行ったっけ?

煌々と電気のついたままのアパートを見上げながら帰宅して戸惑いながら開いたドアの向こうでは、ワンルームのシュンイチの暮らす部屋のなかで体調不良でバイトを休んだ筈の彼女が蠢いていたのだ。しかも、見れば机の上のシュンイチのパソコンを当然のように弄っている。その彼女を見た瞬間、胸の中はドス黒い闇に沈んだ気がして激しい不快感が沸き上がっていた。

「何…………勝手に入り込んでるんだよ?」

その言葉にギクリと体を震わせ凍りついた彼女は、一瞬で作り笑いを貼り付けて振り返って見せる。合鍵の場所は既に何度かこのアパートに来たことがあったから知っていた筈なので、忍び込むのは不可能ではないだろう。だけどだからと言って勝手に入り込んで、何故パソコンを起動させて履歴を眺める必要があるのか。しかも彼女は悪びれた様子でもなく、にこやかにすら聞こえる声をあげた。

「えー、私、彼女だもん、遊びに来てもいいでしょ?あ、ハルカワ君と一緒に来たんだぁ?」

彼女の同い年で一応は友人でもあるハルカワも流石に勝手に部屋に入り込んでいたのは察した様子だが、二人が付き合っているのも知っているから言葉にしようがない。だけど彼女が家に勝手にはいってやっていることが、彼氏のパソコンを起動して履歴を確認する?

「掃除とか料理なら兎も角…………パソコン何で、動かしてんだよ?」

吐き捨てるように思わず呟いた言葉に、彼女は腹をたてて当然と言いたげに眉を潜めて口を開く。曰く女が掃除や料理をしたがるなんて、思うこと事態が古い。曰く彼女だからってそんなことをすると決まっていると考えるシュンイチの思考が古いのだと言いたいらしい。しかも

「こんなとこ掃除するのやだぁ。自分ですればいいじゃん。」

ムカつく。人の部屋に忍び込んで好き勝手して、しかもそれを正当化している女。この行動の意味は彼女らしい行動をとるためではなくて、パソコンの情報を調べるための方法で。しかも手元のパソコンを見ると起動させた上に、インターネットの履歴であのSMサイトが表示されているのには不快を通り越して不気味だった。

「シュンイチさんって、こういう趣味なんだ。」

そう言って笑いながらハルカワを盾にするように背後に回った女を睨み付けたシュンイチに、彼女はハルカワの腕の影からバカにするみたいに口を開く。

「私にはこういう趣味、絶対無理ぃ。」

だからなんだよとその場で叫び出したくなる。人の部屋にこっそり忍び込んで人のパソコンを覗いて、しかもここまで束縛しておきながらSMは断固拒否か。最悪にも程がある。その日を最後にシュンイチは彼女と連絡をとるのをやめた。
そしてヤネオの耳にそれが届いたのはそれからほんの四十八時間後。つまりはたった二日後の事で、しかも他の駅前にある系列塾にバイトにいっている友人のメールだった。

《ヤネちゃん、彼女こっちの教室でヤネちゃんの性癖吹聴してるよ?喧嘩したんなら早く謝った方がいいって。》

性癖。友人達はまあシュンイチの趣味とか嗜好は薄々知ってるから兎も角、女はシュンイチのSM趣味を大袈裟に吹聴して別な場所でシュンイチを最悪の男だと罵ったのだ。流石にここでする話ではないと友人が止めてくれたようだが、お陰でヤネオシュンイチという人間はどんな奴だと暫し塾の講師陣で話題にはなったらしい。それを聞いて煮え湯を飲まされた気分になったシュンイチは、連絡を取っていなかった彼女を即時呼び出した。ところが今度はそれには彼女は即時の反応をしなかったのだ。あれほど何度も電話やメールを要求してきたのに、シュンイチからの連絡にはスルーして

その鬱憤の全ての捌け口になるのは、電話で調教をするアキコしかいない。

実際のアキコを調教して見てわかったのだが、アキコは大概のことを言われた通りに近いことで実際にしているのだ。だから電話口で乳首を摘まめと言えば恐らくあの小さな可愛らしい指で乳首をキチキチと摘まんでいるだろうし、陰核を擦れと命令すれば本当に親指と人差し指で固くなった陰核を摘まみ擦りたてている。たから苛立ちに手元にあるというサインペンを膣に入れろと命令をした。

「早く入れろ。一本目。」
『は、はい…………んんっ、い、いれ、ました。』
「じゃ二本目。」

電話口で躊躇いながらもアキコは素直に膣にペンを挿し込み始め、可愛らしく啜り泣きながら何本あのきつく熱く狭い膣にサインペンが入るか報告を続けた。

「ほら五本目。」
『は、入らない…………ですっ……。』
「入ってるのの間に押し込んで捩じ込め。早くしろ。」
『ひっんんんっ!』

半分泣きながら言うことを聞き膣に七本目のサインペンを捩じ込んだ時点で本気の懇願がわかったから、変わりに姿を写メで送れと命令してやる。あれほどまでに顔写真は必死に拒絶するが、何故かそんな卑猥な写真はアキコは顔を会わせてからは大人しく言うことを聞くのだ。

「ほら、早く見せろ、変態雌が。」

そう怒鳴り付けて送らせた画像は下手くそなピントのずれたものだったが、カラフルな細いサインペンを七本も半分まで捩じ込まれ陰唇をピンッとひきのばされている卑猥画像だ。

「なんだ、余裕そうだな?変態マンコ。もう一本真ん中に捩じ込め。」
『んひぃ!!む、むりぃ!!あひぃん!!』
「エロ声で喜んでるだろ?ほら、入ったか?」

入らないと泣くアキコに無理矢理隙間から捩じ込めと命令して、舌舐めずりしながら自分の怒張をさらけ出して扱き始める。ガチガチとペン同士が触れる音がしたかと思うと、次第にニュチズチと奇妙な挿入音がして、やがてはアキコの啜り泣く喘ぎが聞こえた。きっと八本目をねじ入れて痛みに身悶えているのだと思えば、興奮は更にまして怒張ははち切れんばかりだ。

『は、はい、り、ました、うぅ、裂けちゃうぅ……。』

ゾクリとする泣き声の後に送られてきた一本本数を増やしたサインペンを咥え込んだ股間の卑猥画像を舐めるように眺める。

『い、たいですぅ……さけ、るぅ……。』

その声に舌舐めずりしながら、伸びきって張り詰めている陰唇を指先で擦りたてていく。勿論実際に触れているのはアキコ自身の指でも、触れているのはシュンイチなのだと刷り込みながら。

「裂けそうにないな?喜んで、咥えてるじゃないか?太いチンポ咥えてると思えば気持ちいいんだろ?アキ。」
『そ、んなぁああん……っ!』

半分突きだしたままのサインペンに掌を当ててグリグリと押し込んでやると、アキコの声が甘く啜り泣きにかわっていく。ガチガチヌチュグチュと卑猥な音をたてて言われるがまま、サインペンの束をアキコはゆっくり揺すり喘ぐ。

『あ、ん、うう、さけ、る、うう、んんっ!』
「嘘つけ、喘いでるじゃないか。もっと激しくやれ、ほら。」
『ひぃんんっ!あひぃ!!!』

ゴツリゴリゴリとアキコの膣にペンが押し込まれていくのを画像で確認して、シュンイチは興奮に息を荒げながら怒張を激しく扱く。八割がたの三分の二以上を膣に捩じ込んで、充血した陰唇と陰核をさらす画像を撮っているのがあの清楚な顔立ちのアキコだと思うと堪らない。

「そのまま尻をあげろ。手でチンポがわりに出し入れしながら、クリを摘まめ。」

命令すると少し声が遠くなるが、それはアキコが四つん這いになって電話をベットにおき、尻を掲げて片手でサインペンの束を出し入れしながら反対の手で陰核を摘まみ擦り出したからだ。

『ひんっ!あうぅ!!あっ!ひぁ!』
「チンポ気持ちいいか?雌犬。」
『ゴリゴリ、ゴリゴリす、るぅ!おチンポ、あぅう!』

あのレイプからバックで犯されるのがアキコの好みなのは分かっていた。だから声が少し遠くなっても、それで犯してやる方がより興奮するのだ。そして散々痛め付けてもアキコは決して逆らわない。
そしてやっと彼女の方が連絡を受けて姿を見せたのは、それから更に四十八時間後の二日後のこと。そこまでに彼女がいくつの場所でシュンイチの性癖を暴露したかは分からないが、少なくとも職場に関係した新しい彼女はほぼ望めないだろう。

「ごめん、もう無理だわ。」

彼女にシュンイチがそう言いたくなるのは当然のことだろう?ところが女の方は当然の権利みたいにしくしくと泣き出して、自分は一生懸命だったし何もしてない悪くないのにと言い出す。それがどれだけ苛立つか。シュンイチは可能なら拳骨で思い切り女の顔を殴り付けてやりたいのを、必死に奥歯を噛み締めて堪えるしかない。

「ど、どぉしてぇ?…………ひどい!」

どうしてではないと思うだろう?常時束縛され、朝から晩まで女に尽くすよう要求されて、部屋に忍び込まれて。しかも自分の性癖を社会的に暴露されてだ、当の本人は自分の欲望については、まるで満たしてもくれないし奉仕すらしないマグロ女。正直酷いのはどっちだよと思う。

「何にもしてくれなかった……。」

どの口でと、お前こそ俺に何もしてくれなかったじゃないかと、思い切り怒鳴り付けてやりたい。だけどシュンイチは彼女にはそれ以上何も言わないし、何もこれ以上は求めなかった。
そうなると俄然特殊な相手・タガアキコは、特別なのだとシュンイチも気がつき始めている。余りにも素直にいうことを聞き続けるアキコに、シュンイチだって疑問がないわけじゃない。

…………もしかして、俺のことを好きなんだろうか?

だから、アキコはこんなに従順なんだろうかと正直に疑問に思う。それとも鳥の雛のように最初の調教をしたのがシュンイチだから、大人しく従うしか知らないのだろうか。そう考えてしまうとアキコにとっては近郊でそういう行為が出来ないから、都合のいいシュンイチに依存しているとも考えられてしまう。

そりゃそうだ、あんな美人でスタイルもいいんだから、普通の彼氏は簡単に出来る。

でもシュンイチに調教されたくて、ワザワザ遠方からやって来るのも事実で、少なくともご主人様としてのシュンイチの存在を必要としている。だから、シュンイチは……
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